残酷美術史: 西洋世界の裏面をよみとく (ちくま学芸文庫 イ 55-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480096524

感想・レビュー・書評

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  • 図版が多くて楽しい美術本(絵の内容は楽しくはない)。

    タイトル通り残酷な絵が多いので気は滅入るかもしれないですが、ライトな歴史・宗教本としても良いと思います。神話や宗教史の話が多い前半が特に面白い。

    解剖図とかならともかく、絵としてみる分には美しいものの方が絶対いいのに、人はなぜ醜いもの、残酷なものまでわざわざ絵画として残そうとするんでしょうね。

  • 美術 とは 美 だけではないと痛感
    美術家たちが未だ自分では体験しない死をどのように見つめたのか? どのような死の歴史が西洋にあったのか?を通観できる本
    一貫してるのは歴史の残酷さはもちろんだが、画家の壮絶さ(なくなった妻を見て色彩を見出すモネなど)である。

    ただ、かなりグロテスクな文、絵画が多いので覚悟して読むこと
    自分は中西ヨーロッパの魔女狩りの部分はシンドくて流し読み…

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • キリスト教世界の裏側が見えて面白い。載せられている絵画一つ一つに説明がついているのが良い。ファンタジー系の作品やゲームが好きな人には特におすすめ。

  • 写実主義。日本では宗教的に合わない。

  • 直近読んだマンガの影響などもあって、「残酷」「残虐」の概念、あるいはもっと個別に「死」や病い、拷問、刑罰、それらに起因する身体の損壊、変形、腐敗のイメージを(あえて)描くことの意味、それを(あえて)観たり想ったりすることの意味について何となくの関心を覚えていて、本書を手にとった。

    副題は「西洋世界の裏面をよみとく」。多くの絵画や図像を取り上げて短いコメントを付すものだから、学術的な分析を示すものではなく、したがって「裏面」という表現に端的に表されるようなアナクロニズムを非難しても仕方ないとは思う。

    残念なのは「残酷」ということばの意味の曖昧性にもよるのだろうけれど、今日私たちが嫌悪感や恐怖心とともに観ることとなるグロテスクなもの(「Histroy of Grotesque Art」というもう一つの副題が指すもの)と、人間の生の儚さなどを思われる悲劇的な光景とが本作の中で区別立てされていないことか。

    ともあれそうした「残酷」表現もその題材となった処刑や拷問といった現実のできごとも、同時代を生きた人びとにとっては、私たち(という範疇で括られるのが具体的にどのような人びとなのかも問題だけど)が感じる嫌悪や恐怖とはことなる感情とともに受け取られていたのではないかと思う。

    ややマクロな視点で見れば、不思議なくらい興奮状態に陥りやすい、他人の痛みに底知れぬ鈍感さを示す群衆がおり、よりミクロな個人レベルで見れば、死や身体の腐敗・分解に対して今日ほどの忌避感を感じていないし実際仮に感じようとしてもそれが許されない状況下にある精神が示す死生観がある。──そういったことをあれこれ考えながら読むにはページ数も手頃なよい本である。

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著者プロフィール

池上 英洋(いけがみ・ひでひろ):1967年、広島県生まれ。東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。現在、東京造形大学教授。専門はイタリアンルネサンスを中心とする西洋美術史、文化史。『レオナルド・ダ・ヴィンチ―生涯と芸術のすべて』(筑摩書房)で第4回フォスコ・マライーニ賞を受賞、2007年に開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」では日本側の監修者となった。『錬金術の歴史』(創元社)、『「失われた名画」の展覧会』(大和書房)、『西洋美術史入門』、『西洋美術史入門〈実践編〉』、『死と復活――「狂気の母」の図像から読むキリスト教』(筑摩書房)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(東京堂出版)など著書多数。


「2024年 『パリ 華の都の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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