知的トレーニングの技術〔完全独習版〕 (ちくま学芸文庫 ハ 44-1)
- 筑摩書房 (2015年9月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480096869
感想・レビュー・書評
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おもしろかったが、いったり来たりしなければならないのはつらい。
中段にある、「論文を書く:知的生産には12の工程」があるがキモ
前後の論点は、この12段の階段を説明するための部品。
A 問題意識発生・テーマ設定
自分の中に世界大の知的マップをつくる
テーマを答えやすいかたちに分解したり、置き換えたりする 困難は分割せよ
机の前で固くなっていても、いい発想は浮かばない。神経の緊張が解かれ気分がリラックスでき孤独になる場所がよい
ブレスト、一人ブレストする
B テーマ分析 ⇒ 研究ノートを作る
自分の思考過程をむきだしにした言葉で書いておく
C 第一次情報収集 ⇒ためし読み、本の文献メモや、索引カードを作る
テーマに必要な資料を全部集める
しらべる、分類学的方法:本でいうと目次。推理力は、本でいうと索引。自分で辞典を作るイメージ
知の分類をつかう。文献中心:アカデミズム、新聞雑誌映像中心:ジャーナリズム、世間話:日常生活
D 資料の分類・分析 ⇒ 読書ノート 要約、書き抜き、コメント
資料のコレクションができたらひとつひとつを丁寧に検討し、つかえないものは排除していく
自分自身の分類体系をつくる
パッケージ(分類したもろもろ)にわかりやすい名前をつける
定性的分析と定量的分析をくるくる回す
帰納法と演繹法で分析を行う
E エントロピー廃棄
やりつくしても、もうやることがなくなる状態。
最後の状態をメモにしておくものいい。次はいよいよ構想だ
F 構想 ⇒ 研究ノートをみてもう1度テーマ分析をやる ⇒マップをつくる
細部まで説明可能な概念図ができる(文章ではない)
この概念図をつかって、細部まで説明できるかをなんどもシミュレートする
G 構成 ⇒ マップを目次に作り替える、順序とストーリーを作る
あらすじをかいてみる
章から章へうまく橋渡しができるかどうかを検討する。だめだったら、一つ前にもどる
言語化できない思いがあっても、それは他人にはわかってもらえない。
自分の思考の産物と、自分とが対話をする
H 草稿執筆 ⇒ 目次と執筆に必要な本、ノート、カード類を用意
いよいよ文章化する
文法や、文体などにかまわず、どんどんかいていく。
長い引用などは、コピーをはりつけたり
ようは、一気に書き終えること
I 草稿検討 ⇒ 草稿を書き終えたら、ゆっくり精読する
草稿を書き終えたら、ゆっくりと何度でも読み返す
あらゆる角度から論難を加えてみる。
J 第二次情報収集 ⇒ 草稿段階でみつかった不備をを補う
K 草稿修正 ⇒ 草稿に手直しを入れる
最初の読者は作者である
L 清書 ⇒ 完成稿にまえがきを加える、全体の見通しがたってから書く
読書
①ためし読み、積読法
②速読術
③精読術
④再読術
⑤遅読術
アウトプット
①本
②メモ
③ノート レーニンのノート
④カード
目次
イントロダクション 知的スタート術
準備編 知的生産・知的創造に必要な基礎テクニック8章
志をたてる 立志術
人生を設計する 青春病克服術
ヤル気を奪う ヤル気術
愉快にやる 気分管理術
問いかける 発問・発想トレーニング法
自分を知る 基礎知力 測定法
友を選ぶ・師を選ぶ 知的交流術
知的空間をもつ 知の空間術
実践編 読み・考え・書くための技術11章
論文を書く 知的生産過程のモデル
あつめる 蒐集術
さがす・しらべる 探索術
分類する・名づける 知的パッケージ術
分ける・関係づける 分析術
読む 読書術
書く 執筆術
考える 思考の空間術
推理する 知的生産のための思考術
疑う 科学批判の思考術
直観する 思想術
さまざまな巨匠たちの思考術・思想術
コラム1 図書館は、知力を拡張する空間だ
コラム2 電子時代の読書
コラム3 弁証法的な思考とはなにか?
コラム4 知的好奇心とノーベル賞のメダル
コラム5 人間は文学的動物?
文庫版あとがき詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いいことがたくさん書いてあるが、過去の知識人の話が断片的に出てくるため、ついていけなくなった。
著者の知識量、思考力はすごいと思うが、『トレーニング』と銘打って書籍化するには無理があると思う。別のやり方があろう。
自分にはまだ読み切れなかった。
もう少し読書や思考で苦労したら(成長できたら)、再読にトライしたい。 -
この本は、猿読書にて紹介されていたので、興味を持った本である。猿読書でも紹介されている通り、素晴らしい本だった。今までなんとなくわかっているけど、言葉に出来ないようなことについて、適切な言葉を用いて明晰に説明がされている。この本は、何度も読み返して本当に自分の血肉としたい。この本を血肉に出来た時、自分の世界をさらに拡張してくれるだろう。
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今や40年ほど前の書物、ニューアカ全盛期とは言え、現在から見れば「学は力なり」という勢いの伝わる書物。宝島に面白いライターが揃っていた時代。
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1980年に別冊宝島の1冊として刊行された名著の文庫化である。
私はフリーライターになりたてのころ――つまり約30年前に図書館で本書に出合い、強い影響を受けた。
手元に置いておきたくて、版元の宝島社(当時は「JICC出版局」)に電話で問い合わせたら、「うちにも在庫がありませんし、重版の予定もありません」と言われてガッカリしたものだ(その後、古本屋で見つけて買った)。
内容の一部が改訂されているとのことなので、文庫版も買ってみたしだい。2015年に文庫化されたものだが、私が買ったものは2016年の第6刷。けっこう売れているのだ。
文庫の帯には、「あの伝説のテキストがいまよみがえる!」という惹句が躍っている。私同様、本書に影響を受けた人は多かったのだろう。
有名なブログ「読書猿」の人も、本書に強い影響を受けた一人である。
花村太郎は筆名で、本名は長沼行太郎という人なのだと初めて知った。
1947年生まれ。別冊宝島版を書いたころは30歳そこそこだったことになるが、もっと年配の人だとばかり思っていた。文章に風格があったし、すごい博識ぶりが内容からうかがえたから。
久々に再読してみて、改めて名著だと思った。「知的生産の技術」本としてはもちろん、文章論・読書論・教養論としても高い価値をもつものだ。
インターネットどころか、ワープロすら一般的でなかった時代の書だから、情報として古びている面もなくはない。それでも、いまでも傾聴に値する卓見が目白押しである。 -
みんな知ってる名著。いわゆる勉強術については、これ一冊読めばことが足りる。ここまで広範かつ深度のある勉強術の本はなかなかにない。10代のうちに読んでおけば、その後の学生生活はまったく違うものになると思う。また、20代以上でも、インプット・アウトプットの技法としても優れているのでホワイトカラーの仕事術の本としても使える。
とくに、初めて論文書こうという人には「知的生産過程のモデル」の章は必読だと思う。研究プロセスの全体像を整理・単純化し提示することで、雑多な要素が交錯する研究・論文執筆の作業に見通しを与えてくれる。こういうアカデミズム(≒知的生産)の作法を知ってるかどうかで、最終的な到達点は大きく変わるだろう。 -
読書会で紹介されて興味を持った本。その方は卒論を書くために読んでいたけれど、そうでなくても面白かった。
わたしが特に好きな章は「思考の空間術」 -
面白い。