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- 本 ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480097873
感想・レビュー・書評
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江戸時代の北村季吟による『枕草子春曙抄』を底本とし,著者による現代語訳と評を続けるスタイルで,下巻は『春曙抄』七巻の第一二九段「無徳なる物」から跋文の第三二五段「物暗う成りて」までを収録する。名場面とされる香炉峰の雪(第二八二段)や師走の夜道(第二八六)が含まれている。
後半は物語的な段が出現したり,打聞の和歌の段が連続したり,書き方に変化が見られるが,第二九六段で大納言伊周の素晴らしさを書いた後あたりから急速に筆の勢いが弱まっていくような印象を受けた。あんなにも自由気ままに筆の遊びを謳歌していた清少納言なのに,跋文の冒頭そのままに暗く閉ざされていくようで彼女に何が起こったのかと思いやられ辛かった。
上巻を読み始めたのは昨年4月。上下巻を通して読むのに10ヶ月もかかってしまったが,『枕草子』には読み通させる力が漲っていて,次の段に読み進むのは常に楽しみだった。古文には苦労させられたし,千年前の習慣や生活は意味不明なことだらけだったが,それも含めて興味深かった。
千年も読み継がれてきた本書は何度読んでも発見がありそうで,これからは,ふと思い付いた段を読み返したりしたいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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