定本 葉隠〔全訳注〕 上 (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480098214

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  • 武士道は死ぬことと見つけたり 武士には死ぬ覚悟が必要であると解いています。幕末をリードした鍋島藩の教え

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/737825

  • 葉隠。武士の心構えから日常の振る舞いなどについて書いてある。現代にも役立つ処世訓も含まれている。逆説的だが安楽に余生を全うするための参考に。

    武士道と云は、死ぬ事と見付たり。二つ二つの場にて、早く死ぬかたに片付くばかり也。「図に当ぬは犬死」などと云事は、上方風の打上たる武道なるべし。二つ二つの場にて、図に当様にする事は不及事也。常時死身に成りて居る時は、武道に自由を得、一生落度なく家職を仕果すべき也。

    朝は七時に起き、日行水、日さやかけ、食は日の出に給べ、暮れより休み被申候。→七つ時(午前四時頃)

    士は、喰はねども空楊枝。内に犬の皮・外は虎の皮。

    火急の場にて人に相談も不成時、分別の仕様は、四誓願に押し当ててみれば其儘分るる也。立ち越えたる事はいらぬ也。

    主人に諫言をするに色々有べし。志の諫言は、脇に知れぬ様にする也。御気に逆ぬ様にして、御曲を直し申す者也。

    諫言の仕様が第一也。「何も角も御そろひ被成候様に」と存じて候て申上げ候へば、御用ひ不被成却て害に成る也。「御慰みの事などはいか様に被遊候事も不苦候。「下々安穏に御座候様に、御家中の者御奉公に進み申し候様に」と被思召候へば、下より「御用に立ちたし」と存じ候に付き、御国家治まる儀に候。是は御苦労に成り申す事にても無之候」と申上候は、御心得可被遊候。諫言・異見は和の道、熟談にてなければ、用に不立候。屹と仕り候申し分などにては、当たり合ひに成りて、安き事も直らぬもの也。

    下々の者が安穏で御座います様に、ご家中の者が御奉公に進み申します様にとお思いになられますと、下から御用に立ちたいと存じますため、御国家が治まるのです。これは御苦労になり申すことでもありませぬ。と申上げますならば、御心得遊ばされましょう。厳しく致します申し分などでは、ぶつかり合いになって、簡単な事も直らぬものである。

    世に教訓する人多し。教訓を悦ぶ人寡し。まして教訓に從ふは稀也。道を知れる人には、何卒馴近付て教訓を請くべき事也。

    名利薄き士は多分えせ者に成りて人を謗り、高慢して益に立ず。名利深き者には劣る也。今日の用に立たず。

    皆人気短か故に大事を成らず、仕損ずる事有り。いつまでもいつまでもとさへ思へば、しかも早く成るもの也。時節はふり来るもの也。今十五年先を考へて見給へ。さても世間違ふべし。段々下り来り、金払底すれば銀が宝となり、銀払底すれば銅が宝と成るが如し。時世相応に人の器量も下り行く事なれば、一精出だし候はば、今の生ひ立ちには劣るまじき事也。すれば十五年過ぎて丁度御用に立つ也。十五年などは夢の間也。身養生さへし居れば、しまり本意を達し、御用に立つ事也。名人多き時代にこそ骨も折る事也。世間一統に下り行く時代なれば、其中にて抜け出るは安き事也。

    佞人出頭の時か、また上に悪事有之時、多分構はぬ者までも気すさびして、欠び気色に成り、精を不出、沙汰・評判ばかりするもの也。斯様の時、第一口を慎むべし。ここに眼の付け所有り。左様に致し候時は、殿は何と可被成哉。斯様の仕難き時こそ、一入精を出してよき様に仕て上げ申すはず也。古き家は佞人幾人出て来候ても、上に悪事何ほど有りても、十年より内に崩るるものにてなし。二十年も続き候はば危なき事も有るべし。ここを吞み込みて、左様の時分、十年より内に仕直し、御家抱き留めて上げ可申すと可存事也。身にかからぬ者までも早気草臥(きくたびれ)して、不宜事(よろしからざること)をそそめき廻り、御家中籠に成りうそそけ候故、世上へも洩れ聞こえ十年より内に崩るる也。悪事は内輪から多分云崩すもの也。総じて人の上の悪事を憎まぬが良き也。いらぬ所に敵を持ち、害に成る事有り。悪人もこの方を頼む様にして、折を以てよき様に仕成して可遣事也。


    私何も望み無之候。蒟蒻を一生食べ申したく候。御懇に被仰下事に候間、此望み御叶へ被下候へかし」

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