- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480099112
作品紹介・あらすじ
明治期以来、多くの人々に愛読されてきた文語訳聖書。名句の数々とともに、日本人の精神生活と表現世界を豊かにした所以に迫る。文庫オリジナル。
感想・レビュー・書評
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「人の生くるはパンのみに由るにあらず」
「すべて剣をとる者は剣にて亡ぶるなり」
「太初に言あり、言は神と偕にあり、言は神なりき」
「たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ、なんぢ我とともに在せばなり」
「汝の少き日に汝の造主を記えよ」
明治期から長く親しまれてきた「文語訳聖書」
広く親しまれ、日本人の精神生活、表現世界に大きな影響を与えた「文語訳聖書」の名句、聖句、語句をさぐり、その魅力を解説する
《「名著」も、逆に言うならば、文語訳聖書を用いることによって「名著」になったと言えるかもしれない。》
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信仰の書としてではなく文学作品として聖書をとりあげる。文語訳はその簡潔さとリズムのよさで、日本の言語文化に寄与してきた。中国語訳も経緯しているから漢文調で格調も高く、まるでことわざや故事成語のようだったりもするよね。『風立ちぬ』では「たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ」がひかれ、流全次郎も「一粒の麦、地に落ちて死なずば、ただ一粒にてあらん。もし死なば、多くの果を結ぶべし」と決意を語っていたよね。
だけど文語調の日本語はずっと残っていけるのかなぁ。岩波文庫から文語訳の旧約聖書が出た時、飛びついた身としては、いつまでも残ってもらいたいけど。