増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊 (ちくま学芸文庫 (フ-42-1)) (ちくま学芸文庫 フ 42-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480099204

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  • 2019年12月21日に紹介されました!

  • 原書名:ORDINARY MEN

    ユゼフフのある朝
    通常警察
    通常警察と最終的解決―ソ連一九四一年
    通常警察と最終的解決―強制移送
    第一〇一警察予備大隊
    ポーランド到着
    大量殺戮への通過儀礼―ユゼフフの大虐殺
    大虐殺の考察
    ウォマジ―第二中隊の急襲
    トレブリンカへの八月の強制移送
    九月下旬の暗殺
    強制移送の再開
    ホフマン大尉の奇妙な健康状態
    「ユダヤ人狩り」
    最後の大虐殺―「収穫感謝祭」作戦
    その後
    ドイツ人、ポーランド人、ユダヤ人
    普通の人びと

    全米ユダヤ図書賞ホロコースト部門
    著者:クリストファー・R・234ブラウニング(Browning, Christopher R., 1944-、アメリカ、歴史)
    訳者:谷喬夫(1947-、長野県、政治学)

  • ナチス政権下の人たちが隔絶して激ヤバイデオロギーに骨の髄までスポイルされて全く違う世界の別の生き物と化してしまったからこういう大量殺戮も可能になったということで「そういう社会」に生きてないわたしたちは別に安心していいんですよという話ではなくその逆、逆逆逆という本。

    ホロコーストや最終解決の話になるとき思い浮かぶのはやはり絶滅収容所で、概念としてもめちゃくちゃインパクトがあるので頭に残りやすいけれど、絶滅収容所に至るまでにはもっと直接的に一斉射殺という手段が取られていたわけで、そこに関わった人たちの証言を多く読めたのはよかった えぐかったが。

    いや、射殺に関する臨場感あふれる証言が最たる押しポイントというわけではなくて、まさにタイトルで、普通の人たち(別に軍人でもなく戦争前は違う仕事をしてて家庭もある中下流階層で前線には耐えられないような中年の人たち)がどう目の前の殺戮を自分の中に落とし込んでいくかという過程と考察の緻密さ、これに尽きます。

  • 普通の人びとが、軍隊に入り、制服を着ることにより、社会的死を回避するよう、団結力を発揮させ、ホロコーストを進めてしまう様は、大量殺戮で結ばれた国民的同胞愛を感じてしまう。
    写真はつらい。特に列車に乗るよう追い立てられるユダヤ人の様子は。

  • 如何にして『普通の人々』が加害者となったのか? を追った内容。
    『増補』とあるので新たな記事が追加されているのだろうとは思っていたが、まさか、残り1/3ほどで『あとがき』が始まるとは思わなかったので吃驚したw しかし、巻末の『二五年の後で』もかなり読み応えがある。ここが増補された部分なのかな?
    収容所の外で行われた虐殺について書かれて、文庫で簡単に入手可能なものは珍しいような……。

  • ゲットーは赤痢の流行に苦しんでいた。そのため多くのユダヤ人は市場まで歩いて行けなかったし、ベッドから起き上がることさえできなかった。したがって突入した舞台が最初にゲットー中を掃討している間、至るところから銃声が聞こえてきた。警官の一人はこう回想している。「私自身は住居内で6人の老人を射殺しました。彼らは寝たきりの老人で、撃って楽にしてくれるようにはっきり私に頼んだのです。」最初の掃討が完了し、生き残ったユダヤ人が市場に集められた後で、非常線を担当していた舞台が、さらにゲットー内を探索するように呼び込まれた。彼らは外で、絶え間なく銃声がするのをすでに聞いていた。彼らがゲットーを探索すると、至るところに死体が散乱していることがわかった。

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  • よく語られる収容所での大量虐殺とは異なり、警察部隊による虐殺に焦点を当てている本。
    警察部隊はその成り立ちから熱心なナチ党員により構成されていたわけではなく、人員不足を補うために招集された普通の仕事を持つ人達が多かった。にもかかわらずこの部隊が熱心に虐殺に励んだのは、命令下における同調圧力が個人の倫理観を抑えるという普遍的な現象によるものだと指摘する。
    罪の文化が恥の文化に置き換えられてきたともしており、この虐殺は組織犯罪や企業の不正の延長線上にある、私たちとも決して無関係とはいえないことなのだと思えてくる。
    また後書きおよび増補において筆者はゴールドハーゲンの、ドイツ人が持つユダヤ人に対する憎悪が原因だとする主張に明快に反論していて興味深い。

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