ちくま日本文学全集 13 佐藤春夫

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480102133

感想・レビュー・書評

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  • 2018/6/23購入

  • ちくま日本文学全集013

  • 気になったもの。

    「西班牙犬の家」
    不思議さが心地良かった。こんなちょっとした冒険をしてみたい。勝手に知らない人の家に入って行ってしまう図々しさに笑う。
    犬と主人公がかわいい。

    「美しき町」
    老建築技師Tさんの人生が、結果として素晴らしいものになったことが心に残った。世間的に何かを成し遂げられなくても、夢を追い続ける人生は価値があると思えた。
    共に計画を進めていく中で生まれた友情もすてき。

    「のんしゃらん記録」
    SF。人間社会への風刺?こんな世の中であれば生きてても仕方ないと感じる。
    自身が薔薇になって、最後好いた女は死に、自分も落ちていく…というのがやるせないけど美しいかんじ。

  • 題名だけは聞いたことがあった「お絹とその兄弟」も「のんしゃらん記録」も「別れざる妻に与うる書」も、なんとなく想像していた昔の日本の薄暗いべたっとした苦労話とはまったく違った。細かな細工ののった砂糖菓子みたいな、詩的な童話のような「きれいなもの」の話が多くて、そのうつくしさの純度が高くてとてもよい。「李太白」「美しき町」あたりが好み。

    「別れざる妻に与うる書」は大泉洋ばりのぼやきが綿々と綴られていて可笑しい。若いころにあんなぶりぶりの叙情詩を書いていた人が「女なんてみんな同じだあ」ってむくれていて笑ってしまう。しょうがないひとだ。

    SF的な「のんしゃらん記録」はダークな耽美フレーバーがあって、ピエール・クリスタンの『着飾った捕食者たち』を思い出した。

  • 『のんしゃらん記録』

    どん底の生活をしている人間に
    「植物になってみませんか?痛みも飢餓もないですよ。」
    なんて話しを持ちかけられたら…。
    いざ植物になってみたら…。
    感情を持ちながらだったら…。
    水を与えてくれなかったら…。

    恋をしてしまったら…。


    そういえば数年前まで庭に薔薇を植えていました。今はもうありません。父が根本を切ってしまったのです。もしあれが植物になった人間№1928なら庭には下半身が埋まってるわけで…。植物は大切に。

  • ユートピアを追い求める三人の姿がすごく印象的。
    素敵な小説だな。

    • frog87さん
      美しいまちいいよね~わたしも大好きです。by S女子大のMしこw
      美しいまちいいよね~わたしも大好きです。by S女子大のMしこw
      2009/10/19
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著者プロフィール

さとう・はるお
1892(明治25年)~ 1964(昭和39年)、日本の小説家、詩人。
中学時代から「明星」「趣味」などに歌を投稿。
中学卒業後、上京して生田長江、堀口大學と交わる。
大正2年、慶応義塾を中退、
大正6年、「西班牙犬の家」「病める薔薇」を発表し、
作家として出発。
「田園の憂鬱」「お絹とその兄弟」「都会の憂鬱」などを
発表する一方、10年には「殉情詩集」、14年「戦線詩集」を刊行。
17年「芬夷行」で菊池寛賞を受賞。23年、芸術院会員となり、
27年「佐藤春夫全詩集」で、29年「晶子曼陀羅」で
それぞれ読売文学賞を受賞し、35年には文化勲章受章。
小説、詩、評論、随筆と幅広く活躍。

「2018年 『奇妙な小話 佐藤春夫 ノンシャラン幻想集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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