ちくま日本文学全集 (029)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 60
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480102294

感想・レビュー・書評

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  • 漱石の「行人」連載の中断の、穴埋め作品として世に出た「銀の匙」。言わずと知れた傑作なのですが、江藤淳が「漱石とその時代 第五部」で詳述しているのを読んで、もう一度感動。
     そのあたりブログに書きました。
    https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201909130000/

  • 灘高(だっけ?)の授業とかで話題になっているなと思いつつも一度も読んだことがなかったので,これを機会にと思って読んだ。
    千夜千冊で紹介されていたのとは少し違う版だけれども,まぁこれはこれで。というかむしろ,他の話も入っているおかげで納得がいったような部分もあったので,この版を読むことができてよかったなと思う。
    個人的には鳥の話をもう少し読みたいなと思ったので,今度それはそれで読んでみようかしら。

  • 銀の匙、年老いた伯母を訪ねる話が切なくどうしようもなく哀しく胸に迫る。
    妹の死、死にゆく妹を見守る眼は驚くほど冷静で、それにもかかわらず愛情に満ちている。
    犬、こういうものも書く人だったのか。登場人物たちの味わう不条理な苦しみは、生きていくことに不器用な著者が日常の中で感じていたものを映し出しているのかも知れない。

  • ちくま日本文学全集029

    中勘助といえば、幼い頃の思い出を綴った「銀の匙」が有名ですが、あんまり面白くなかったです。
    というか、関心のあるところがまったく異なるため、面白い面白くないとかいう以前の問題で、ただ文字を読んだだけに終わりました。

    子供時代の状況が作者とわれわれとでは違いすぎて、懐かしいと感じるとっかかりさえ無くなってしまったということが大きいんだろうと思います。
    解説の串田孫一氏は作者より30年後の大正生まれで、それでも懐かしいと思うことができたのは自分の特別な環境によるものだと書いていますが、われわれではもう無理なのではないかと思います。

    ただし中勘助には別の一面があって、この作者はストーリーテーラーとしては一級品です。
    作者の性欲の強さを想像させる「犬」とか、波乱万丈で先の展開がまったく読めない「白鳥の話」ー中国の古代に題をとったオールスターキャストの映画みたいーはすごく面白かった。

    「鶴の話」「白鳥の話」は近所の子供達のための童話として書いたものだそうですが、作者は自分の物語作家としての尋常ではない才能に気がついていたのでしょうか。

    寡作な物語作家といえば、現在ならさしずめ「羊たちの沈黙」のトマス・ハリスを連想しますが、中勘助のような人物が今の社会で生きていけるとも思えないなあと思っていたら、亡くなったのは昭和40年(1965)。80歳。長生きしてるんですね。

    「漱石先生と私」は、漱石がたいへんオシャレだったということぐらいしか印象に残りませんでした。

    次は石川啄木。「一握の砂」だ…。

  • 「銀の匙」目当てで読んで満足でしたが、
     併収の「犬」にやられました。
     醜悪で残酷、恐ろしくて不快。
     なのに読み進めずにはいられない不思議な作品。
     最後の一文が今も頭から離れません。

  • よかった。読みづらくなくて心にすっぽり収まる。
    男性で、こんなに静謐な文章を書けるのか、と思った。
    男性版清少納言のよう。
    個人的には「漱石先生と私」が最高によかった。

  • 美しい光景が情感溢れる文章で浮かび上がる。ことさら難しい言葉やきらびやかな表現を用いなくても、ただそこにある美しさというものがある。
    中勘助は気むずかしい・人間嫌いの人間だったというが、はかない美をないがしろにする人間に耐えられなかったのだろう。

  • ノスタルジックに浸るなら『銀の匙』。グロテスクなら『犬』お勧め。『漱石先生と私』はもちろんお勧め。

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著者プロフィール

1885年、東京に生まれる。小説家、詩人。東京大学国文学科卒業。夏目漱石に師事。漱石の推薦で『銀の匙』を『東京朝日新聞』に連載。主な著作に小説『提婆達多』『犬』、詩集に『琅玕』『飛鳥』などがある。

「2019年 『銀の匙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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