樋口一葉 (ちくま日本文学全集)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 26
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480102416

感想・レビュー・書評

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  • これは難しかった。最初の「たけくらべ」を20ページぐらい読んで、これはカナワンと放り出していた。
    こういう文章です。

    龍華寺の信如、大黒屋の美登利、二人ながら學校は育英舍なり、去りし四月の末つかた、櫻は散りて青葉のかげに藤の花見といふ頃、春季の大運動會とて水の谷(や)の原にせし事ありしが、つな引、鞠なげ、繩とびの遊びに興をそへて長き日の暮るゝを忘れし、其折の事とや、信如いかにしたるか平常の沈着(おちつき)に似ず、池のほとりの松が根につまづきて赤土道に手をつきたれば、羽織の袂も泥に成りて見にくかりしを、居あはせたる美登利みかねて我が紅の絹はんけちを取出し、これにてお拭きなされと介抱をなしけるに、友達の中なる嫉妬(やきもち)や見つけて、藤本は坊主のくせに女と話をして、嬉しさうに禮を言つたは可笑しいでは無いか、大方美登利さんは藤本の女房(かみさん)になるのであらう、お寺の女房なら大黒さまと言ふのだなどゝ取沙汰しける、信如元來かゝる事を人の上に聞くも嫌ひにて、苦き顏して横を向く質なれば、我が事として我慢のなるべきや、夫れよりは美登利といふ名を聞くごとに恐ろしく、……(p33)

    今年のお正月、のんびりした気持ちで、パラパラめくってみると、なんとなく読める。
    次に収められている「にごりえ」も「大つごもり」も、読んで楽しめるということを発見した。
    「たけくらべ」は修辞が絢爛豪華すぎてかなり読みにくい部類に入る。「にごりえ」「大つごもり」はもっとシンプル。

    よく分からない部分もあるけれども、読んでいるとだんだん慣れてくる。
    こういう文章は、気ぜわしく読んでは駄目で、ゆっくり味わいながら読むべきものなのだろう。

    短文はまるで清少納言を思わせる。

    樋口一葉は、明治29年、貧窮のうちに死去。24歳。
    はじめて読んだけれども、天才的な作家。
    大発見だ。

  • 大つごもり
    なにが悪なのか、なにが貧しさか? 全部相対化して、逆転もする。よく見たら対立は全部逆転するのかな。調べてないけど。
    そんな話なのに、最後には呆気なくて美しい救済。なんという完成度。

  • えーとですねぇ、文語体は、やっぱり難しいです。

    「たけくらべ」とか、かろうじてストーリーを知っている話は、なんとか入ってくるのですが、読むのが辛い。
    そして、自分の読み取っているストーリーが、正しいのか、勝手な解釈なのかが、良くわからないです。

    一文が長いのと、地の文とセリフの文が、そのまま続けて書いてあるのが、なによりも難しく感じました。

    でも、けっこう、セリフとかには、リズムがあっていい感じのセリフもあるんです。だから、なんか、もうちょっとだけ、これを読み取る力があれば、きっと、面白いんだろうなぁと思うのですが。
    だから、苦しいながらも、最後まで読めないことはなかったです。

    で、いい加減なわたしの読みで、読み取ったことは、こんな感じ。

    恋愛中心。
    女の子、ちょっと気が強い。
    素直になれなくて。
    年上の女の子にあこがれるやんちゃな男の子。
    けっこう、途中で、プッツリ終わってるようなエンディング。
    男の子のタイプは、優等生とやんちゃ。ウブな優等生の方が、本命?
    世間の噂に引き裂かれ……。

    本当は、その当時の生活のありようなんかもしらなければ、ものすごく浅い読みになるんだろうなぁと思います。
    でも、なんか、昔も今も、かわらないところもあるのかなぁと思ったりもしました。

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著者プロフィール

樋口一葉

一八七二(明治五)年東京生まれ。半井桃水に師事し、生活苦のなか「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」などの作品を発表。文壇から高い評価を得るが、肺結核にて九六(明治二九年)没。

「2020年 『吉原の面影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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