ちくま日本文学全集 46 長谷川四郎

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480102461

感想・レビュー・書評

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  • 文学

  • 全然知らない作家。
    というより、長谷川伸と勘違いしていた。

    長谷川伸といえば、「瞼の母」や「一本刀土俵入」の作者。
    そういう作者が「ちくま日本文学全集」に入るのは少々ピント外れだと気がついて当然だろうと言われるかもしれないけれど、「鞍馬天狗」の大佛次郎が入っているぐらいだから、それもありかと思っていた。全然人違い。ちなみに、「瞼の母」や「一本刀土俵入」は読んだことがない。じつはそれが読めるかと思って、少々楽しみにしていた。もう一生読むチャンスはないだろうな。

    長谷川伸と長谷川四郎はまったく関係ない。

    ただし、四郎の兄は、長谷川海太郎といい、「丹下作善」の作者。ペンネームは林不忘。他に、牧逸馬、谷譲次のペンネームを使い分けて活躍した。

    ややこしいので、整理すると、
    「瞼の母」は長谷川伸。
    「丹下左膳」長谷川海太郎=林不忘。
    その弟が長谷川四郎。

    うん。ようやくわかった。

    長谷川四郎の作品集。
    もともと詩人のようだ。

    戦争中の日本軍を部隊を描いた作品が多いが、どこかフランスの短編を思わせる。「海の沈黙」「星への歩み」のヴェルコールとか。どこがどうだとはいえないが。

    でもどうも肌合いが合わないみたいで、淡々と読むしかなく、正直、退屈を感じました。
    合わないんだから、しかたがないね、どうも。
    この人は宮沢賢治が嫌いだったそうだけど、そこいらへんになにか関係があるのかもしれない。

  • 流麗な文章、村上春樹をして思わず「上手い」とうならせるのも頷ける。しかし、中身が無い。空虚だ。同じ戦争物でも、小島信夫のそれとは全く逆に、胸に迫るような現実感が少しも感じられない。職業文筆家、昔の代書人の書く文章って、こんな感じなのではと思ってしまう。

  • 「鶴」が何といっても素晴らしい。この密度の高い文章から、後年のユーモアがでてきたのかと思うと、ちょっと不思議な感じもします。主人公が望遠鏡を通して見る景色は、モダニズムの絵画を見ているようでもある。

  • え~と、思想的なことはなんかよくわからないんだけど、左系の文学なのかな?
    でも、プロレタリア文学なんかと違って、不思議なおもしろさがあります。

    軍隊ものも、なんか反発しながらものすごくなじんでいる感じのところもあるし。

    「阿久正の話」とか特におもしろかったです。

    左な人なのかとも思うのだけど、それも、笑ってる感じもある。
    ものすごく、引いた感じというか、目線。

    これ、何だろう?

  • 林不忘の破天荒な人生に興味を持つ。
    長谷川燐二郎の弟。国境の風景、小川未明の童話の一遍に
    つながる。

  • 戦後に活躍した長谷川四郎という翻訳家、詩人、小説家の作品集。
    村上春樹さんの『若い読者のための短編小説案内』で取り上げられている作家の一人だ。安岡章太郎、吉行淳之介、庄野潤三と読んできたがそのつづきだ。

    「阿久正の話」が取り上げられていたが、シベリア物も読んだ。確かに土俗的な匂いがしない。寓話的であり、ファンタジーっぽい感じもする。ちょっとシュールだったりもする。ストーリーラインも良く分からなかったりするが、雰囲気がある。

    で、「阿久正の話」。
    戦後、自分を失ったかのような主人公阿久正の人となりの紹介みたいな話だ。
    家を自力で建て、妻と二人で目立たず暮らしている。会社ではいるのかいないのか分からないような存在だが、仕事はきっちりする。

    生きることに疑問を持っているような、そうでないような、超俗的な生き方をしている。村上さんは「遊民」だと表現しているがそのとおりかもしれない。
    几帳面に生きており、無駄がない。そしてあっさりと事故で死ぬ。

    こういうあっさりとした、というか恬淡としたというのかそういう生き方をしたいと思う。会社でもそうありたい。明日からの生活のモデルを見つけたような気がする。
    しかしながら、俺の気質は余りにウェットだ。

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