なぜ親はうるさいのか 子と親は分かりあえる? (ちくまQブックス)
- 筑摩書房 (2021年12月22日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480251312
作品紹介・あらすじ
親が過干渉になる仕組みを、子ども・大人・母親の立場から徹底究明。「逃げられない」あなたに心得ておいてほしいこととは。渾身の全編漫画描き下ろし!
感想・レビュー・書評
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親が「うるさい」理由を、子ども時代、大人になってから、親の立場からの3ステージに分けて考える。
どのステージも、ああ…と頷くことがたくさん。
A面B面の考え方も面白い。
全編漫画で読みやすい。
子どもだけでなく親にも読んでほしい一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うるさい親になっちゃってるなと感じている今日この頃。A面とB面の考え方がとてもわかりやすかったし、少しやれそうな気がする。世間の声はとりあえず後にしてでも自分や子どもの事情に耳を傾けてみる。
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〈親との関係に悩むあなたへ〉
子どもの頃から母親から苦しまされていた筆者が、大人になり、母親になり、子供の頃の自分の気持ちや母親の気持ちを分析し、「親と子の関係」を書いた一冊。全編漫画書き下ろしです。
親はうるさい。
本書でも最初に色々な親のうるさ型を示します。
「早くしなさい」系うるさい、ねちねちうるさい、爆音系うるさい、すぐねかしてきてうるさい、アドバイスうるさい
それに子どもが反応すると親はこう返すとも言っています。
あなたのため返し、お父さん巻き込み返し、極端返し、ひやかし返し、割り込み返し、急に弱り返し
そのような親の姿を見て、子どもは何も言い返せなくなってしまいます。
本書の第1章は、子供の頃の筆者が母親からどのような「うるささ」を受けてきてかが描かれています。読んでいると筆者が置かれていた状況が厳しく、読んでいて辛くなるところがあります。
筆者の体験を「分かる」と思う人もいれば「私の家はそれほどでもない(からそれほど辛くないのかもしれない)」と思う人もいるかもしれません。後者の人は筆者と自分の体験を比較して、辛くないと思っているのでしょう。けれど、本書の中でこういう考え方が示されています。
"「つらい」は人と比べなくていい"
"自分がつらいなら「つらい」でいい"
"親のことがイヤならイヤでいい"(p.43)
筆者の辛さと比較した人は、ぜひ自分自身がどう感じているかを大事にしてほしいと思います。
第2章では、大人になった筆者が、子どもの頃の自分は母親にどうしてほしかったのかを振り返ります。そこで、筆者は自分自身の事情を聞くということをします。
第3章では、子を産み母親になった筆者が、うるさかった母親の気持ちを分析します。自身の幼少期からの経験から「子の気持ちに耳を傾けるぞ」と決心していた筆者にも、子どもの気持ちに寄り添えない現実に直面します。
筆者は世の中を2つの面に分けて考えてみます。
人間がみんなで生きていくためのシステムや社会通念によって決まりごとだらけの「A面」
自然の摂理や生理現象など揺るぎなく逆らえない「B面」
の2つです。
そして、「B面」の塊である子に「A面」の意見を渡し伝える係が親にはあると気づきます。例えば、おもちゃで遊びたいために友達が遊んでいるおもちゃを取ってしまった子に「いきなり取ってはいけない」と教える親のように。
筆者はこの気付きから、筆者の母親が「A面」からの力が強くて、うるさくかったのではないかと分析します。例えば、屈託なくしゃべる子どもの筆者に対して、「相手の気分を悪くするようなことは言ってはいけない」というA面の気持ちが強くなっていたでのはないかと推測します。
第4章では、うるさい親との関わり方を示します。
筆者は距離をとっていた母親と、悩みつつも改めて会うことを決心します。母親からはあれこれと言われますが、対等に返答することで母親は納得し、両者は対話ができるようになります。
その後に、実際に今を生きる十代にむけて、親との付き合い方や自分の気持ちへの向き合い方を提案します。
本書の良いところは、筆者が極端な結論に至っていないところです。
「母親はひどい親だった。毒親だ」と断罪するわけでもなく、かといって「母親には母親の悩みがあったのだろうからしょうがない」と筆者の苦痛をなかったことにもしません。子どもの時の自分、母親、母親になった自分の立場からそれぞれ分析し、より良い方向に生きていこうと、ちょうといい塩梅を探っています。
今まさに親の立場にある方が読んでも、子との関わり方について考えさせられるのではないでしょうか。
読むと、親との関係や心理的な距離に悩んでいる十代に「幸せになってほしい」という筆者の念が感じられる本です。 -
小4の娘も一緒に読んでくれました。それが何より嬉しい。感想聞きたいんやけど、なかなかいいタイミングで聞き出せない。と、書いていた時にいいタイミングで二人になれたので聞いてみたら、かぁかは怒った後でもこういうところがあるのは素敵だよ、と怒って終わりにしてないところがすごいよね、と言っていて、子どもなりに客観的に親を見ていてすごいな、ってお父さんは満足しました。相対的に見た時に自分の立ち位置がわかるってあるなと思うけど、それが小4の娘でも感じているのですごいですね。
その人を絶対的に見てあげるっていうのも大事だけど思うんだけど、相対的に見るからこそ、足るを知る、というのも体感できるんじゃないかと思います。
だから、小説とか他人の生きてきた人生を聞いて、自分を見つめ直すことも必要ですね。
娘が今をちゃんと感じてくれたことが一番嬉しい。 -
親との関係に苦しむ中高生にとって、ここまで親子関係を考察した本を読むことは助けになるはず。
親だけを批判するのではなく、こういう仕組みだったのか?と構造を示してくれている点で説得力がある。
出てけという言葉は子どもの自尊心を傷つける
子どもの気持ちに耳を傾ける大切さ
自分が経験から得てきたA面(社会的な、常識的な)のルールを子供にそのままぶつけない(何か問題が起きた時だけにしよう)
子供とは対等に話すのは無理、乗っている土台が違うのに同じように考えるのは無理
親に子どもが偉そうな口を聞くのはあり得ないという思い込み -
中学生の著者がお母さんにあーだこーだ言われる描写が結構しんどい内容で、読んでいてだんだん息が詰まっていくのを感じた。
A面、B面の表現が秀逸で、腑に落ちた。そうそう、自分の生活での悩みって、結局A面B面のバランスについてだ。
そしてやっぱり自分の声を自分で聞いてあげるのが何よりも大事。そうすれば納得して、覚悟できる。
巻末の著者おすすめの本も読んでみたい。 -
この著者の方は、心の中のモヤモヤを言語化して、構造化して、解決する方法(または解決まで行かなくても軽くする方法)を導き出している。本当にすごい。同じ悩みを持っても、私にはそこまでできない気がする。
真似はできないけど、考え方の参考にするのはいいと思う。読みやすいし。 -
なんて読みやすくかつわかりやすい本なんだと思った
「物事をA面とB面で捉えてみてみる」という考え方に既視感を思っていたら、上野千鶴子さんとの著書『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』で言ってたのだと気づいた。
著者がとある本で出会った「親の行動の種類やひどさの度合いは関係なく、子どもは親から自分の気持ちに耳を傾けてもらえないこと、関心を持ってもらえないことに非常に傷つくのである。」
「相手を理解することとその行為を否定することは両立できる」
日光(親との距離)を調整するのは太陽(親)を否定することにはならない
(親を太陽に、日光を親の影響力に例えている)
薄めで手に取りやすく、中身もコミックエッセイでとても読みやすい。
親との関係がうまくいかず、かつ自分の意思で距離を変えることができない学生さんたちにもっとこの本が届けばいいなと思う -
身につまされるので、ちょっときつかった、親として。でも、そうだよね、ワタシも子供の頃は母が面倒だった。なんて、懐かしく思ったり。
著者プロフィール
田房永子の作品





