猫と考える動物のいのち 命に優劣なんてあるの? (シリーズ・全集 ちくまQブックス)

  • 筑摩書房 (2024年12月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (128ページ) / ISBN・EAN: 9784480251565

作品紹介・あらすじ

ネコ、ウシ、ブタ、ニワトリ、スズメ、カエル、ハクビシン……身の回りには色んな動物がいて、わたしたちは彼らと一緒に住んだり、敵対したり、食べ物にしたりして、共に生きている。わたしたちとは大きくちがう動物のこと、人間のことを、猫たちと一緒に考えよう。

===



ようこそ『猫と考える動物のいのち』へ! この本のタイトルを見て「ん? 『動物のいのち』を『猫と考える』って、どゆこと? 」と、いろんな「?」が頭に浮うかんだだろうか。ふふ。

 まずは自己紹介をしなきゃだね。ぼくは小説家で、郷里の青森の方言(南部弁)を使った小説とか、ぼくらの社会が抱えた様々な問題をテーマにした小説を書いてきました。だから、動物についての専門家では全然ないのだけど、それでも動物たちについて言うべきことがあるかもしれないと思ったんだ。というのも、動物についてのぼくの見方と、世の中の人々の見方がずれていると思うことがよくあるから。そのズレをはっきりさせることで、この本を手に取ったあなたにも、動物についての新たな見方が生まれたらうれしい。

 というわけで、これからぼくは、ふたりの先生と一緒に、ぼくたち人間を取りまく動物たちのことについて、あれこれ考えていきたいと思う。 

 その先生というのは、うちで一緒に暮らしている猫たちだ。(「第1章 猫はぼくの先生」より)

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて手にとった。
    優劣や価値、それらを勝手に決めているのは
    人間だけなんだと強く感じた。

    人間の傲慢さ。欲。矛盾。
    動物や自然のことをおもうと、人間の悪い部分が浮き出てきて嫌になる。
    でも自分を含め周りも人間だらけで、
    その社会・世界で生きていかねばならず…
    生きるためには多少なりともお金や資本主義に染まるしかない。
    ↑この暮らしを続けるのか…とウンザリもする。

    大きく変化させるのはとてもとても難しい。
    経済が絡むので余計に……。
    だからといって、このまま何も救済しないのは罪だと思う。
    自己意識を変えること、動物の置かれている状況(畜産やペット産業など)を疑うことから変化が始まると思いたい。

    著者のような心の人間がいてくれるだけで
    私としては気持ち的にちょっと救われる。
    考え、思いやりのある人間が増えたら
    もっと自然も動物たちも人間も
    穏やかに "生きる" のではないかと。
    こんな考えは甘ちゃんだろうか?

  • 【目次】

    第1章 猫はぼくの先生

    クロスケとチャシロの「育ち」のちがい
    猫は笑わない
    猫には「ブサイク」という考えがない
    猫は自分を責めない

    第2章 まったくちがう世界を見ている存在=他者

    身近な生きもののスケッチ――ハト・スズメ・カエル・クモ
    電線を歩くハクビシンと、電線にぶら下がったネズミの話
    同じ時間に多種多様な生きものが生きている

    第3章 動物のことをホントに理解できる?

    人は擬人化することでしか他者を理解できない
    だけど、擬人化された動物は尊重されてる?
    「わからない」という余地を保つ
    使えなくなった言葉――「馬鹿」「ケダモノのように」
    言葉が通じなくても一緒にいるのがうれしい

    第4章 ぼくや君の知らない世界

    被爆した牛を生かす牧場
    河川敷で暮らすおっちゃんと猫

    第5章 利用される動物たち

    殺されるために生れる命
    見えない場所で動物たちに何が行なわれているのか
    肉を食べる資格?
    動物から奪わないことを選んだ人たち

    第6章 命ってなんだろね

    命には身分とか優劣がある?
    命を区別・差別すると何が起こるか
    水俣病事件と生きものたち

    第7章 命の世界を心の真ん中に

    猫をなでるときの心得――心を外に向けて相手を感じる
    生きものたちとつながる自分
    自分も生きもの、もっと楽に生きていいのだ

    次に読んでほしい本

  • 10代のためのノンフィクションシリーズ「ちくまQブックス」、第三期の新刊。

  • この作品は、猫の視点から書かれていることもあるが、ちょっとした自然の中の話や日常から見る話があり、興味を引き立てる本だった

  • 480/キ

  • 家畜って、ワードの醸すイメージの悪さもさることながら、実際問題、ヒトの身勝手さが浮き彫りになる存在だわな。残念ながら、日常的に思いを致すほど真面目に向き合っていない訳だけど、その生に、その存在に向き合うことのできる読書時間であった。

  • 数年前から畜産動物たちの現状に興味を持ち、肉食を控えたり動物製品を買わないといった行動をとりつつも完全なヴィーガンという域には達していない私にはとても共感できる部分が多かった。
    うちも猫がいるので、猫のごはんだけはどうしても脱肉食にはできないし…。
    なかなか理解してもらえない思想ではあるし、人によっては拒否反応を示すこともあるけど、だからといって、知ろうとすることや少しでも改善できるように考え続けることを止めてはいけないなぁ…と改めて思えた。

  • P56より抜粋
    〃大切なのは、「命として同じ」という感覚を心に持って、意識を人間以外の外側にもいつも開いておくことなのだと思う。〃

    「この命は重要で、この命は重要じゃない」という命の線引きを、気づかないうちに人ってしてるよね?をやさしい口調で問いかける本。
    ペット、野生、家畜(経済動)など、または哺乳類・魚類・昆虫類といった分類で動物の扱われ方が違う、つまり命を区別・差別している現状がある。でもだからといってヴィーガンになろうとか畜産業はひどいダメだとか短絡的に思うのは違和感があること(従事している人の大変やさ有り難さや、消費している自分の状況を見て見ぬふりするのはよそう)、要は動物に対する矛盾について気づくきっかけをくれます。

  • 玄米食からマクロビ、ヴィーガンかじりかけました。つらぬくのめんどくてやめちゃったけど、もう少ししたらまたかじりたいと思います。

  • 猫と考える動物のいのち 命に優劣なんてあるの? (シリーズ・全集 ちくまQブックス)

    本の概要
    概要1: ゲーム作りの楽しさ
    「人生が変わるゲームのつくりかた」では、ゲーム作りの基本的な考え方を紹介しており、特に「場を楽しくするルール」の重要性が強調されています。人気ゲーム開発者が初心者向けに、ゲーム制作の楽しさとそのプロセスを解説しています。ゲーム作りを通じて、人生をより面白くする方法を学ぶことができる内容です。

    概要2: メディアリテラシー
    「SNS時代のメディアリテラシー」では、情報が氾濫する現代において、どのようにして真実と虚偽を見極めるかを探究します。ニュース、SNS、動画、AIに関する知識を深め、情報を正しく理解するための新しいメディアリテラシーを学ぶことができます。対話を通じて、考える力を養う重要性が述べられています。

    概要3: 法的な考え方
    「法は君のためにある」では、中学生の主人公が直面するトラブルを法的視点から解決する方法を探ります。法の世界を通じて、他者との関係をより良くするための考え方を学ぶことができ、法律の重要性を理解する助けとなります。

    概要4: 哲学的対話
    「不思議なテレポート・マシーンの話」では、哲学の基本的な問題を扱い、論理的思考の展開方法を学ぶことができます。テレポート・マシーンとの出会いを通じて、自分の存在や時間、空間について深く考察する機会を提供します。

    概要5: 動物の命
    「猫と考える動物のいのち」では、動物の命に優劣はあるのかというテーマを掘り下げます。身近な「なぜ?」を出発点に、動物の命をリスペクトする重要性を伝え、読者に考えることの大切さを促します。

    概要6: 食料問題
    「いちばん大切な食べものの話」では、日本の食料自給率の低さとその影響について考察します。どこで、誰が、どのように食べ物を作っているのかを知ることで、食に対する理解が深まり、食品ロスの問題にも触れています。世界の飢餓問題についても考える内容です。

    概要7: 植物の進化
    「植物たちのフシギすぎる進化」では、植物がどのように進化してきたのかを探ります。生き残りをかけた植物の戦略や進化の過程を通じて、自然界の多様性や強さについての理解が深まる内容です。

    概要8: 動物と人の関係
    「10代に届けたい5つの授業」では、動物との共生や人間社会の課題について考えます。動物の権利や福祉、さらには貧困や障害といったテーマを通じて、若者が社会に対してどのように関わるべきかを考えるきっかけを提供しています。

    これらの本は、それぞれ異なるテーマを持ちながらも、共通して「考えることの大切さ」を強調しています。多様な視点からの学びを通じて、読者は自分自身や社会について深く考える機会を得られるでしょう。

    この本の主なテーマは何ですか?

    この本の主なテーマ
    この本の主なテーマは、動物と人間の関係、命の平等、そして社会的な問題に対する理解を深めることです。具体的な内容は以下の通りです。

    1. 動物と人間の関係
    動物と人間が共生するために、相互理解が重要であることが強調されています。
    動物たちの状況について、特にペット産業や実験動物の扱いに対する批判が述べられています。
    動物を擬人化することの影響についても考察され、動物の声を無視せずに尊重する姿勢が求められています。

    2. 命の平等
    「命に優劣はない」という視点から、動物の命と人間の命が等しい存在であるべきだと主張しています。
    命を区別・差別することがどのような問題を引き起こすのかについて考えさせられます。
    動物たちの命を軽視することが、社会全体に負の影響を及ぼす可能性があると警告しています。

    3. 社会的問題の理解

    貧困や障害、不登校といった社会問題を取り上げ、それらが動物や人間の生き方にどのように影響するかを探求しています。
    専門家がわかりやすく解説しており、大人が知っておくべき内容が盛り込まれています。
    動物に対する偏見をなくすための教育的な要素も含まれています。

    4. 具体的なエピソードや事例
    ヨーロッパの動物裁判や、第二次世界大戦中の動物の利用に関する驚くべき事例が紹介されています。
    動物たちが直面する現実的な問題についての認識を高めることを目的としています。

    このように、この本は動物と人間の関係を深く掘り下げ、命の尊厳を考えるきっかけを提供しています。また、社会問題への意識を高めるための重要なメッセージを含んでいます。


    猫に特に焦点を当てる理由は何ですか?

    猫に特に焦点を当てる理由
    1. 猫の擬人化と文化的影響
    猫は擬人化の対象として広く取り上げられ、さまざまなメディアで親しみやすさを増すために利用されています。この擬人化は、猫や犬が言葉を話すように描かれることで、視聴者にユーモラスでかわいらしい印象を与えますが、同時に動物自身の尊厳を考慮せずに利用される危険性もあります。擬人化の良し悪しは、動物に対する敬意の有無に基づいて判断されるべきです。

    2. 猫との共生と学び
    猫との共生は、私たち人間の生活や価値観に影響を与える重要なテーマです。猫は異なる生き方をする存在であり、彼らの生活や感情を理解することで、私たち人間の生き方についても考えるきっかけとなります。特に、安心して過ごせる環境で育った猫と、外の危険にさらされていた猫との違いは、人間の社会的状況にも通じるものがあります。

    3. 動物の命の大切さ
    猫に焦点を当てる理由の一つとして、動物の命に対する尊重があります。猫は私たちの生活において特別な存在であり、彼らの命や生活環境について考えることは、私たち人間の命の価値を再考させる要素にもなります。動物たちは自分たちの苦しみを言葉で表現できないため、擬人化によって彼らの声を代弁することは、責任を伴う行為となります。

    4. 社会的なメッセージ
    猫を通じて、「命の優劣はない」というメッセージが広まりつつあります。このような視点は、すべての動物が平等であり、私たち人間が彼らをどう扱うべきかを考えさせるものです。特に、動物たちが人間社会においてどのように利用されているかを理解することで、より良い共生の形を模索することができます。

    まとめ
    猫に焦点を当てる理由は、多岐にわたりますが、主に擬人化、共生の学び、命の尊重、そして社会的なメッセージがその中心にあります。これらの要素は、私たちが動物とどのように関わり、どのように共に生きるべきかを考える上で重要な視点となります。

    本書で提起されている一般的な疑問にはどのようなものがありますか?

    本書で提起されている一般的な疑問

    本書では、動物と人間の関係や命の価値について多くの疑問が提起されています。以下に、主な疑問を整理しました。

    1. 命の価値について
    命には優劣があるのか?
    どのように命を区別し、差別することが問題になるのか?
    動物の命は経済的効率で管理されるべきなのか?

    2. 動物との関わり
    擬人化は動物に対する尊敬を示しているのか、それとも見下す表現なのか?
    動物たちの声を人間の都合で作り上げることの問題は何か?

    3. 動物福祉と倫理
    動物実験やペット産業における倫理的問題はどう考えるべきか?
    食肉の歴史から見た命の取り扱いはどのように変わるべきか?

    4. 社会的な視点
    社会での「常識」としての命の扱いに対して、どのように抵抗するべきか?
    動物との共生を実現するために、我々は何を学び、行動すべきか?

    詳細な説明
    本書では、これらの疑問を通じて、動物と人間の関係の重要性や、命の尊厳について深く考えさせられる内容が展開されています。特に、命の差別や擬人化に関する議論は、我々が無意識に持つ先入観を見直すきっかけとなります。また、経済効率で動物の命を管理することが、最終的には人間社会にも影響を及ぼす可能性が示唆されています。

    動物福祉や倫理に関しては、動物たちがどのように扱われているのかを知ることが重要であり、その現実を直視することで、より良い共生社会の実現に向けた考察が求められています。これらの疑問は、我々が日常生活でどのように動物と接するかを考える上で、非常に重要なテーマです。

  • 動物の命に関わる問題はとても複雑で難しいと思う。アニマルウェルフェアに取り組む農家は増えてると思うけど、この本の著者はふだん1パックいくらの卵を食べているのだろう。屠場に従事する方の話には向き合ったのかな。

  • 【請求記号:480 キ】

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著者プロフィール

木村 友祐(きむら・ゆうすけ):小説家。1970年、青森県八戸市生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。2009年「海猫ツリーハウス」で第33回すばる文学賞を受賞しデビュー。著書に『海猫ツリーハウス』(2010年、集英社)、『聖地Cs』(2014年、新潮社)、『イサの氾濫』(2016年、未来社)、『野良ビトたちの燃え上がる肖像』(2016年、新潮社)、『幸福な水夫』(2017年、未来社)、『幼な子の聖戦』(2020年、集英社/第162回芥川賞候補。2023年に文庫化)、温又柔氏との往復書簡『私とあなたのあいだ――いま、この国で生きるということ』(2020年、明石書店)がある。

「2024年 『猫と考える動物のいのち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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