となりのヤングケアラー SOSをキャッチするには? (シリーズ・全集 ちくまQブックス)

  • 筑摩書房 (2024年12月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (112ページ) / ISBN・EAN: 9784480251572

作品紹介・あらすじ

どんなときに「クラスメイトの中にヤングケアラーがいるかもしれない」と感じるだろうか。家事や介護だけでなく、精神疾患をもつ家族を助ける子どももいる。複雑な感情を抱え、孤立を深めているケースも多い。ヤングケアラーが近くにいたとき、何ができるか。〝居場所〟をキーワードに考えていく。

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 私は社会的困窮地域で子ども支援を調査するなかでヤングケアラー問題と出会った。子ども時代にヤングケアラーを経験した人たちにインタビューをお願いして学んだことをもとに本書を執筆している。

 本書では、「もしかしたら、クラスのあの子はヤングケアラーかもしれない、でも違うかな。」と感じて本書を手に取ったみなさんの視点から考えていく。そうすると現在一般的に思われている姿とは少し異なるヤングケアラーの姿が浮かび上がってくる。家事や介護といった労働に従事する子どもだけがヤングケアラーではない。とりわけ精神疾患をもつ家族をサポートする子どもの存在が気になってくる。

 家族のことが心配なときには感情の負荷が大きい。心配や不安もあれば、家族が好きでサポートしたいという感情もある。あるいは状況から逃げられなくて苦しいという感情もあるだろう。怒りや憎しみもありうる。

 そのなかでヤングケアラーを苦しめるのは何よりも孤立である。家に閉じこもり、家族のサポートに没頭するなかで、「家のことを外では言えない」と周囲に相談できずに抱え込む。

 そしてヤングケアラーが最近になって注目されたことには、社会的な理由がある。ヤングケアラーになるのは、もちろん子どものせいではないし、病や障害をもつ親やきょうだいのせいでもない。しかも今から何十年も前、日本が貧しかった頃、子どもがきょうだいの世話や家事を担うことが当たり前だったときには注目されなかった。現代、注目されることは、何か社会の側の事情がある。

これらのことを、本書では考えていきたい。(第1章より)

みんなの感想まとめ

本書は、ヤングケアラーという新たな社会問題を子ども向けに解説し、彼らの存在を認識する重要性を伝えています。読者は、身近にいるかもしれないヤングケアラーの実情や、家族を支える子どもたちが抱える複雑な感情...

感想・レビュー・書評

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  • 昨今、ニュースやCMなどでも取り扱われている"ヤングケアラー"。
    それら問題を子ども向けに解説した本。読みやすい。

  • 何人か、仕事で関わりのある子が該当するので読んでみた。
    ヤングケアラーという言葉によって、そういう立場の子どもが存在するんだと世の中に認識されたことはよかった。
    でもまだまだ、彼らを支援するにはその方法も制度も人材も不足しているのが現状。現場も手探り。
    私自身、アンテナは充分に働いていただろうか。安心して話せる相手と認識してもらえただろうか。全くもって自信がないが、とにかく、まずは孤立させないこと、そこから始めていくしかない。
    彼らの言葉を聴き取ることはとても難しいが、とにかくやっていくしかない。

  • 中高生向けの編集で、易しく読みやすい。社会構造の変化によって、家族の形も様々となり、身近に頼れる存在が無くなってしまった。そんな現代社会のブラックホールというかエアポケットに、誰もが吸い込まれてしまう可能性があると思う。微かなSOSへの気づきについて深く考えさせられた。

  • ヤングケアラーとは何か、ヤングケアラーの実態、ヤングケアラーを支援する上で、大切なことなどが書いてある本だった。
    ヤングケアラーについて、なんとなく知っていたが、この本を読んでヤングケアラーについて学びを深めることができた。

    この本を読んで、勉強になったことや知らなかったことを、下記に記す。

    1 ヤングケアラーという言葉が出始めたのは、2016年頃。その頃は、5%クラスにいると言われていた。
    しかし、2020年以降調査を深くすると、10%クラスにいることが発覚。

    2 介護や頭にではなく、精神疾患を持つ家族をサポートする子供も、ヤングケアラーという。

    3 ヤングケアラーの子どもの気持ちとして、家族が心配、不安、家族が好きだから支えたい、状況から逃れなくて怒り、苦しい、憎しい。

    4 ヤングケアラーを苦しむのは相談できないなどの孤立。

    5 親が精神疾患を患っており、「死にたい」などという親の話を長時間ずっと聞いていた、ヤングケアラー。
    その後、一人暮らしをして息をつけるようになった、親と一緒に自殺した、親が自殺した、ヤングケアラー本人が自殺未遂をした、そんな親でも好きだというヤングケアラー、親を憎いというヤングケアラー。どの結末も本当にあった話である。
    しかし、そのような子供達は、体調や身なりに影響が出にくいため、見つかりにくい。

    6 親が外国人で、日本語がわからないため、学校を休んで役所などで通訳をする子供もヤングケアラー。
    また、耳が聞こえない親のためにサポートして、通訳している子供(通称コーダ)や、目が見えない親のために、サポートして、通訳している子供もヤングケアラー。
    要するに、子供が学校を休んでまで大人がすべき手続きなどもう子供が担っていること、また子供が大人の役割を担っているところである。また二つの言語を同時理解し、通訳しながら、自分自身の思考もする。人によっては できないことを、子供がしている。

    7 ヤングケアラーの子供達は、家事や介護に時間を取られまともな食事をしていない。(毎食カップ麺はよくあること。)

    8 親が宗教にのめり込んでしまい、その親の活動に休学してまで支援を行うなどの宗教二世もヤングケアラーにはいる。その当事者は、親からすごく束縛され、居場所がなくなり、自殺した。

    9 ヤングキアラーは、不登校・外との接触が少なく(苦しさを人に話せない・共有できないサポートが、うけられないなど)、親との関係に閉じ込められやすく、周りから切り離されて、孤立しやすい。

    10 ネグレクトとされている子供でも、親が精神疾患があり、まともに子育てできないため、その看病をしているかもしれない。そうなると、ヤングケアラーに認定される。

    11 ヤングケアラーは、どのような社会的ケアで、家族全体を応援すれば良いかと考える視点を持つことが大切である。

    12 元々ヤングケアラーという言葉は、1990年頃から、イギリスで使われ始めた。日本では2010年後半から使われ始めた。

    13 子供のヤングケアラーの本人は、SOSを出せない・出してはいけないと思ってしまう・そもそもSOSを出すほどではないと思っていること(外と接触する機会がないため、他の家の状況を知らない。そのため、自分の家がおかしいことがわからない)が多く、いざSosを出すことになっても助けるとは言えず、遅刻が増える・服装が乱れている・給食を食べない もしくはおかわりが多い・いつも眠そう・起伏がはげしい・自傷行為などがある。
    それを大人が気づかない・しっかり観察していない・見て見ぬふりをするなどをせず、しっかりサインをキャッチするようにアンテナを張ることが大切。またその感度も高めることも必要。
    その結果、ヤングケアラーや虐待を早期発見すること、問題が深刻になる前にサポートを組み立てることにつながる。

    14 そもそもケアを、「家族の責任にしない、社会全体でするものだ」という共通了解が必要、また高齢者の在宅支援(精神的支援も含む)、障害者の在宅支援、医療的ケア時の在宅支援、そして、それぞれの領域の連携が不足しているという福祉制度が抱える問題を改善していくことが大切。
    また、ヤングケアラー本人の孤立防止のため、本人の居場所や話を聞いてくれる人のたちの存在、ケアをしてくれる人達の存在があると、なお良い。

    15 ヤングケアラー本人が成人したからといって、ケアを必要とする家族の状況が変わらない限り、本人は楽にならない。行政などのサポート申請がしやすくなるかもしれないが、ヤングケアラーは18歳未満であることが多く、18歳未満までの支援が打ち切られる。そのため、社会の中で、さらに忘れられて埋没するケースもあり得る。

  • 【目次】

    第1章 ヤングケアラーってどんな存在?

    ヤングケアラーの発覚
    子どもが誰でももつ権利

    第2章 家事や介護だけがケアなのだろうか?

    親が精神疾患の子どもたち
    社会から排除される家族
    定義の試み①「家族への心配から逃げることができない子ども」
    定義の試み② 災害のなかの家族、災害としての家族

    第3章 愛憎相半ばする……

    相反する感情のゆらぎ
    家族が心配であり、家族と一緒に過ごしたいし、家族のために役に立ちたい
    家族にしばられて苦しい
    「私」がなくなる
    孤立

    第4章 ヤングケアラーという言葉をどう受け止める?

    マイナス面だけでないとらえ方
    ヤングケアラーという言葉をどう受け止めるか

    第5章 なぜヤングケアラーが注目されるのか-社会構造の変化から考える

    昔の「ヤングケアラー」と今のヤングケアラー
    社会構造の変化とヤングケアラーの誕生

    第6章 ヤングケアラーに必要な支援

    かすかなSOSへのアンテナ
    本人への応援と家族への応援-現在整備されている支援制度
    相談できる人・自分サイドの大人
    居場所と仲間
    生活支援と親支援-地域での子育てへとひらく
    将来のモデル

    終章 それぞれの「居場所」をみつける

    困りごとをサポートし合う社会へ
    一人ひとりのまなざしと、ユニバーサルなケア

    おわりに:ヤングケアラーのみなさんと、そのまわりにいるみなさんへ

  • どんなときに「クラスメイトの中にヤングケアラーがいるかもしれない」と感じるだろうか。家事や介護だけでなく、精神疾患をもつ家族を助ける子どももいる。複雑な感情を抱え、孤立を深めているケースも多い。ヤングケアラーが近くにいたとき、何ができるか。“居場所”をキーワードに考えていく。(e-hon)

  • ヤングケアラーに気づくことはできそう。ただ、それからどうしよう。

  • 367-M
    閲覧

  • 私はヤングケアラーの基準が明確化できておらず、この本からその曖昧さや社会に隠れてしまう存在であることを改めて知った。
    映画やドラマで「ヤングケアラー」と言われていなくても、思い返せばあの描写はそうだったのかなぁと気づいた。「市子」や「あんのこと」、「問題のあるレストラン」などなど。
    もしかしたら今家族のことで悩んでいても言い出せない人がいるかもしれない。この本を読むことで自身の置かれた立場や、その役割の負担軽減に気づける、周りが気づく事ができればいいなと思う。

  • 367/ム

  • 当たり前になってしまっていることに自身では気付いていないけど、実は十分ケアラーっていう存在に、周囲が目を光らせる必要がありますわな。

  • 読みやすく、勉強している気もさらさら感じないがとても勉強になった。やはり教員が大事な位置にいる…総合的な学習の時間や生活科などで取り入れていきたい

  • 私もケアというと家事・介護方面で考えてたんですが、家族の精神的ケアも含むこと、勉強・遊び・睡眠に支障をきたしていたら手伝いの範疇を超えているという線引き、大切なのは孤立させないこと、などなど分かりやすく書かれてていい本でした。なくなればいいんですけどね。

  • 「客観性の落とし穴」を読んで、ヤングケアラーについてもっと知りたいと思って、手に取ってみました。ちくまQブックスは10代向けなので、入門として良いのと、本棚に置いておいて子どもが手に取ってくれると良いな、という気持ちで読みました。

    著者を調べずに購入したら、なんと著者が「客観性の落とし穴」を書いた村上靖彦さんだった。通りで似たような事例が書かれているわけでした。

    新しい何かを刺激されることはあまりなかったのですが、ちゃんと本棚にしまい、いつか娘と一緒に対話してみたいと思います。

    ちなみにヤングケアラーのことをちゃんと知りたいと思ったきっかけは、「客観性の落とし穴」の本もあるけど、その前に読んだ 凪良ゆうさんの「汝、星の如く」。最初は大変な家族くらいしか思ってなかったけど、それがヤングケアラーなのかと気付いた時に、なんか悲しい気持ちになって、でも、憎む相手もいないなんとも複雑な気持ちになりました。この気持ちの整理をしたくて、ヤングケアラーの違う本を読んでみたくて、手に取りましたが、同じ系統だったので、あともう1冊くらい別の本を探してみようと思います

  • ・「ヤングケアラー」とは、家族ごと災害に見舞われた状態、に近い
    ・ヤングケアラー本人だけでなく、家族全体への支援が必要
    ・孤立感
    ・ヤングケアラーをネガティブな響きとする必要は無い。不登校やネグレクトのように悪い意味を刷り込むのではなく家族へのケアが必要なグループ、くらいの扱いにした方が良いのではないか。
    ・頼れる大人と出会える仕組み作り

  • 職業柄あらゆる年齢の人たちに毎日接する自分に出来ることは、その人にとってその日唯一の会話が自分とのこの一言かもしれないと思って接すること。
    (もちろん度を超すおしゃべりさんにはほどほどに・・・)

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著者プロフィール

村上 靖彦(むらかみ・やすひこ):1970年、東京都生まれ。基礎精神病理学・精神分析学博士(パリ第7大学)。現在、大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点CiDER兼任教員。専門は現象学的な質的研究。著書に『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書)、『ケアとは何か――看護・福祉で大事なこと』(中公新書)、『「ヤングケアラー」とは誰か――家族を“気づかう”子どもたちの孤立』(朝日選書)、『子どもたちがつくる町――大阪・西成の子育て支援』(世界思想社)、『すき間の哲学――世界から存在しないことにされた人たちを掬う』(ミネルヴァ書房)、『摘便とお花見――看護の語りの現象学』『在宅無限大――訪問看護師がみた生と死』(医学書院)ほか多数。

「2024年 『となりのヤングケアラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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