エマ (下) (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480421388

感想・レビュー・書評

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  • 下巻の後半からの急展開にびっくり!
    ものすごい勢いであちこちに恋が降ってきた!

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    下巻の前半は、ややエマの愚かさや勘違いもおとなしくなるものの、ここからどうやったハッピーエンドになるの??という感じでした。

    しかし下巻も半分を過ぎたあたりから、突然、あちこちに恋が降ってきて、なんだかうまくまとまってしまいました。
    結末はちょっとご都合主義のような、まとめすぎた感じが否めないものの、「だからこの人物はこういう態度だったのね」と合点がいきました。
    おなじくジェイン・オースティンの名作「高慢と偏見」と比べると、似たような世界観や設定に既視感を覚えますが、お話としては最終的にはおもしろかったです。

    文章量は多いですが、上巻を乗り越えれば読みきれると思います。

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    上巻を読んだときから、主人公・エマはちょっと好きになれない性格だなあと思っていましたが、訳者あとがきにはこう書かれていました。

    「そして翌年“エマ”を書き始めたころ、今度の主人公について、“作者の私以外は誰も好きになれないようなヒロインを書くつもりです”と、エリザベス(注・“高慢と偏見”の主人公)と正反対のヒロインを書く決意を語っている。」(386ページ)

    なんと!
    主人公・エマの性格は、完全に意図されて作り出されたものであり、著者の狙い通り「好きになれないなあ…」と感じてしまっていたのかわたし!と、ぼう然としました。
    著書の術中にまんまとはまり、わたしは上巻からエマの言動にイライラしていたのだと思うと、苦笑してしまいます。
    恐るべし、ジェイン・オースティン…!

  • 最初はエマのちょっとうぬぼれたお節介ぶりにやきもきさせられるものの、読み進めていくと、彼女が「本当に」頭のいい女性なのだ、ということがわかってくる。
    エマは頭の回転が速く、思いやりがあり、行動力もある女性なのだ。それでいて美人でお金持ちで、家族にも恵まれているのだから、彼女が「お節介」に義務感のような思いを抱くことも、ごくごく自然なことだと思う(本人はそれを「お節介」だとは思っていないが)。

    そんな、「ちょっと行き過ぎ」なエマを、きちんとたしなめ、また導こうとしてくれるナイトリー氏は素晴らしい。
    本当に愛しているからこそ、はっきりと注意し、時に厳しくたしなめる。本当に愛情を持っていないと、ぜったいに出来ないことだ。そしてそれはまた、愛情だけでも決して出来ないことだ。

    私は、エマがベイツ夫人に思いがけず侮辱の言葉を言ってしまって、そのことをナイトリー氏から厳しく非難され、彼女が激しい後悔に襲われる場面が、とても好きだ。主人公が傷つき猛反省する場面を、好きだと言うのもどうかと思うが。
    この場面で、エマは自分のしたことをとても反省する。こんなことは、もう二度としないと誓う。私はこのとき、彼女の純真さが輝いていると思う。本人はとても辛いし、とても後悔しているのだけれど、そのことを心から悔い改めようと決意し、エマはそれをきちんと行動に移すのである。

    癖のあるヒロインだし、確かに『高慢と偏見』を読んだあとだと、ストーリーの清々しさという点をどうしても比べてしまって、あちらに軍配を上げたくなる。
    しかし、このお話に描かれた「反省」は、これからふとした瞬間に私を励ましてくれるのではないかと、ちょっと期待している。

  • 「世話を焼いてやればやるほど、自分では何もしなくなる人たちが、世にはあるものだ」p89

    エマは一瞬この様な考えに至ったにも関わらず、自分の意見とは反対の行動をとる。
    色んなこと考えても結局は行動が全てを表す。

    「人間性というものは、興味深い状況に置かれた人たちに対しては、非常に好意を持つもので、もし若い人が結婚するか死ぬかという状態になると、必ず良い噂をされるものである。」p174

    フェアファクス嬢がどういう女性であれ、人々は本当に噂が大好きなんだよなぁ。今も昔も

  • 2019.12.14

    【感想】
    展開はベタなのに、とても面白かった!!!
    メインの内容は、少女漫画で言うところの「歳の離れた幼馴染みが無自覚のうちに想い合う、そこにライバルが出現したことによって各々の気持ちをやっと自覚」って感じかな?!

    「ずっと同じナイトリーさんでいてほしい。」エマの言葉がとてもわがままで、とても切実

    ナイトリーさんの想いを告げる言葉たちが誠実で好き
    エマとフランクのたわむれを見たくなくてロンドン行くとか可愛すぎる好き

    「欠点だらけだが完璧なエマ」とはその通りだと思う
    エルトン夫人が苦手すぎる!!!

    【印象に残った言葉】
    心の慰めや平静さを求めたいなら、これから良い行ないをしようと決意するしかないではないか。
    →エマの人間的な素晴らしさを感じた。


  • ナイトリーさんが、ダンスで救うシーンがかっこよすぎて、さらにその後エマにダンスを申し込むシーンがかっこよすぎて、
    「うおー!!かっこえー!!!」って、家のベランダで叫びました・・・
    さらに、エマに愛ある忠告をするところ、
    さらにさらに愛の告白をするところ・・・
    中盤から後半にかけてはまさにナイトリー祭りでした。
    とっても素敵でした。
    「欠点だらけだけど完璧な」エマが大好きです。とても共感できるしとても魅力的な女の子です。
    これはずっと読み続けていくだろうな。。。何度読んでもとても好き。

  • 欠点だらけだけど完璧なエマ

    彼女が読者に愛されるのは
    間違ったことをしても反省できるから

    彼女の精神的成長と結婚するまでを
    登場人物たちと見守っている気持ちになった

  • 先に見た映画で少し物足りなさを感じた細かい心理描写は、やっぱり小説ならでは。
    たしかに前半では妄想や思い込みが激しく、半ば遊び半分に見えていた縁結びとか、何かエマの性格ってちょっと…みたいな感じだったけど、ナイトリー氏の指摘などから徐々に自分を改めて成長していく姿を見ると、やっぱりエマってとても魅力的。
    自分を顧みて欠点を率直に認め、持ち前の聡明さでこれまでの行いを改め、いかに人生を歩んでいくか決意する場面は清々しく、思わずそうよ!がんばって!と応援したくなる。
    「欠点だらけだが、完璧なエマ」
    ナイトリー氏が欠点を探し指摘する憎まれ役、その裏にある愛情に気づかず反発するエマ。まさに王道の少女漫画。特に告白シーンは目に浮かぶよう。

    異常に健康を気にする心配性なウッドハウス氏、つまらない話を延々と続けるミス・ベイツ、超性格悪いエルトン夫人など、脇役もキャラ立ちしてて、200年後の今でも充分楽しめる作品。
    上巻で少し飽きてしまったけど、最後まで読んでよかった!

  • いやもう…エマちゃん…身勝手が過ぎますよ……??? 
    自分の幸せのためなら親友が傷付くだろうことも「身分が違うから仕方ない」(自分が煽っておきながら!?)だし、甥っ子の相続権ガーってわめいてたのに自分にその権利が舞い込んでくると「いたずらっぽい微笑を浮かべ」るだけだし!
    周りの忍耐で成り立ってるだけ、大団円も結局自分は何もしてないご都合主義のお嬢様。
    好きになれる要素がやっぱりなかった……くぅぅぅ……

  • フランクとジェインが実は婚約していたという事実に驚きはしたけれど、ジェインにピアノが贈られたという伏線に若干気づいていたのでやっぱりなあと思った。各登場人物の人間味がすごい。エマ・ウッドハウスとジェイン・フェアファクスは同い年で対立する女の子のように描かれているけれど、どちらの女性も素敵な面と欠けている面があって絶妙に魅力的で選べない。

  • 大変素晴らしい。なるほど、地の文を信じてエマは才気のある賢くて上品な女の子だと思って読み進めると大間違いであり、まったく世間知らずで発展途上のお嬢様なのだった、という話か。まさに知らぬは主人公ばかり…の構造であり、スリリングな三人称小説。しかし、度重なる失敗で猛省する姿はチャーミングだし、何よりラストにかけての「賢いつもりで、自分で自分が本当に何を求めているかが全く見えていない、自分の心が一番読めていない」ところがグッとくる。人生とは得てしてこういうものだよな…という趣深さ。高慢と偏見のエリザベスは本当に私の規範となっているキャラクターだけれど、その鋭い切れ味、バッサリとした味わいの良さとはまた違う、等身大の可愛らしいキャラクターに心打たれた。

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著者プロフィール

ジェイン・オースティン(Jane Austen)
1775年生まれ。イギリスの小説家。
作品に、『分別と多感』、『高慢と偏見』、『エマ』、『マンスフィールド・パーク』、『ノーサンガー・アビー』、『説得されて』など。
1817年没。

「2019年 『説得されて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジェイン・オースティンの作品

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