ザ・フェミニズム (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 298
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480421494

作品紹介・あらすじ

決着をつけましょう-。当代を代表するフェミニスト二人が、フェミニズムについて徹底的に語りあった。「夫婦別姓は支持しない。」「リベラリズムはフェミニズムの敵である。」「援交と新・専業主婦は、家父長制につく白アリである。」「老後は女どうしで、という欺瞞。」…etc.今、あなたのフェミニズム観は、根底から覆る。

感想・レビュー・書評

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  • (メモ)人間はイデオロギーや理念では動かないが、意図せざる結果として、現実が変化していくことはあり得る、

     結局フェミニズムって何なんだろう、ということが知りたくて読み始めた。分かったのはフェミニスト一人一人にとってそれは違うものである、ということ。ある政策(制度)に反発するフェミニストもいればいいんじゃない、というフェミニストもいる。
     
     例えば上野さんによるとフェミニズムとは「女性解放思想」であって女性の権利を拡張する思想ではない。だから(?)そもそも父権的な制度である議会制民主主義には反対だし、自分の体の性的使用権を1人の異性に排他的に譲渡する結婚制度にも反対。したがって専業主婦という存在はフェミニズムと相容れないとする。上野さん自身の思想はとても一貫していて清々しいほどである。対幻想の上に成り立つ一夫一婦制という生き方以外の生きる選択肢を示すことは多くの女性にとって逃げ道となったのだろう。一つのあるべき道がドミナントに示されている社会において、そうではない生き方をしたい人たち、またはそのドミナントな価値観によって知ってか知らずか被害を被っている人たちに光を当て、それを理論化していくのが社会学の役割の一つなのだなあだと思った。

     ただしフェミニズムが有閑専業主婦のガス抜きにしかならない、と言うことに関しては小倉千加子も上野千鶴子も認めるところであって、多くの支持を受けてなお、実際に生き方を変えていった人というのはやはり少数なのだとか。
     
     ”女性政策”を進める村の市長とか民生委員だとかのおじさんはフェミニズムのことなんて全く理解していなかった。とりあえず女性を重要そうなポストにつけて黙らせておけば良いと思ったみたい。ということについてはすごく良く分かるし、”あたかも独身のように働ける”既婚男性に有利なように作られている競争原理社会(酒の飲み方、性格、身長含めてその人の実力、とかね)と、幼い頃から刷り込まれ、多くの女性が内面化してしまっている「出産・結婚は女のあがり」という女性性は両立するのが非常に難しいのに、その前提を無視して大枠だけを提示した男女雇用機会均等法が多くの女性をすごく苦しめたという視点も興味深かった。(フェミニストって男女雇用機会均等法とか支持しそうに感じるよね、一見。)


     あと、フェミニストが嫌われている/衰退したように見える理由に関しても説明されていた。官主導の啓蒙活動ということに対する反感(多くのフェミニストは官による講演会とかでつながないと食い扶持がなかったのだが。だって結婚していないし研究者だから。)、そしてメディアによる作られたイメージ(メディアの作り手の大部分は中年男性だった。ヒステリックとか論理的でないとかいうイメージを意図的にメディアが植え付けようとして、そしてそれは成功した。このメディアによるイメージ形成の過程を検証したデータもあるらしい)、女女格差ができてしまったこと(特に男女雇用機会均等法によって)など。

     なぜ女女格差ができてしまったことがフェミ衰退の理由になるかというと、女の中でも学歴をつけた人たちがでてくると、職場にはいって上司のオジさんたちに気に入られるためにはフェミニズムを嫌いと言わなければならなかったから。フェミは社会で生きていけるという意識をある程度の女性たちに与えたことで逆に不要になったとの見方もあるが、格差の下の方の女性たちにとってはまだフェミは有用なのかも。


     今後の自分の思想と生き方の関連性について考えていくきっかけになってくれそうな本。上野さんは思想と生き方が矛盾したままいられるのは3年が限度、って言ってるけど。(考え方の違いが原因で大好きだった彼氏と別れるときってこんな感じだよね。私は一年しかもたなかったけれど)
     まあ男社会というけれど重視される能力は職場によって違うわけで、男女関係なくその能力に突出していれば認められる、と信じてその能力をおとなしく伸ばすしかない、というのが私の結論。それともそれは、私が今、「論理性」という最も公平な評価基準であると思われる大学にいる学生だから現実を知らないのか。(いま社会一般に言われている論理性というもの自体昔々に男の人が作り出したものだから女が社会を支配していたらもっと生きやすかったかもなんて思ったりするけれど、まあそれは仕方ない。そんなこと言い出したらきりがないからとりあえず与えられた状況でsurviveすることを考えよう)

    2人のフェミニストは、社会にあたたかいようなつめたいような視線を向ける。フェミニズムの向かうところなんてフェミニストだって定義できない、フェミニズムは一人一派、というのはすごくなるほどなあ。と思った。私が女性で、女性としてどのように生きていくべきかを生涯考え続ける以上、私は私なりのフェミニストで、フェミニズムとは自己定義権の獲得なのだ。私は、だれにも「女であるお前はこうあるべき」と定義される筋合いはない(それがimplicitなものであれ私はそれに反感を覚える)し、女としての正解なんてないんだ、と言ってもらえたようで嬉しかった。(ときには正解と考えられることに向かって進むことが楽で安定した道に思えるけれど)

  • フェミニズムの入門書としてタイトルに惹かれて
    選んだとしたら、確実に失敗する本。
    あ、俺のことですね。

    著名フェミニストであるお2人が時事問題を絡めて
    フェミニズムについて語り合うのですが、まあ予備知識がないと
    文字通りちんぷんかんぷん間違いなし。

    フェミニズムの多様性はある程度理解してたけど、

    「フェミニズムは一人一派」

    って、あんた方が言っちゃったらおしまいでわ…。
    ちなみにザ・フェミニストってイメージの上野センセは
    実はフェミ界では亜流らしい。へぇー。

    対談本の良さはとっつきやすさなのだが、
    この2人関西弁なので非常に読みにくいのよね…

    まあ批判ばかりしましたが、最後まで読めたので
    それなりに面白かったということでしょう。
    多分読む順番間違えた。

    フェミニズムに予備知識がある方なら、どうぞ。

  • 残念だ。著者の主張に、納得も共感もできないままだった。僕が男で時代も違うから、立場が違いすぎる、と言うのは大きいと思う。ただそれを差し引いても、世の中の多くの人が選ぶ結婚や専業主婦という選択肢を、わからない理解できない、として切り捨てる姿勢は、思想家としてどうだろうか。思考停止ではないか。そうした、思想としての煮詰まってなさが、一番残念に感じられた。他の著書にあたれば、もっと考えがほりさげられているんだろうけど、まずは興味を失してしまった。残念。

  • おもしろく読んだ。対談形式なので読みやすいかなーと思ったが割とそうではなかった。当のおふたりの女性嫌悪が根深い感じもして、なんだかなーと思うところもあり。あとLGBTの議論が活発になり市民権を得た今読み返すと、クィア理論のあたりは引っかかるものを感じる。クィアは思想ではなく有りようなので認める認めないは的外れなものに思えてしまう。ともあれ興味深い一冊でした。

  • 上野千鶴子と小倉千加子の対談です。

    長く「フェミニズムの旗手」と呼ばれてきた二人の対談なので、フェミニズムの教科書的な議論にとどまるはずもなく、日本のフェミニズムがたどってきた特異な歴史を踏まえながらの議論となっています。両者の歩んできた具体的な現実にそくした議論となっているだけに、議論の切れ味が鋭いと感じる一方、両者の依って立つ理論的な背景が見通しづらいという印象もあります。

    もっとも、そうした一枚岩の「ザ・フェミニズム」を求める読者の蒙を啓くという点で、刺激的な対談といえるのかもしれません。

  • [ 内容 ]
    決着をつけましょう―。
    当代を代表するフェミニスト二人が、フェミニズムについて徹底的に語りあった。
    「夫婦別姓は支持しない。」
    「リベラリズムはフェミニズムの敵である。」
    「援交と新・専業主婦は、家父長制につく白アリである。」
    「老後は女どうしで、という欺瞞。」…etc.
    今、あなたのフェミニズム観は、根底から覆る。

    [ 目次 ]
    大阪公開対談―小倉千加子、六年の引きこもりから復活すること(「フェミニスト」とは誰のことか;女知事の登場は「フェミニズムの勝利」か?;林真理子はフェミニストか;代議制民主主義ほどフェミニズムから遠いものはない;少子化は女の復讐か ほか)
    東京密室対談―他のフェミニストたちにはとても聞かせられないこと(主婦のフェミニズムとは?;ウーマンリブとフェミニズム;八〇年代フェミニズムの正体;専業主婦とフェミニズムは結託できるか;性的自由は自由の根源 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 上野千鶴子さん、小倉千加子さん、両者ともに辛辣で歯切れもよく、お互いに遠慮することなくフェミニズムを語っている。
    フェミニズムとウーマンリブの違いがよくわかった。
    結婚観や世間で一般にフェミニストと呼ばれている人達でも一人一派というように微妙に考え方も違う。
    実際にこれが正しいという定義はないのだろう。
    本書で紹介されている吉澤夏子さんや石原里沙さんの本も読んでみたい。

  • 2002年の本かよ!よみながら薄々昔の本棚と気づいてはいたのですがまさか10年前とは。
    対談がかかれているのでとっても読みやすい。視聴者にきちんと難しい言葉には注を入れるし。

    上野千鶴子さんが「フェミニズム」について語ってる本ってはじめてよみました(そもそも上野さんあんまり読んでない)。(反省なう。多方面から起こられる気がする。)。
    おおざっぱにいえば小倉さんのほうが共感できるというか実感に近い印象。いや、VERSUSで話してるわけじゃないんであれですけど。

    結婚や子どもという観念についてはまさしく。
    でも彼女たちの会話は学問だったりで成功した人たちであって、彼女たちがモデルとして多くの女性やフェミニストを救うわけではない。

    彼女たちのいう説に共感して「そうそう」と思うだけでは彼女たちが言っていたような結局公演を聞いても実生活に何も活かせないような、すっきりするためだけに彼女たちの公演を聞きに行く人たちと何ら変わらない。

    小倉さんの他の本を読もう。
    上野さんも勿論。
    彼女たちがどのようにフェミだったりリブ、セクシュアリティについてかたってるのか読む。。

  • 上野千鶴子と小倉千加子の対談集。2000年7月に大阪のドーンセンターで行われた公開対談と、2001年の密室対談。関西弁で小気味よくバッサリやっている。夫婦別姓をあほくさと言っていてえ?と思ったら、さらに進んで戸籍制度、婚姻制度そのものを否定しているのだった。

    あとがきで上野氏はフェミニズムは世の中のノイズであってほしいと思ってきていて、ある種の人々にはとってもノイズ(耳ざわり)な存在だろうと言っている。そして食わずギライで通り過ぎたら無いのも同じと言っている。・・きっといまだに政界財界を筆頭に、ある種の人にはノイズがノイズにならず食わずギライで、存在しないことになっているんだろうな。

  • フェミニズムは一人一派、とだけでもわかれば意味のある本。夫婦別姓や結婚についての考え方は勉強になる。

    あと、京都弁か関西弁かよくわからんが、読みにくいったらありゃしない。

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの ちづこ)
1948年富山県生まれの研究者。専攻は社会学で、女性学やジェンダー研究の第一人者として知られる。東京大学名誉教授。著書に『近代家族の成立と終焉』、『家父長制と資本』(岩波書店)、『おひとりさまの老後』(文春文庫)、『女ぎらい』(紀伊國屋書店)、『ケアの社会学』(太田出版)、『サヨナラ、学校化社会』など多数。

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