つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.67
  • (419)
  • (655)
  • (755)
  • (122)
  • (27)
本棚登録 : 5529
感想 : 742
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480421746

作品紹介・あらすじ

懐かしい町「月舟町」の十字路の角にある、ちょっと風変わりなつむじ風食堂。無口な店主、月舟アパートメントに住んでいる「雨降り先生」、古本屋の「デニーロの親方」、イルクーツクに行きたい果物屋主人、不思議な帽子屋・桜田さん、背の高い舞台女優・奈々津さん。食堂に集う人々が織りなす、懐かしくも清々しい物語。クラフト・エヴィング商會の物語作家による長編小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 吉田篤弘さんの描く世界…
    ひっそりとした夜の暗闇の中にぼっと温かい灯りがともっているような、そんな心地よさが好きです。月舟町の屋根裏部屋に住みたいなぁ。

  • 胸がきゅっと掴まれる感じ。
    忘れていた出来事をふと思い出す時のような、ノスタルジックさ漂う物語。

    ちょっと風変わりでとぼけた常連客達で賑わう、月舟町の十字路の角にある〈つむじ風食堂〉。
    気の弱い"先生"、無口な食堂の"あるじ"、食堂の手伝い"サエコさん"、いつも陽気な帽子屋"桜田さん"、背の高い舞台女優"奈々津さん"、果物屋の青年店主"イルクーツクの彼"、古本屋"デ・ニーロの親方"、体の半分が白もう半分が黒の食堂の猫"オセロ"。
    いつもの時間いつもの場所に集う彼らの会話が実にほのぼのとしていて、和やかな雰囲気がたまらなく好き。
    日常のストレス等で塞いだ心に一陣の風が通り抜け、後に残ったのは爽やかな心地のみ。
    今夜も〈つむじ風食堂〉でいつもの常連客達が賑やかにお喋りしながら食事をしているのかな。
    続編もぜひ読まなくては。

    • nejidonさん
      mofuさん、こんばんは(^^♪
      一番最初に読んだ吉田さんの本です。
      懐かしい~♡ なんとも不思議な温かい世界ですよね。
      この本を読ん...
      mofuさん、こんばんは(^^♪
      一番最初に読んだ吉田さんの本です。
      懐かしい~♡ なんとも不思議な温かい世界ですよね。
      この本を読んだときの時間を、取り戻したい!
      なんて、ちょっぴり感動してしまいました。
      2020/10/04
    • mofuさん
      nejidonさん、こんばんは。
      吉田さんの中で一番有名な本ですよね。
      私も知っていながら他の本を先に読んでいました。
      もっと早くに読んでお...
      nejidonさん、こんばんは。
      吉田さんの中で一番有名な本ですよね。
      私も知っていながら他の本を先に読んでいました。
      もっと早くに読んでおきたかった!
      このほのぼのとした温かい世界観がとても好きです(*^^*)
      この続編もぜひ読みたいと思います。
      コメントをありがとうございました(^^)
      2020/10/04
  • すごーく良いお話でした。
    月舟町の、つむじ風食堂に集う人たちのお話です。(町の名前も食堂の名前もステキ)
    まず、表紙が真っ黒に星一つなので、そんなイメージで読み始めました。登場人物も少ないので、まるで舞台の上で薄暗いライトを浴びながらお芝居をしているのを見ているような感覚でした。みんな、どことなく哲学的な物言いをして、でもそれを押し付けてこない感じが心地よかったです。

  • いつぞや どなたかのレビューを読んで本棚に登録していた本。

    ふと読みたくなり、図書館で借りた。

    バタバタジタバタと日々過ごし、
    忙しくしている割には、何も残らない。
    そんな風に感じている自分に
    時が処方してくれた本のようだ。

    たまたま休みとなった平日の暖かい昼下がりに
    のんびりとした気持ちでページをめくり、
    なんとも言えない懐かしさと
    ゆったりとした時の流れを感じることができ、
    癒された。

    この雨降り先生のように
    本当にやりたいことを右の机に積み上げて、
    日々生活のための左の机にかかりきり
    という気がしてならない。

    月舟町の小さな食堂で
    常連客が掛け合うたわいない話が
    何か哲学的で、宇宙の謎をとくような
    不思議な味わいがある。


    「もし、電車に乗り遅れて、ひとり駅に取り残されたとしても、まぁ、あわてるなと。黙って待っていれば、次の電車の一番乗りになれるからって」

    というバリスタ、タブラさんの言葉が心に響いた。
    2022.3.14

  • なんか、いい感じなのです。

    月舟町の十字路の角にある、「つむじ風食堂」。
    メニューはフレンチ風に、コロッケではなく「クロケット」などと立派だが、こじんまりした店に常連が集う。
    店主は名無しを気取ったのだが、誰ともなくそう呼び習わしていた。

    雨を降らせる研究をしている学者先生がこの街のこれまた風変わりな建物に下宿して、店の常連になった。
    科学的な人工降雨というよりも雨乞いに関する書籍を集めることで人生を終わってしまいそうな暮らし。
    短文を書きまくっては糊口をしのいでいる。

    町の建物のひとつひとつや住人が個性的で、どこかファンタジック。
    隣町の帽子屋さん、デ・ニーロみたいな古本屋の親方、夜中も灯りをつけて本を読んでいる果物屋の青年、ちょっと口が悪い舞台女優の奈々津さん。
    奈々津さんと先生は同じ下宿の住人で、ささやかなやり取りから少しだけ近づいていく。
    雨降りの先生の父親は手品師で、舞台の幕から手だけを出して演技していた。

    丁寧に描かれた静かな雰囲気に、ふんわり包み込まれるよう。
    勝ち組とは決していえないが、負けという感じでもない穏やかな人々。
    夢のある、ほのかな温かさが心地よく、一緒にちょっとしたおしゃべりを楽しみたくなります。
    こんな町に住んでみたいような。
    どこにもないんだろうと思うような。
    どんな町もこんな目で見れば、小さな魅力や出会いがあるかもしれないと思うような。
    そんな気分に。

  • つむじ風が扉の前でくるりくるりと廻っている、名無しの食堂。

    万歩計に、行ってみたい場所というロマンを勝手に乗っけて
    「二重空間移動装置」に格上げしてしまう帽子屋さん。

    舞台の幕にぽつんと開いたふたつの穴からのぞく黒ビロードの袖口。
    その袖口から出た手が操る、花や小鳥やワイングラス。

    豆腐屋の「水門」を抜け、36段の急な階段を昇って辿り着く屋根裏部屋。
    その部屋の中の、ふたごのような「雨の机」と「その他の机」。
    その机で、エスプレッソ・マシーンが人口降雨機となる日を夢想する先生。

    オレンジの果皮に電球の灯を反射させた淡い光で本を読む果物屋の青年。

    ごめんなさいのかわりに階段の33段めにひっそりとオレンジを置き
    お願い事をするのに上から物を言うのは失礼だから、と
    ぺったんこの靴を履いて先生の部屋のドアをノックする奈々津さん。

    映像や音や匂いが魔法のようにたちのぼって
    いつのまにかつむじ風食堂の隅の席で、猫のオセロの背中を撫でながら
    愛すべき月舟町の住人たちの会話に耳を傾けている私がいて。。。

    どこか浮世離れした、温かく懐かしい記憶だけしっかりと刻んで
    鋲で止めてあった形見の袖口という
    かたちあるものは鮮やかに消し去ったお父さん最後の手品のように
    読み手を不思議な時間に誘ってくれる、愛おしい本です。

    • まろんさん
      kara2sorakaraさん、コメントありがとうございます(*^_^*)

      詩的な雰囲気が好きだったり
      本を読むと頭の中で映像化してしまう...
      kara2sorakaraさん、コメントありがとうございます(*^_^*)

      詩的な雰囲気が好きだったり
      本を読むと頭の中で映像化してしまうのが好きだったりする方には
      きっとお気に入りにしていただける本だと思います♪
      2012/09/04
    • 永遠ニ馨ルさん
      さっそく読んでいただけたんですね!!(*´▽`*)!!

      このお話には、木の床を靴で歩くような温かみある音がずっと流れている気がします。
      ま...
      さっそく読んでいただけたんですね!!(*´▽`*)!!

      このお話には、木の床を靴で歩くような温かみある音がずっと流れている気がします。
      まろんさんの素敵レビューから、以前読んだ物語のいろんなシーンがありありと甦ってきてまた読みたくなっちゃいました♪
      2012/09/05
    • まろんさん
      永遠ニ馨ルさん、
      『それからはスープのことばかり考えて暮らした』の後にはぜひこれを、と
      薦めてくださってありがとうございました♪♪♪
      月舟町...
      永遠ニ馨ルさん、
      『それからはスープのことばかり考えて暮らした』の後にはぜひこれを、と
      薦めてくださってありがとうございました♪♪♪
      月舟町も、吉田篤弘さんも、ますます好きになってしまう1冊でした。

      木の床を靴で歩くような温かみある音。。。うんうん、確かに!
      そして、色でいったら
      『それからはスープ・・・』の方は、柔らかなセピア色。
      この『つむじかぜ食堂の夜』は、夜やエスプレッソの黒に、
      月光やオレンジの果皮に反射する淡い光が射しているイメージでしょうか。
      ほんとに素敵でした(*^_^*)
      2012/09/05
  • 大人の軽ーい小説、気を張らず読めて、独特の空気感がたまらなく心地よい

    日本の商店街の一角のお話なのに、外国の小さな町の洒落た小さなレストランのお話のような感覚さえした

    帽子屋の桜田さん、雨を降らせる研究をしている先生、女優の奈々津さん、古本屋のデ・ニーロの親方、果物屋
    つむじ風食堂で交わされる意味ありげで、実際のところ何の意味もない会話が楽しい

    それぞれの人が、ここが憩いの場なのだろう

    特に、父に連れられ訪れていたタプラさんのエスプレーソのお店、何十年かして訪れ、二代目タプラさんと対面する場面、最後タネも仕掛けもなく、父の舞台衣装の袖口が跡形もなく消え去った場面が好きだ

    「もし、電車に乗り遅れて、ひとり駅に取り残されたとしても、まぁ、あわてるな。黙って待っていれば、次の電車の一番乗りになれるから」

    一代目タプラさんの言葉、しみじみといいなと思う
    ガツガツ慌てたり、焦ることなんかないんだと

    小川洋子さんとクラフトエブィング商會共著の「注文の多い注文書」は読んだことがあるが、クラフトエブィング商會というのが吉田篤弘さんと奥さんの吉田浩美さんのユニットだったと、初めて知った

    吉田篤弘さんとしては、初めて読む作品
    この月舟町シリーズを読み終えたら他の作品も読みたくなった

  • ブクログやってなかったら出会わなかったであろう一冊。
    他の方のレビューを読んで、なんか気になったので手に取ってみるブクログの醍醐味。

    とある食堂の夜を中心に繰り広げられる凛とした空気感、優しさ、静謐さに溢れた”濃紺の背景に輝くひとつの星”の装丁のイメージどおりの物語。

    決して尖った人は出てこないのだが、”らしさ”を持った人々が食堂というアンカーを持ちながらそれぞれの人生を歩んでいる姿をときにシリアスにときにユーモラスに切り取っている。
    いろいろ悩みや不安、満たされない思いもあるのだろうが、こんな日常を送れたらと思ってしまうような穏やかで悪意のない世界。

    でも現実にはやれ「それが仕様です」だの、「そのアプローチじゃない」だの、どうでもよいビジネスワールド。
    だからこそ本を読んでしまうのです。

  • 月舟町という街を舞台に紡がれていく夜、ゆっくりと流れるひとときはどこかゆらゆらしていて朧げで、儚げで、まるでつかみどころのない、蜃気楼が見せるような物語の印象。

    その街と、時を紡ぐ人々が織りなす世界をひたすら眺め味わう時間に心がふわふわし、何気ない会話、言葉に心が共鳴する。
    そうだ、自分も今、この瞬間にどこか遠い地で本を読んでいる人がいる、ということを思うのがたまらなく好きなんだよなぁ…と。

    吉田さんの描く夜。そっと心に幸せな風をひと風吹かせ去っていく。
    そしていつだって心穏やかにさせてくれる。
    この心地良さがクセになる。

    • けいたんさん
      こんにちは(^-^)/

      くるたんのレビューも心地よいです(⁎˃ᴗ˂⁎)
      さすがだなぁ。
      私、この本好きだけどうまく掴めなかったん...
      こんにちは(^-^)/

      くるたんのレビューも心地よいです(⁎˃ᴗ˂⁎)
      さすがだなぁ。
      私、この本好きだけどうまく掴めなかったんだよね。
      もっと読解力、想像力を身につけないと(〃∀〃)ゞ
      吉田作品もまた読みたい作品のひとつ。
      今日から久し振りに購入した本を読むよ。
      加納朋子さんの新刊✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      くるたんなら知っているだろうなぁ。
      2019/07/22
    • くるたんさん
      けいたん♪(●'∇')ハロー♪

      ありがとう♡
      いやいや、私もこれは二回読んだよ。つまり一回じゃ味わえきれなかった(o´ェ`o)ゞエヘヘ
      向...
      けいたん♪(●'∇')ハロー♪

      ありがとう♡
      いやいや、私もこれは二回読んだよ。つまり一回じゃ味わえきれなかった(o´ェ`o)ゞエヘヘ
      向こうでけいたんのレビュー再読したよ♪素敵だったよ♡
      そして懐かしかったわ♡

      加納朋子さん、「いつかの岸辺へ跳ねていく」かな⁇評判いいからけいたんのレビューも期待しちゃう(*≧∀≦*)

      私な「人生写真館の奇跡」を読んだよ。すごく良かった!すごく好きーー♪
      ご紹介に感謝だよ♡
      2019/07/22
  • 登場人物も場所も日本なのに、どこか外国の映画みたいな不思議な物語たち。

    ふわっと掴みどころがなく、だけどそこに温かさがあったことは憶えている。読んだ後に、さっきまで悩んでいたことって何だっけ?と思うような短編集。

全742件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉田篤弘の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
クラフト・エヴィ...
村上 春樹
梨木 香歩
クラフト・エヴィ...
吉田 篤弘
あさの あつこ
吉田 篤弘
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×