現代語訳舞姫 (ちくま文庫 も 8-18)

著者 :
  • 筑摩書房
3.40
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本棚登録 : 880
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480421883

作品紹介・あらすじ

今では「古典」となりつつある鴎外の名高い短篇小説『舞姫』を井上靖の名訳で味わう。訳文のほか、原文・脚注・解説を付して若い読者でも無理なく読める工夫を凝らした。また資料篇として、ベルリン留学時代の鴎外や「舞姫」エリスの謎についてなど、作品の背景を探る代表的文献を紹介。読みごたえのある名作をさらに深く味わえる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • この数週間、何回か読んでみたけど、この本が不朽の名作という意味が分からん。「普通の迷作」なのでは?と怒られるかもしれないがそう書きたくなる。精神的に弱い豊太郎が哀れだけど、美人な少女と遊びたいだけ遊んで、地位・名誉が得られそうになったら美少女とは、はいさようなら。マスコミ、週刊誌ネタには最高なんだけどね。なぜ不朽の名作なのか?出版当時、巻き起こっていた「舞姫論争」とは、豊太郎は立身出世を捨て、恋愛をとるべきだったか?ここがポイントらしい。。。豊太郎のグロテスクで優柔不断な性格の方がで論争になるでしょ?①

    • ポプラ並木さん
      moboyokohamaさん、
      コメントありがとうございます。
      自分の感想を読んで、読み終わった時の感想をそのまま書いていますね。
      自...
      moboyokohamaさん、
      コメントありがとうございます。
      自分の感想を読んで、読み終わった時の感想をそのまま書いていますね。
      自分のことながらお恥ずかしい。
      それだけ、豊太郎のことを不快に思ってしまったようです。
      森鴎外=森林太郎=陸軍の軍医さんですね。
      2023/07/07
    • moboyokohamaさん
      コメントへのコメントバックをありがとうございます。
      「不朽の名作」の定義が難しいですね。
      舞姫の内容だけを見たら身勝手な男の振る舞いだって思...
      コメントへのコメントバックをありがとうございます。
      「不朽の名作」の定義が難しいですね。
      舞姫の内容だけを見たら身勝手な男の振る舞いだって思えますから不朽の名作というのはどうなんだろうな〜って思いますよね。
      それなのに何故か現代まで読み継がれ名作と言われるのはやっぱり森鴎外だからなのでしょうか?
      それとも多くの男性の心の奥底に秘める、もしかしたら自分も豊太郎と同様の行いをしてしまう可能性に対する罪の意識の身代わり贖罪として見るからなのか。

      こんな内容の小説が高校の教科書で取り上げられるのは奇妙な気持ちもしますが、清く美しいものだけが名作ではなく、我が身の中の毒を吐き出すのも勇気ある名作だと思えないこともないかァ。
      そしてそういった感情とは別にすれば、単純に鴎外の文語調の武張ったような文章の旋律が心地よいと思います。こんな文章もあるんだぞ、と教科書に載ったのかな。

      高校の授業でこの作品を読んだ時、教科書も捨てたもんじゃあない。
      粋なことをするもんだなと思ったのも事実です。
      2023/07/07
    • ポプラ並木さん
      確かに、不朽の名作の意味が難しいですね。
      長い間読まれ続けている、というのがそれかな?とも思います。
      この本は本当にまだ読まれ続けていま...
      確かに、不朽の名作の意味が難しいですね。
      長い間読まれ続けている、というのがそれかな?とも思います。
      この本は本当にまだ読まれ続けていますね。
      興味深いです。
      森鴎外というネームバリューなのか?有名だから読んでみようか?という感じなんでしょうか。

      男性の深層心理。。。
      自分の中では、このストーリー展開は思いもつかないくらい酷すぎました。。。
      でも、話題は尽きないということでは、インパクトがある作品なんでしょうね。
      月1回で実施している感想会では、女性陣から、豊太郎は袋叩きに合っていました(笑)
      自分も加害者でしたが。。。
      ではでは。
      2023/07/08
  • 現代語訳の舞姫はとても読みやすかった。そして、読み終わった途端に原文にも触れてみたくなる。この文庫には、現代語訳、詳しい解説、そして原文がちゃんと掲載されていて、更に興味深い資料までもがくっついているので、存分に舞姫の世界に浸ることが出来る。

    他人の期待に応えることで自己を形成してきた豊太郎。留学生としてのベルリンでの生活が3年を経った頃、今までの自分の内面を省みることとなる。そんな折にエリスとの運命の出会いを果たし愛し合ったものの、その恋は遂には成就することなく、豊太郎は友人の相沢の導きもありエリスを捨て日本に帰国することになるのだ。相沢は、かなり仕事の出来る男だと見える。わたしが想像する仕事の出来る男とは、時に冷酷な決断をし、他人に対して非情になることを厭わない奴のこと。勝手に相沢はそんな男だと思ってしまう。
    豊太郎は、自分の口からエリスに別れを告げることが出来ずに悶々と悩み、ついには病に倒れてしまうのだが、その隙に相沢はエリスにとって最も恐れている現実を、豊太郎の意志など関係なく彼女に告げるのだ。その結果、彼女は気が狂ってしまうのだけれど、相沢にとっては、そんなことは何の問題でもないのじゃないだろうか。いや、もしかしたら彼はそこまでちゃんと計算していたのかもしれない。その方が豊太郎の帰国が確実に叶うだろうと……うーん、気になる男だ。わたしの妄想が止まらない。
    エリスに自分で別れを告げることが出来なかった豊太郎。やっぱり、別れは辛いものになろうとも裏切ることになろうとも、自分で決着をつけない限りお互いに前へ進むことは出来ないのではないだろうか。でも病から目が覚めた豊太郎の前には、もう以前のエリスはいない。彼はこれから、エリスへの罪悪感と負い目を背負いながら生涯を過ごすことになるのじゃないかな。終わらすことの出来なかった恋って、ずっと引きずると思う。
    豊太郎は相沢に対して、良友だと言うものの、彼を憎む気持ちが今日まで残っていると最後に告白している。元はといえば、エリスとの関係を絶ち帰国する事を決めたのは豊太郎自身なのだけれど、相沢を憎むことでしか彼の中で、この恋を終わらすことが出来なかったのかもしれない。出来る男、相沢もこの複雑な豊太郎の心の中までは考えが及ばなかったのではないかな。いや、でも彼はやっぱりそんなことが分かったところで何一つ気にしなかったかもしれない。やっぱりわたしには気になる男だから、いろいろ考えてしまう。
    だけど、相沢では舞姫の主人公にはなれないね。やっぱり豊太郎だからこそ、タイトルの「舞姫」に仄暗い哀愁と繊細な美しさが感じられるのだもの。

  • 読み始めて5分、
    これはとんでもない読後感を得るんだろうな、
    そんな予知があった。
    そして、震えた。
    このやりきれなさ、あーあ。あーあ。
    優しい嘘なんて、優しくないって知りながら、それでもついてしまう。
    その人を思ってじゃなくて、自分のために。

  • 心情描写がとてもきキレイだと感じました。

    林太郎がエリスに出会った時や、その後の葛藤する描写が鮮明ですんなりと頭に入ってきました。

    考察の余地が多く、現代語訳を読んでいるだけでは気づかない点がこの本では解説されています。

    原文(古文)から読み解くと、それはそれでまた違ったアプローチができます。色々な楽しみ方ができる名文だと思いました

  •  あの有名な舞姫を読むのは実は初めて。あらすじは知っているのでこの先の展開を予測しつつ「ああ、男のロマンって酷いな」としみじみと楽しめる逸品。
     私が読んだものは井上靖による現代語訳なのだが、読む前は「明治でしょ? 現代語訳しなくても読めるよね?」って思っていたが、文末の原文を見ると、実に読めない。同じ日本語であるというのに、言葉というものはここまで変わるのかと驚く。
     そのときどきに流行っているものを取り入れる小説と無い小説では普遍性が異なると言われる。時代性のある小説はそのときは受けるがあっという間に古びて見えるとも言う。けれど、ここまで言葉が文字が変わるのであれば、そんなものは誤差なのかもしれない。

     物語そのものの楽しさもさることながら、解説群も面白い。そしてその解説の中に星新一の名を見てタイミングの良さに笑った。(森鴎外は母方の大伯父にあたる)
     星新一の書く、書こうとしていた森鴎外の情熱を見てみたかった。

  • 高校以来、久しぶりに読んだ。当時は歴史背景を全く考えずに読んでいたと思う。なので今回は、できるだけ、背景を考えて読んでみた。

    この作品が発表されたのが1890年なので、120年前の作品なのか。
    ということは、尊皇攘夷を叫んでいた江戸時代からたかだか20数年。豊太郎は、お国の為に富国強兵と立身出世に邁進している時代の留学生であり、親の世代はまだまだ封建的な考えというのが前提。

    となると、豊太郎の行動は何を意味してるんだろう?留学先でのエリスへの愛情という個人主義と、社会への貢献を第一とする国家主義の間を行き来し、迷った末の悲劇なのだろうか?

    現代の自分には、豊太郎の行動に賛意を示すことは出来ない。
    でも、当時の一般的な考えを持つ人(相沢)ならば、悩みすらしなかったであろうことを悩み苦しみ、その結果として、愛する人に最悪の結果をもたらした豊太郎には、多少の同情も感じた。

    あまりにも救いのない結末なので、また数年後に読んだら、この感想も変わるかもしれないと思った。

  • 高校の授業で扱ったので読んでみたが、浅学無知の自分にはなかなかハードルが高かった。 エリスとの出会いは自分には現代のライトノベルに通じるような描写に感じられ、小説における表現というのは時代を通してつながっている部分があるのかなあと思った。

  • エリスがかわいそうだった。
    豊太郎は人のせいにして友人を憎む気持ちが残っているようだが、友人は事実しか伝えていないし、伝え方が悪かったのかもしれないが、原因を作ったのも身重で狂ってしまったエリスを置いて帰ったのも豊太郎。
    貧乏ながらもエリスと共にドイツに残り、お金はなくても美しい妻と可愛い子供と生活を送って欲しかった…。

  • 近代と現代に差し掛かった大きな差の対比。後ろの作品に対する評論もさらに理解を深めるのにとても良いものだった。
    学校の題材になりはしたが、飽き足らずもう一度自分で読むことにした。
    主人公太田豊太郎とドイツで出逢うエリスという名の舞姫との恋物語というべきか。
    恋物語と言っても純なものではなく、かと言ってドロドロした話でもない。ただ豊太郎の弱さを、作者自身の弱さをヨーロッパの街を舞台とし、本能と理性・外的自我と内的自我の葛藤の中で描き、それを認めようとしない弱さの自供と反省が描かれている。
    そして新旧をドイツ・ベルリンの町並みで対比するのにはわけがあったと思う。それは近代の保守的で本音を消し、どこか根性論的な考え方を時代の流れに逆らった許されざる恋心の発見によりその旧式的な考え方に脚光を浴びせ批判している。
    と言っても私としては理性・外的自我に逆らって本能・内的自我に沿って欲しかったとも思う。もしそうしていたなら、それこそ純恋愛になっていたかもしれない。またそうなったときの事に意識を巡らせて妄想するのも楽しみである。

  • 高校の授業で習いました。当時も今もアイツは相当ゲスなヤツでした。

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著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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