吉屋信子集: 生霊 (ちくま文庫 ふ 36-3 文豪怪談傑作選)

著者 :
制作 : 東 雅夫 
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 119
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480422439

作品紹介・あらすじ

小女小説から家庭小説、歴史小説まで不朽の名作を数多く遺した吉屋信子は、戦後の一時期、憑かれたように怪談風短篇の筆を執った。分身の恐怖と恍惚、霊となって故郷をめざす兵士、老いてなお艶やかな媼の幻影、内なる魔に駆られ数奇な運命をたどる麗人たち…作者みずから「世にも不思議な物語」と呼ぶ異色短篇の数々は、読者をして物語の豊饒に酔わしめるであろう。文庫初収録作品、多数。

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだ作家さん。
    戦時中戦後の話が多かった。『生霊』はなんだか優しくてホッコリしたし、『誰かが私に似ている』は主人公の豪胆さに中々ヒヤヒヤした。
    幽霊の怖さよりも、生きている人の怖さを描いた怪談。

  • 恥ずかしながら吉屋信子を今回はじめて知って読んでみたけど、どれも良かった。

    一番好きなのは『鶴』。
    幻想的な話なのかなと思わせるところからはじまり、悲惨な現実や苦々しい結末をむかえる。
    それでも、最後の場面を思い浮かべると清々しくて綺麗な気持ちにもなる。
    『冬雁』もやはり最後のところが特に好きだった。

    『宴会』は、一番純粋な怪談話という感じで良かった。

    『憑かれる』、『かくれんぼ』は怪異的な部分もありつつ、実際の犯罪との混ざり具合が私好みだった。

    『海潮音』は、江戸川乱歩にもこういう登場人物いそうだなという話で面白かったけど、ちょっと冗長に感じた部分もあるかもしれない。

  • 「怪談」ではないが、人の持つ性のようなものを語った短編集。

  • いまひとつどのあたりが何十年後も残る価値あるのかわからなかった
    凡庸では

  • 恥ずかしながら、吉屋信子という作家をよく知らなくて、ツイッターでこの本を知って読んだ。よき時代の幻想的な雰囲気が漂う、気軽に楽しめる短編ばかり。戦下の良家を舞台にしたものが多く、その少女趣味がくせになりそう。それとはちょっと違った「生霊」とその続編(?)「生死」「誰かに私が似ている」が特に面白かった。

  • 今市子の画で『宴会』を読んでみたい。

  • このシリーズの感想で毎回書いてる気がするが、吉屋信子作品もこれまで恐らく一度も読んだことがない。昨年、鎌倉でたまたま行き当たった吉屋信子記念館に入ったから、少し親近感を持って読書スタート。
    非常に読みやすく、また切り口が面白い。
    所謂「怪談」的ストーリーは少ないが、終始興味を持って読み続けることが出来た。

    ゴーストストーリーとしては「宴会」が面白かった。
    どちらかと言うと、人智で解明できない人間の不思議から来る不幸を描いているような内容が多く、怪談というジャンルの幅広さを感じた。
    確かに、何の理由もなく霊的存在と遭遇してしまう事も、自分の好むと好まざるとに関らずどうしようもなく悲しい性癖に生まれてしまう事も、等しく不条理で恐ろしいことだと言えるかもしれない。

  • 「文豪怪談傑作選」で初めて知った作家なのですが、鴎外、康成、鏡花に比べ、断然読み易いです。
    なりすまし、茶道(茶器)、戦中(空襲、焼け野原)がテーマです。
    女性が書いたのに、「これって男性の本音?」と感じられる記述があって唸りました。

  • 収録内容

    『生霊』
    『生死』
    『誰かが私に似ている』
    『茶』
    『宴会』
    『井戸の底』
    『黄梅院様』
    『憑かれる』
    『かくれんぼ』
    『鶴』
    『夏鷺』
    『冬・雁』
    『海潮音』
    『私の泉鏡花』
    『梅雨』
    『霊魂』
    『鍾乳洞のなか』

  • 怪談、というか、ちょっと不思議な話を集めた短編集。

    戦中戦後が舞台。読みやすかった。本物(?)の幽霊が出る話よりも生身の人間の話の方が怖い。怖いと言うよりはタチが悪い。
    「生霊」の悪気のなさと「海潮音」のちょっと驚きのラストが気に入った。

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著者プロフィール

1896年、新潟市生まれ。52年「鬼火」で女流文学賞、67年菊池寛賞を受賞。『花物語』『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』『女人平家』『自伝的女流文壇史』など、幅広いジャンルで活躍した。著書多数。73年逝去。

「2023年 『返らぬ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉屋信子の作品

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