泉鏡花集 黒壁―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)

著者 :
制作 : 東雅夫 
  • 筑摩書房
3.74
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本棚登録 : 161
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480422446

感想・レビュー・書評

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  • 昨夏、読む気満々で購入しながら一年も寝かせてしまった。
    アンソロジスト東雅夫がセレクトした、鏡花の文庫未収録怪談集。
    鏡花の文章は滑らかで、するする頭に入って来ては
    絢爛なイメージの花を咲かせてくれるのだけど、読み終えるとスーッと潮が引いて、
    ちょっと時間が経ったら、もう内容を思い出せない、なんてことが多い。
    自分だけかもしれないけど(笑)
    でも、この読後の酔い醒めの感覚が好き。
    で、昔はただただ幻想・耽美……と受け止めていたけれど、
    水木しげる『神秘家列伝《其ノ四》』を読んで、
    鏡花が虚弱で神経質で、しかも食にこだわりを持っていたらしいと知って、
    適当に拾い読みなどしてみると、
    期待が外れてガッカリしたとか、美味しくて食べ過ぎて調子を崩したとか、
    確かに食い意地が反映されたエピソードがいろいろあって微笑ましい。
    この本でも「紫障子」にて、主人公が玉子焼でひどい目に遭ったかと思うと、
    切込鍋なる料理の、見た目も美しく、いかにも美味しそうな描写が出てきて、
    読んでいるこちらも味を想像してニマニマしてしまったのだった。
    表題になっている掌編「黒壁」が最もストレートに恐ろしい。
    他は解説に記されているとおり、生理的嫌悪感を催させる不穏な話や
    郷愁と(人外を含む)美しい女性への憧憬が描かれた夢幻的な作品で、
    夜更けに不思議な美女二人組を目撃しておののく「霰ふる」の、
    仲のいい少年たちの会話が可愛らしい。

  • こよなく怪談噺を愛し、また自身も膨大な数の怪異譚を著した、日本文学史上唯一の別枠で語られるべき文豪・泉鏡花。文庫未収録の作品の中から選りすぐりの怪異譚を収録。読み終える頃には「女怪幻想」の虜になっていることでしょう。

    八犬伝読書の合間合間に読んでたのでおよそ一年から二年ほどかけて読んでました。順番にじゃなくて、短編から優先的に。怪談集と銘打ってあるとおりオール怪談。だいたい女の人の幽霊がでてきたり、あと蛇だったり。蛇。へびへびへび。尼ヶ紅はマムシだけど。嫌いなのに何度も作品のモチーフとして出してるってことは本当に嫌悪してたんだろう。
    正直有名どころは何一つ入ってないので、まさしく鏡花ファンか鏡花に興味ある人じゃないと挑戦できない一冊。まあ私も鏡花ファン気取りながら相変わらず読みにくかったりする。今回も四苦八苦でした。慣れていきたいので今後も継続して読んでいきたいっす。
    怪談小説の他には遺稿も収録してあります。それとは別に談話的な「幼い頃の記憶」というのがあるけどこれがかなり綺麗でどことなく切ない儚い話でこれ読んで「やっぱ鏡花好きやわ……」ってうっとりするんやけどでもあとで難解な文章読んで玉砕するから気をつけろ!いつものことです。「甲乙」「幻往来」「紫障子」辺りが好きです。

  • やっぱり、最近出たものだと、すらすら読めてペースが狂って、理解できない問題が…、どうしよう。

  • 文庫に収録されなかった鏡花の怪談を集めたもの。わかりやすい恐怖が多かったように思う。情景を想像しながら読むと、激しい炎があがったり血しぶきがとんだりするわけではないが、一種地獄絵図のようなものが垣間見られる。目覚めながらにして見る悪夢、といった風情がある。美しくも恐ろしく、現実であるようだが覚めゆく夢のような、境目のぼんやりとした鏡花の世界。妖麗な文体で様々な怪異を綴る、まさに珠玉の怪談集といったところだろうか。

  • 美しく気味悪く催眠効果の高い怪談集。読んでいるうちにぼんやりしてきて何度も電車のなかでうつらうつら。主語が後回しのくねくねした文章は正直わかりづらくて、これまた何度も前のページに戻らされた。それなのに喚起するイメージはとても鮮やかで、自分が確実になにかを受け取ったことがわかる。ぼうっとしているうちに無意識が鏡花の文章を解釈してくれたような、不思議な感覚を味わった。

    吐き気をテーマにしたアンソロジーがあったらぜひ入れてほしい「紫障子」と「尼ヶ紅」が特によかった。

  • 怪談傑作選といっても、鏡花の代表作はほとんどが妖怪変化の出てくる怪談なわけですから、とりたてて怖いとか珍しいといったことはありません。ただ、これに収められている短編は、鏡花ものによくある「義理人情のわかる物怪」の類いではなく、もうちょっと人間の怨念ぽい、いわゆる普通の幽霊的なのが多かったかな。

    高桟敷/浅茅生/幻往来/柴障子/尼ヶ紅/菊あわせ/霰ふる/甲乙/黒壁/遺稿/幼い頃の記憶

  • さすがに読みづらい。

    高桟敷
    浅茅生
    幻往来
    柴障子
    尼ヶ紅
    菊あわせ
    霰ふる
    甲乙
    黒壁
    遺稿
    幼い頃の記憶

  • 巳(へび)はただ生きているだけではない…?
    巳には不気味なイメージがかぶさっていたり、人のなんらかの思いが投影されているのではないか。
    巳(へび)が怖い。

  • 儚げな美人が佇んでいればそれだけで怪談になる。

  • いま講義で勉強してます(^^;

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著者プロフィール

泉鏡花(いずみ きょうか)
1873年11月4日 - 1939年9月7日)
石川県金沢市生まれの小説家。本名は「泉鏡太郎」。明治後期から昭和初期にかけて活躍。尾崎紅葉『二人比丘尼 色懺悔』を読んで文学を志し、上京し本人に入門、尾崎家で書生生活を始める。師弟の絆は終生切れることがなかった。
1893年、京都日出新聞に真土事件を素材とした処女作「冠弥左衛門」を連載。以降、『夜行巡査』、『外科室』、『照葉狂言』、『高野聖』、『婦系図』、『歌行燈』などの作品を残す。1939年に癌性肺腫瘍のため逝去、雑司が谷霊園に眠る。その後1973年に「泉鏡花文学賞」が制定され、1999年金沢に「泉鏡花記念館」が開館。

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