同日同刻: 太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480422477

作品紹介・あらすじ

太平洋戦争中、人々は何を考えどう行動していたのか。敵味方の指導者、将軍、兵、民衆の姿を、著者の蒐集した膨大な資料を基に再現。開戦の日昭和16年12月8日と終戦にいたる昭和20年8月1日から15日までの、同日同刻の記録が戦争に翻弄された人間の狂気、悲劇、愚かしさを焙り出す。

感想・レビュー・書評

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  • 山田風太郎の資料収集力はすごい。ただし取材力は未知。資料さえ集めれば本が書けることを実証した本。

  • kindle。
    終戦記念日になにか戦争に関係したものを読みたくなって。
    真珠湾攻撃の報を聞いて、みんなが晴れやかな気持ちになったのと、原爆の被害者が敗戦を受け入れられず徹底抗戦を主張したことが発見。

  • 戦争は正義と悪との争いではない。国家の暴走によって民の命の尊厳を踏みにじる愚挙でしかない。その真相に気付かない民に責任は無い。社会や情報の偏重によって洗脳に近い状況へ追い込んでいく怖さが、様々な人びとの言動で如実に伝わる。その後の悔恨や不条理はもちろんある、時を経て人びとは変わりゆく。ただし歴史は変えてはならない。敗戦から学ぶべきものは残していく、美談などと都合の良い解釈では社会はよくならない。加害と被害を重ね合わせて事実を見定める書籍として暫し黙考する。

  • ただ資料を集めただけとはいえ、加藤周一がどんな人物か、また伊藤整がどんな人物か、そんなことを知っていれば読後感が大きく異なるはずだ。数ある戦時中の自伝や日記のなかから、なぜそれをチョイスしたのか思いをめぐらすことも愉しみである。
    開戦と終戦の瞬間を切り取ることで、山田風太郎は自身の日記と対にしたかったのではないだろうか。戦争に対するある種のスキャンダラスさが蔓延する前の、そのときに生きた人間の感覚を切り取り抑えたかったのではないだろうか。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    太平洋戦争の開戦日の1941年12月8日と終戦日に至るまでの1945年8月1日〜1945年8月15日の期間を多くの様々な記録から浮き彫りにしている。
    あたり前に知られている事実から全く知らなかった人物の当時の思いや考えが時間軸でまとめられ、当時の状況というものを否が応でも考えさせる内容となっている。
    この本を読み、戦争は絶対に回避しなければならないと言うことを強く感じた。

  •  日本の、否、世界の運命を別つ数日間が、複数の人の手記などによって立体的に浮かび上がる。誰もにとって地面がひっくり返るような出来事が起きたとき、言葉はふさわしくないけれど、人間というのは面白いなあと思う。作家は民衆の「語りべ」であると著者が言うように、作家の手記は特に興味深いものであった。
     玉音放送を聞いて、涙を流すどころか死を選ぶ人もいたと云う。国家のために、と命を投げ出すことも、敗戦後の日本で生きる気力を失ってしまうことも、正直理解しがたい。今は何を信じればいいのかわからない時代だから、戦時中の日本全体のひたむきさが少し眩しかったりもする(向かう方向が戦争でさえなければ…)。

     蛇足だけど、加計呂麻島で島尾ミホが「隊長がゆかれます」といった光景が、頭の中で満島ひかりで再生された。ステキだった。

  • 山田風太郎と言えば忍法帖だが、最近はそれ以外の作品もチラホラ読んでみたりしている。というわけで、『同日同刻』。前半が太平洋戦争の開戦当日(真珠湾攻撃)の詳述で、後半は、太平洋戦争最後の 15日間(2回に亘る原爆投下とポツダム宣言受諾、玉音放送まで)を描く。対比が無されている部分も、対比がない部分もあるが、終戦当時の一般市民の感情や行動を記録したものとして読むと非常に興味深い。

  • 米側一般人の記録がないのは惜しい。

  • 【推薦人より】
    作家や先生って、現代ほどメディアの発達していなかった太平洋戦争当時、市民にいろんな考えを広める役割が今以上に大きかったと思うんです。

    その作家、先生たちの当時の様子をこの本でみて、私は流れてくる情報に自分が自分の位置をたもてるのか、めっちゃこわくなったんです。

    そして終戦までの流れも、「市民とはかけ離れたところで政治は行われるんだな」って。

    いまもまさに、そういう部分あるから、ちょっと共有できたらなと思って推薦しました。

    (ブクロ)

  • 再読

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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