- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480422958
作品紹介・あらすじ
スペインの小さな町に、日本を意味する"ハポン"という苗字をもつ人々が住む。自分たちを支倉常長遺欧使節の子孫だと信じて疑わない。はたして彼らはその末裔なのだろうか?1613年伊達政宗の特命を受け、ヨーロッパに向けて旅立った一行。政宗・幕府・宣教師、それぞれの思惑を背負ったサムライたちが大航海の果てに見たものは?謎に満ちた使節団の全貌に迫る歴史ノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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新書文庫
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400年前に、政宗によって送り出された遣欧使節。
ヨーロッパに今も続いているハポン姓の原点は彼らにあるのか?
その謎を知りたくてこの本を読みましたが、結局のところ謎は謎。。
彼らの報われない苦難の旅、そして人生の切なさに、心がきゅ〜っとなりました。謎は解き明かされなくてもいい!と思うくらいに。 -
検証は必要だけど、十分にありうる話だと思う。
実際、どのくらい世代を重ねれば周囲に同化してしまうものなのだろうか
そこがとても興味がそそられる。 -
慶長十八年九月十五日(現在の暦で一六一三年十月二十八日)、仙台藩領牡鹿半島の月の浦に浮かぶ小鯛島の陰からひっそりと抜錨し、太平洋の彼方へ静かに乗り出していく船があった。ガレオン船サン・フアン・バウティスタ号、仙台藩主伊達政宗の命を受け、ヨーロッパに向け旅立った慶長遣欧使節団の船である。
本作は支倉六右衛門常長を中心にした慶長遣欧使節団の足跡を辿り、スペインの片田舎に現在も存在するハポン(日本)姓の人々は慶長遣欧使節団の末裔であるという問題を様々な角度から考察したノンフィクション。
所謂トンデモ本のたぐいではなく、スペインのTV局や学会で持ち上がったハポン姓の人々の祖先の問題について、疑う姿勢から入っている本なので信頼性はあるように感じた。決死の覚悟でヨーロッパまで旅をした支倉常長だったが、イスパニア王には良い返事をもらえず、帰国すればキリスト教は迫害の対象になっている、と散々な人生のように感じる。しかし、デウスを信じるという光を見つけたことは彼の人生にとって何ものにも替え難いことだったのだ。家来や息子までがキリスト教徒になっている事実(幕府に発覚し刑死している)が、その証拠である。
一方、遥か異国の地で子孫を増やした日本人、孤独に死んでいった日本人、彼らのことを思うと胸にこみ上げてくるものがある。H・G・ウェルズのタイムマシーンや手塚治虫の海底超特急マリン・エクスプレスのラストに似た印象をもった。
まさに、事実は小説より奇なり、である。