書店風雲録 (ちくま文庫 た 53-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.51
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本棚登録 : 194
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480422989

作品紹介・あらすじ

1975年、書店界に風雲児が登場した。ベストセラーを売るように大量の思想書を積み、曲線と山型の書棚には世界の尖端があふれていた。「ひと」と「文化」を武器に旋風を巻き起こした個性派書店「池袋リブロ」の時代をその現場を担った著者があますところなく描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 第37回アワヒニビブリオバトル「本屋」で発表された本です。
    2018.05.08

  • 書店員だった頃から気になっていた本。
    池袋のジュンク堂でサイン本!が積まれていたので続編とともに思わず購入。
    いやー、現役書店員だった頃に読まなくてよかった(笑)もし読んでたらまだ書店員続けてただろうなぁ。
    著者始め、この本に出てくるリブロの書店員たちは本当にすごい。自分の書店員時代を振り返るともう一回一からやり直したくなる気分。

    ってことで、書店員だった人にも書店好きにもぜひとも読んでほしい本だけど、現役書店員は読まない方がいいかな(笑)

  • リブロ本店の閉店にビックリして読んだ本。自分の文化圏からは少しズレていたので、年に数回程度の訪問ではあったが、それでも面白い特徴のあるいい本屋だったので閉店は本当に残念だった。

    本が好きなくせに、書店員という仕事をよく理解してない自分には、その魅力、大変さが分かって面白く読めた。ただ、棚を見てその書店員さんの想い考えまで読み取れる人はどれくらいいるのかな。私には無理です。

  • 文庫版あとがきにある
    池袋店でのPOPのエピソード、
    そこから更に変化してしまった時代を思って
    とても泣きたい。

  • 7月20日、リブロ池袋本店は閉店した。その理由については書かない。
    一般に、新聞各紙やネットでは、「ニューアカ」や「セゾン文化」、その時代の終焉を象徴するものとして取り上げられた。あるいはもっと単純に、競合のジュンク堂に負けた、と見るだろうか。
    90年代にリブロからジュンク堂に移籍した書店員が、リブロ在籍中の内情をエッセイ風に書いた本を読めば、時代の変化がよくわかる。当時は、300坪もあれば立派な大型書店だった。「何でもある書店」などなく、あっちの書店にはないものが、こっちの書店にはある。だからリブロは、老舗の主流派書店とは違った品揃えで、新興の潮流や、異端、周縁、マイノリティへの近接を表現できた。
     しかし、売場拡大競争が進むと、その全てを包含するメガストアに優位性が移った。そのとき、田口がジュンク堂への移籍を選んだのは、まさに慧眼だった。その後、書店におけるリベラリズムの発現は、面積一番店を志向するジュンク堂がリードした。
     近年、カフェ併設、イベント重視の小型書店が注目を集めている。書店における、コミュニタリアンの隆盛と言っていいだろうか。時代が変われば、書店も変わる。その変化が、単なる状況追随ではなく、自由創造的なものであれば、きっとおもしろい。

  • ジュンク堂池袋店で見つけた一冊。書店関連の棚があって、ついつい反応してしまった。

    単行本が出たのが2003年ということで、情報としては古いのだが。
    リブロ・ジュンク堂・三省堂・紀伊国屋・丸善など、今も書店業界を牽引する大御所書店が、どのように奮闘してきたかを垣間見ることができる。
    勉強になります!

  • リブロを知らないけれど、現場で何が起こっているのかが書かれていて面白かったです。人文書や芸術に詳しい人たちが何をどんな位置づけで読んでいるのかわかりました。出てきた本たちは基本中の基本なんだろうなあ。私にとっては読書の指南書のような本でした。

  • 私は本当に本が好きだ。そして本屋が好きだ。購入先のメインがインターネットに移っても、週に2~3度は書店を巡らないと気が済まない。

    「池袋リブロ」、「西武セゾン文化」という単語は、半ば伝説めいて私の中にもあるが、実際はその恩恵に浴したのは私より一つ二つ上の世代であって、私自身はそんなとんがった文化が花開いた幸せな時期がかつてあったという程度の認識しかなかった。

    著者はその文化を、その時代を当事者として経験し続け、今もなお第一線で活躍する書店員。彼女が関係者へのインタビューを取り混ぜながら、かつての池袋リブロを中心に一つの文化の隆盛とひとまずの終焉を語りあげる。

    そこには自分の仕事に誇りと信念を持って取り組んだ人々の静かなる熱を宿した記録があった。ただ、当時の池袋リブロを知らない人間にはちょっとわかりにくい構成だ。話がポンポン飛びすぎる。それに当時のニューアカやポストモダンといわれても、あまりピンとこない。やはりその時代を経験していないと理解できないものもあるんだな。

    それでも、読了後、何の理由もなく「ああ、だから僕はこんなにも本屋に行くのか」と納得してしまった。

  • 残念ながら、リブロに関しては行った事はありませんが、読んでいる限り時代の活気や勤める書店員の面白さが伝わってきます。

  • 購入日:20110328

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著者プロフィール

白梅学園大学特任講師

「2021年 『女性の生きづらさとジェンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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