分別と多感 (ちくま文庫 お 42-6)

  • 筑摩書房
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感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (535ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480423047

作品紹介・あらすじ

「分別」のある姉エリナーと、「多感」な妹マリアン。エリナーが思いを寄せるエドワードは、ぱっとしないが誠実な青年。マリアンが激しい恋をするウィロビーは、美貌と気品を兼ね備える情熱の男性。この似合いのカップルに、それぞれ不似合いな人物が複雑に絡み、姉妹の結婚への道は紆余曲折する。19世紀英国の田園を舞台に繰り広げられる恋愛小説の傑作。初の文庫化を読みやすい新訳で実現。

感想・レビュー・書評

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  • 感情豊かなマリアンと、
    何事にも理性的で公平な心を持つエリナー。

    ありふれた恋や日常といった題材で
    これほどに人間の美点・欠点、人間関係における
    問題点や思考の問題を浮き彫りにするなんてと、
    まさに多感なる女性の代表格として登場する
    メアリーのように高揚した読後。

    200年もの時代の違いや国の違いはあれど、
    そう変わることのない人間の性質や悩み。
    誰しも欠点もあり美点もあること、
    自分の知り得る思考や知識だけで物事を
    理解したつもりになることの危うさ。

    夏目漱石が写実の泰斗であると
    評価するのも納得の見事な人間描写と、
    日常を読ませながらも読み手を退屈させない
    非凡なるオースティンの文才。

    目の前に映像のように広がる2人の女性の
    恋の喜び、悲しみ、苦しみに魅了され、
    本を読むことの醍醐味を存分に味わった時間でした。

    • nejidonさん
      あやさん、おはようございます♪
      素敵なレビューですね。
      これ、未読です。
      好きな作家さんのはずなのに、なんてことでしょ!
      それに、そ...
      あやさん、おはようございます♪
      素敵なレビューですね。
      これ、未読です。
      好きな作家さんのはずなのに、なんてことでしょ!
      それに、それに、好きと言ったところで「高慢と偏見」と「エマ」の二冊を読んだことがあるだけ(笑)。
      この本は、「いつか晴れた日に」という映画の原作ですよね。
      漱石が「写実の泰斗」と評価していたのですね。私も納得です。
      う~む、時間がほしい。でもなんとか探してみます。
      2014/05/30
    • 山本 あやさん
      nejidonさん♡

      分かります!![*゚ー゚*]
      読んだ本が10冊だろうと、1冊だろうと、
      この作家さんが大好きって思う気持ち。...
      nejidonさん♡

      分かります!![*゚ー゚*]
      読んだ本が10冊だろうと、1冊だろうと、
      この作家さんが大好きって思う気持ち。
      たとえ本がすべて好きではなくても、
      やっぱりその人の視点の先にあるものに
      嫌いなものはないんですよね[*´▽`*]♡

      きっときっとnejidonさんの大好きな世界が
      いっぱい広がってると思います。
      いつも通り、人間の悪い部分もリアルに
      ごっそりそのまま露呈してます[笑]

      良いも悪いもどちらもあって人間で
      それを含めて人間って面白いなぁって
      魅せてくれるジェイン・オースティンはすごいですよね。
      さすが漱石様、お目が高い♡[笑]

      「分別と多感」もいろいろとドラマにも映画にも
      なってるからすべてとり揃えて見比べしたいですね~♡
      2014/06/02
  • 正反対の姉妹が主人公だが、私はマリアンの言動に深く共感した。
    エリナーのような分別も身につけなくては。

  • 「...理性的なふたりの人間同士なら、ほんの数時間集中的に会話をすれば、ほんとうに共通の話題は語り尽くしてしまうだろうが、恋人同士となると話は違う。恋人同士のあいだでは、少なくとも二十回は同じ話をしないとどんな話題も終わらないし、話し合ったことにすらないのだ。」(501ページ)

    昔を思い出してなるほどと思った一節。

  • 面白い。高慢と偏見よりも、ややプロットのダイナミズムには欠けるが、これを下敷きに、やがて高慢と偏見のような作品にたどり着いたのだろうと思わせるところがある。オースティンがなぜ面白いのかというと、一見恋愛のゴタゴタのみを描いているように見えながら、人間の生き方や他人への接し方、誇りを持つとは何かといった生き方を問う構成に結果なってしまっているところだなと…と。背筋が伸びる思いがする。

  • ジェイン・オースティン2冊目。
    映画「いつか晴れた日に」を観てから。
    まず心理描写の細やかさに驚いた!
    エリナー「他人の言葉に左右されたりして、自分でよく考えないから、人を誤解してしまう」
    マリアン「楽しいことは正しい、悪いことをしていたら楽しい気持ちにならないはず」
    まさにタイトル通り、エリナーとマリアンの対比も鮮やか!
    それでいて、お互いを想いあって信頼しあっていることも充分に伝わってくる。
    理性的に人間を鋭く観察し、感情豊かに表現する、
    ジェイン・オースティンの分身がエリナーでありマリアンのように思える。

  • オースティン作品はいつも秒で読み終わるのにこれだけは本当に時間がかかった…
    映画の印象が強すぎるからかな。

    私も根っからのマリアンタイプなのでエリナーの冷静さに尊敬しかないわ…

  • オースティンの「高慢と偏見」
    翻訳読み比べばかりしていないで
    他の作品も読もう週間

    ストーリーは、
    「主人公が紆余曲折ののち、結婚する」と言う
    他のオースティンの作品と粗筋で言えば同じ~

    ただ、今回は
    オースティンの作品で必ず現れる素敵な殿方、
    アン・スティールの言葉を借りれば
    魅力的な「伊達男」があらわれないのが残念!

    主人公エリナーが選んだ人は
    はっきりしないモジモジモジ男で、
    この人のどこが良いのか、
    最後までさっぱりわからなかった!

    しかもモジ男の母親は意地悪、
    お姉さんもいけ好かないケチ女、
    弟は気障な鼻持ちならない奴、
    弟の嫁も嫌らしい性格、
    と来たら、結婚後についてなんだか嫌な予感しか
    しませんが…
    モジ男もあんまりお金も無いし…

    この作品は翻訳読み比べしなくても大丈夫そう~。

    オースティン作品で私の好きな順位、
    1位はダントツで「高慢と偏見」
    2位は「マンスフィールド・パーク」
    その後の順位はちょっと考えさせて~
    と言うかんじだけれど、6位はこれかな。(ごめんね)

  • 分別のある姉エリナーと情熱的な妹マリアンの二人の恋の行方についての本。

    メインストーリーはなんかありきたりだけど、ジェーンオースティンは人間観察がめっちゃ巧みなので、恋の行方も面白かったけど、そっちの方に興味そそられた。品がないけど巧みに人に取り入る人、他人に関心のない人、他人を心配してるようで実は自己中の人、色々なキャラがいて、それぞれやりたい放題するし、それに対してエリナーの口を借りて批評がされて、読んでて生き方をいろいろ考えさせられた。

    姉妹の結婚の相手は、やっぱそっちか〜!というエンディング。違っててもおもしろかったと思うけど、これがベストなんですかね。

  • 面白いー!夢中になり一昼夜で読み終えた。オースティン好きだわー。個性的過ぎるキャラクターたちがたまらない。不快なキャラでも嫌味なくコミカルに描かれているから楽しく読める。このキャラたちの濃厚さにドストエフスキーを彷彿とした。最後の最後まで先がどうなるかわからなくてハラハラした。引きこもり体質にはミニマムなホームドラマが性に合うのか、この世界観の小ささが心地よい。好きだわー。

  • 私はエリナーになりたいマリアンって感じ。笑

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著者プロフィール

ジェイン・オースティン(Jane Austen)
1775年生まれ。イギリスの小説家。
作品に、『分別と多感』、『高慢と偏見』、『エマ』、『マンスフィールド・パーク』、『ノーサンガー・アビー』、『説得されて』など。
1817年没。

「2019年 『説得されて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジェイン・オースティンの作品

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