希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480423085

感想・レビュー・書評

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  • もはや一般用語ともなった「格差社会」の本質は「希望」の格差であり、希望が持てず、努力が報われない状況におかれている者は、苦労を強いられる状況から逃れようとする。このような若者たちがフリーター、パラサイトシングルとなり、日本のお荷物となるという、希望がまるで感じられない内容。

    まさに若者である自分からすると、筆者が言うほど絶望的な社会になるような気はしないが、そのためには、若者の中から新しい価値観が現れる必要があるのかもしれない。

  • めっちゃ自分の好きな内容。お金がないと希望を持つ時点でもう差が出ているという内容。パラサイトシングルは最悪だ。

  • 著者は「パラサイトシングル」ということばを流行させた山田昌弘氏。「格差」をキーワードにして世相と将来を読み解こうとしている。やや悲観的に過ぎるような雰囲気も漂うが、その中から活路を見出す生命力があれば参考にできるものと思う。

  • 『パラサイト・シングルの時代』で注目を集めた社会学者、山田昌弘の著作である。
    著者によれば、日本社会は二極化し、不安定なものになるという。
     そして、職業の不安定化・家族の不安定化・教育の不安定化、という三つの不安定化について述べられている。
     「職業の不安定化」という章では、ニューエコノミーがもたらす職業の二極分化について述べられている。ニューエコノミーとは、規制緩和・情報通信技術の進歩や労働市場の柔軟化によって、景気循環が消滅し、持続的な経済成長が可能だという理論である。ところがニューエコノミーが進展すると、労働の二極分化が起きるという。「単純労働であるが機械ではできない仕事」(ファストフードの店員や繁華街のティッシュ配りなど)と、「高度に知的な仕事」に分化するというのである。そして、知的な仕事につけない者は単純で低賃金の労働に甘んじるしかなくなる。
     「家族の不安定化」という章では、家族形態が流動的になるにつれて、人生設計が予測不可能になることが述べられている。高度成長期の一般的な家族形態はサラリーマンの夫、専業主婦の妻、2人程度の子どもというものであったが、現在さまざまな形態の家族が増えつつある。これが人生の不安定化をもたらす。たとえば離婚によって父子家庭・母子家庭や単身者世帯になり、低所得に転落する場合も多いのである。
     「教育の不安定化」という章では日本の教育制度をパイプラインにたとえ、パイプラインの「漏れ」という表現で不安定化について論じている。従来、日本の教育システムは若者を滞りなく勤労者として社会に送り出す機能を果たしていたが、正社員の採用が減り、一方で進学率は上がるとパイプラインに乗っていても順調に社会人になれない者が出てくる。これを著者は「パイプラインにひびが入って漏れが生じている状態」と表現する。このパイプラインのたとえが言いえて妙である。
    フリーターやニートと呼ばれる若者の増加が問題になっているが、これは若者の心構えのせいばかりではなく、社会の不安定化によっ人生に希望が持てなくなっているのも大きな原因であり、若者に希望を持たせる政策が必要だとしめくくられている。

  • この本が単行本で出たのは2004年。しかし、その後「格差」を埋めるための努力はどれぐらいなされているのかと、やや「絶望」的な気持ちになりました。

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著者プロフィール

山田 昌弘(ヤマダ マサヒロ)

1957年、東京生まれ。1981年、東京大学文学部卒。
1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学。コピーライターとしても定評がある。
NPO全国地域結婚支援センター理事

【著書】
『パラサイト・シングルの時代』『希望格差社会』(ともに筑摩書房)、『新平等社会』『ここがおかしい日本の社会保障』(ともに文藝春秋)、『迷走する家族』(有斐閣)、『「家族」難民』(朝日新聞出版)などがある。

【公職】
•内閣府 男女共同参画会議・民間議員
•文部科学省 子どもの徳育に関する懇談会・委員
•社会生産性本部 ワーク・ライフ・バランス推進会議・委員
•厚生省 人口問題審議会・専門委員
•経済企画庁 国民生活審議会・特別委員
•参議院 調査室・客員研究員
•東京都 青少年協議会・委員
•同 児童福祉審議会・委員
•内閣府 国民生活審議会・委員
などを歴任。

「2016年 『結婚クライシス 中流転落不安』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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