一人で始める短歌入門 (ちくま文庫 ま 32-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480423375

作品紹介・あらすじ

『かんたん短歌の作り方』は「かんたん」と謳ったわりにやや厳しかったという思いから、「もっとかんたん」な入門書として書き下ろされました。CHINTAIの広告キャンペーン「いい部屋みつかっ短歌」コンテストに寄せられた全8709首の中から100首=「百人一首」を選び、詳しい解説を付記。月から金まで朝夕1首、1週10首、10週100首読み進めれば、いつしかあなたも歌人に。豪華なゲストによる「補講」も。

感想・レビュー・書評

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  • 最初は5・7・5・7・7のルールだけって、言ったのに…!

    短い詩だからこそ、言い回しや、一文字が肝になることがよくわかりました。
    どれもそれも「部屋」をテーマにした百首ってところも面白い。
    短歌コンテストに寄せられたのは8709首!だったそうだけど、採用されるにはまず、類想(同じような発想)が少ないことがいちばんだなと感じました。
    ライバルが少ない分目に留まりやすい。
    そんなアイデアが湧いて出るような私ではないので、難しいです。
    あとはおなじ感情、情景でも、切り口を変えて考えてみる。

    あと、ペンネームについて。
    「月」という漢字は室井佑月さんくらいルックスとキャラクターが必要と書かれている。
    穂村弘さんも「月」という漢字を入れるのはおすすめしない、というエッセイがあって、「月」という漢字が入ったペンネームのわたしは結構、気に病んだ。
    でも、悩んでいたら、そのうち、無性に腹が立ってきて、最終的には、行っちゃる!このままのペンネームで行っちゃる!と、覚悟ができたので、お二方には、ありがとう、と、お礼を言いたい。

    • まことさん
      5552さん、こんばんは♪

      私もこの本、積んでいます。
      ペンネームについて、穂村さん、確かにおっしゃっていましたね。
      私もレビューに書きま...
      5552さん、こんばんは♪

      私もこの本、積んでいます。
      ペンネームについて、穂村さん、確かにおっしゃっていましたね。
      私もレビューに書きました。
      でも、私と同じ小説講座に通われていた、柚月裕子さんは、大ヒットとばして、映画化までほんの数年でされています。
      柚月さんのご本名も、知ってるし、ペンネームも、アマチュアの頃に変えられて、今のお名前になったのですよ。柚月さんは、確かにお綺麗な方ですが、月が、よくないなんてこと、ないと思います。
      5552さんも、着実に、実績をあげてらっしゃいますし。
      2023/10/14
    • 5552さん
      まことさん、おはようございます。

      尊敬する歌人お二方が書かれていたので、けっこう凹みました。
      穂村さんは『彗星交差点』で書かれてたのですよ...
      まことさん、おはようございます。

      尊敬する歌人お二方が書かれていたので、けっこう凹みました。
      穂村さんは『彗星交差点』で書かれてたのですよね。
      エッセイを読んで、「ぎゃー、ペンネーム付ける前に知りたかったー」と思いました。
      柚月さんは、ペンネームなんですね。
      あんまりペンネームっぽくないペンネームですね。
      本名だと思ってました。
      そうですよね。月がよくないなんてことないですよね。

      まことさん、お優しいことばをありがとうございます。
      気を使わせてごめんなさい。
      エッセイを読んだ時点では凹んだものの、一周回って、今では、愛着があるのでたぶんそのままで行きます。
      まことさんも、ペンネーム付けられたんですよね。
      けっこう、悩みますよね。
      2023/10/15
  • 枡野さんの歌集、『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである』あるかなぁと下調べもせず棚を覗きにいったら、探していたものではなかったけど、この本があったので借りてきた。

    CHINTAI「いい部屋みつかっ短歌」コンテストの審査員をされたときに出会った短歌たちとのこと。
    引っ越しや部屋に関するテーマで詠われた短歌たち。
    「ドラえもん」のときはそんなに感じなかったけれど、同じテーマで一冊集められるとやや飽きる。

    ○○○○のレッスンと銘打たれた章が10章並ぶが、実際には筋道立った手ほどきといった感じではなく、各歌に対しての解説、枡野さんの読み、評価ポイントが1ページ程のエッセイ風に添えられている。

    初読して「あ~あるある」と思う歌もあるが、解説があって「なるほど~、そういう読み方するのか~」と思う歌もある。
    ただ枡野さんご本人の歌というわけではないので、それも詠み手の真意かどうかもわからない。
    実際、枡野さん自身も「~でしょうか」とか、「わからないがゆえにあとをひく」とすら言っているものもある。
    自分で感じたことを楽しむこと、他の人の解説を聞いて楽しむこと、読者としてはどちらも楽しいもの。
    詠み手としては出来るだけ31文字で汲み取ってもらえる方が嬉しいのだとは思うが、日常生活でも察しの悪い自分は答えを聞けると安心する。

    歌の技術的なうまさを論ずるところよりも、枡野さんがどこを評価ポイントとして捉えているかの人間性が出ていて、あぁこの人の感性いいなと思う。
    「短歌に限らず、あらゆる表現は、孤独の中でうまれ、熟していくものです。」だったり、あとがきに添えられている「つ た え ら れ る」の文章は前述した「わかる」、「わからない」問題に対して、厳しめの言葉にも感じるが、実は詠み手へのエールのようにも思えて、こんな気概を持って生まれた作品に対してはたとえわからなくても、リスペクトを持って接したいと思った。

    以下、ちょっと長いが、「つ た え ら れ る」より。
    「伝わる! と本気で信じて書いた言葉も実際には伝わらないケースの方が多い。
    いや伝わらないのが基本かもしれない。
    かといって「きっと伝わらない」と先回りしてあきらめることは絶対許されない。
    本気で伝わると信じて全体重をかけないと、奇跡的に伝わるという瞬間など永遠に訪れない。」

    以下、気になった歌。
    ※は枡野さんのコメント。
    ◎特に好きだった歌

    ○ドアが開き私に気づきすぐ閉めるお隣さんよモグラたたきか
    ※余裕がある歌は、「読者に届く」

    ◎球場のどよめき風に乗ってくる部屋から二人始まりました
    ※耳や肌など五感に訴える言葉が、さりげなく詠み込まれている。わざとらしいところの一切ない、姿勢のきれいな歌だと思います。

    ○新しいキーホルダーを買いに行く 合鍵くれた彼とふたりで
    ※ポジティブなことを堂々と書いて、それでいて読者を白けさせない作品というものを評価するようにしています。

    ○ワンルーム泣きたいときに泣けなくて 今日のメニューはハンバーグです

    ○隣人運 吉と出たけどお隣さん あなたはどうです このわたくしで
    ※「お隣さん 私はあなたを気に入った あなたのほうはどうなんですか」という風に書いてあったら、ちっとも面白くありません。

    ○隣人の顔も名前も知らないがベーシストということだけわかった

    ○ここを出てどこか越さなきゃいけないの うちへ来いって言ってもいいよ
    ※実際に口に出すことはできず、心の中でつぶやいただけのセリフなのかもしれませんね。そのように想像すると、いっそう切ない歌です。

    ◎父親と引っ越す前に一度だけゆっくり食べた定食がある

    ○鼻毛切りバサミとハサミが同じ場所 単身赴任の父と暮らせば

    ○深夜のトイレ流すか流さないか迷った末やっぱり流し気分爽快

    ○今回の帰省理由はどうしよう ただ会いたいじゃ気恥ずかしいし

    ○あっカレー! かと思ったらドライカレー 新生活はうんまぁまぁよ
    ※わからないがゆえに、あとをひく・・・・。

    ◎パパの横取り合い泣いた三姉妹 今では一人一部屋欲しがる

    • fukayanegiさん
      ベルガモットさん

      コメントありがとうございます!
      枡野さんは、木下さんと同じく結社には所属しない道を行く方とのことで、だからこその重みのあ...
      ベルガモットさん

      コメントありがとうございます!
      枡野さんは、木下さんと同じく結社には所属しない道を行く方とのことで、だからこその重みのある言葉ですよねー。
      また、読み方や評価するポイントを知ると、逆にどんな気持ちを詠んでるのかなーとヒントになる気もして、枡野さんの歌集を読んだことない自分としては、次こそは歌集だと興味深々な一冊でした。
      2023/11/26
    • ☆ベルガモット☆さん
      fukayanegiさん、こんばんは!
      枡野さんは、想像を絶する冷遇を受けたようで短歌界の闇を感じます
      NHK短歌の連載によると、今はお...
      fukayanegiさん、こんばんは!
      枡野さんは、想像を絶する冷遇を受けたようで短歌界の闇を感じます
      NHK短歌の連載によると、今はお笑い芸人を目指しているようです
      やっぱり枡野さんの歌集を読まなくちゃですね(^O^)
      2023/11/27
    • fukayanegiさん
      ベルガモットさん

      想像を絶する冷遇。。。
      そんな闇は今や晴れていることを祈るばかりです。

      枡野さん、お笑い芸人を目指しているのですね!!...
      ベルガモットさん

      想像を絶する冷遇。。。
      そんな闇は今や晴れていることを祈るばかりです。

      枡野さん、お笑い芸人を目指しているのですね!!
      びっくりはしましたが、頷ける面もあります。
      お笑いの方の中には語彙力がずば抜けている方いますものねー。
      言葉を巧みに操る面で通ずるところ、ある気がします。
      2023/11/27
  • 「一人で始める短歌入門」というタイトルからは、短歌の作り方・ルールなどの入門書だろうな、という想像が働くけれども、この本はそうではなく100首の短歌集である。
    そういう意味で、タイトルと内容に乖離があるところが残念なのだが、短歌集として読む分にはおもしろかった。

    この本には、CHINTAIの広告キャンペーン「いい部屋みつかっ短歌」に寄せられた8709首の中から厳選された100首が、テーマ別に分けられ収録されている。
    見開きの右ページには短歌、左ページには枡野浩一さんによる解説があり、とても読みやすかった。

    著者としては、100首を読むことで短歌に感化され、いつの間にか自分でも短歌が作りたくなる(ハズ)という意味で、「一人で始める短歌入門」というタイトルにしたようだ。(でもタイトルをつけたのが枡野浩一さんじゃななかったらすいません)
    そう聞くと、このタイトルになったのもわからなくはないのだが、やはり手に取るときにそこまで読み込む人はかなり少ないとおもわれるので、タイトルでちょっと損をしているようにおもう。

    読み終えておもうのは、部屋(家)という1つのテーマだけで、こんなにもさまざまな視点からみた短歌ができるのか…ということ。感嘆。
    収録されている短歌の視点がすごすぎて、こんなふうに短歌を詠めない…と逆に落ちこむ結果になった(笑)
    そういうわけで、短歌を作ろうかな…とはならなかったけど、好きな短歌には数多く出会うことができた。

    以下、いくつか書き出した短歌のなかから、さらに絞った3首を紹介する。

    ・上京後自炊し最初に知った事
    うまかったんだな母の味噌汁
    (茨城県ぎゃふん)(118ページ)

    →これを選んだのは多分この頃、母の日川柳をよく考えていた影響。味噌汁って誰でもフツウに美味しく作れる…とおもったら、大間違い!自分で作るようになってはじめて、「美味しい味噌汁」って当たり前じゃなかったんだ…とわかるところが、グッとくる。

    ・一人でも生きていけると思うのは
    ひとりではない証拠なのです
    (神奈川県どじょう)(142ページ)

    →人生の教訓。日々自覚していないことをこうやってあらためて言われてみると、グッとくる。

    ・強くなれ!丸めた雑誌を握り締める
    誰も助けてくれないんだから
    (大阪府さり)(148ページ)

    →五八六七七のリズム。字数的には合っているんだけど、読んでいるとちょっとカクッとなる。だからこそ五七五七七のリズムって大事なんだな〜とおもう。
    さて、リズムの話はひとまず置いておくと、内容的には「わかるな〜」が詰まりまくっている。部屋に「アイツ」が出たとしても、退治できるのは自分しかいない。この現実と向き合わなくちゃいけないのもまた、一人暮らしの試練。そして「アイツ」の名前は出てきてないのに「丸めた雑誌を握り締める」というところから「アイツ」の話だとわかるところもすごい。

  • 短歌の入門書を期待して読んだのだけれど、そういう丁寧なガイドブックではなく、読者が詠んだ短歌を桝野がひとつひとつ添削していくという構成。従ってタイトルに偽りあり。興味深く読んだのだけれど、枡野はあまりエッセイやコラムは感心しない。彼が作る歌の方が遥かに魅力があるように思われる。それは多分桝野が喋り過ぎる類の人間だからではないか。余計なひと言が多過ぎるのだ。短歌だと切れ味良く言葉を切り詰められるので……本書に話を戻すと、入門書ではない。面白い本ではあるが、読者との馴れ合いを読まされているような気もしてしまう

  • 趣味の書き物ですごく落ち込むことがあり、なんとか励まされたくて再読。
    私がやりたいのは私ではない誰かの身に起こった何かを想像して書くことなので、「いつもの言葉づかい」などはあんまり意識しない。意識しないし、読むときもあまり選ばない。けれどこの本を読んでいて、私が普段好みだと自覚しているタイプの短歌でなくとも「好きだ」「面白い」「なるほど」と思うことがたくさんある。私の書いたものもそうなれるかもしれないと思うと元気が出る。
    そんなことを考えなくても、うるさくなく且つポジティブな短歌に色々触れられる一冊なので、それを補給したい気分のときにいいなあと思っています

  • 短歌をちょっとかじってみようかなと思い、とりあえず買ってみた本。
    CHINTAI「いい部屋みつかっ短歌」コンテストの応募作に筆者がコメントしていくという内容なので、掲載の短歌については「部屋探し」「一人暮らし」についてのものが多い。
    気に入った歌としては、「あの頃の通学路沿いに引っ越して制服の君にまた振られたい」「一人でも生きていけると思うのはひとりではない証拠なのです」「パパの横取り合い泣いた三姉妹 今では一人一部屋欲しがる」など。
    “入門”というにはやや物足りないが、読みものとしてひとしきり楽しめました。

  • 猫町読書会 課題図書副読本 読了。CHINTAI「いい部屋みつかっ短歌」コンテストの応募作に対して、枡野浩一が 1ページずつコメントをしていくという一冊。短歌の鑑賞者としての楽しみ方を披露しつつ、短歌の作り方について簡単なアドバイスを与えていて、まあそれなりに面白い。

    もっとも、「素人の短歌に対して、歌人がコメントをする」という体裁の類書としては歌壇 猫又の『短歌はプロに聞け』(2013年『短歌はじめました』に改題)という本があり、個人的にはこちらに一票を上げたい。『一人で始める…』は、枡野浩一が一人でその主観を披露するに留まっているのだが、猫又では二人の歌人 穂村弘と東直子がお互いの主観をぶつけあって、時に共感し、時に矛盾して葛藤するところが、短歌の解釈の幅の広さを示していて、面白いのだ。まあ、1対2だから、この比較はフェアじゃないけどね。猫又は、そのシリーズで続巻『短歌があるじゃないか』(未読)が出ているようなので、これも読む。

    ちょっと褒め過ぎかもしれないが、従来は俳句や川柳が募集されることの多かったこのような企画において、ごく自然に短歌が取り上げられるようになったのは、現代口語短歌を積極的に紹介してきた枡野浩一を含めた現代歌人の功績だと思う。短歌甲子園とかも。

  • 加藤千恵さんの講座の課題図書(?)その2。枡野さんは昔から知っていて割と好きなので、その考え方とか受け取り方とかが垣間見れて良かった。「かんたん短歌のつくりかた」も是非読んでみたい。最近、短歌を真面目にやろうかと思っているので、とても参考になった。

  • 歌人の桝野浩一さんgあいろんな人の短歌を評価してくれる短歌を始めたい人のための本です。
    ちょっと物足りないけど、結構参考になります。

  • 企画もの。とはいっても、題材が限定されている面白さもある。
    地味なテーマでありながら、はっとさせられる短歌もあり、おもしろかった。

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著者プロフィール

一九六八年東京都生まれ。歌人。雑誌ライター、広告会社のコピーライターなどを経て一九九七年、短歌絵本を二冊同時刊行し歌人デビュー。短歌代表作は高校国語教科書に掲載された。短歌小説『ショートソング』、アンソロジー『ドラえもん短歌』、入門書『かんたん短歌の作り方』、『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集』など著書多数。目黒雅也や内田かずひろの絵と組み、絵本・児童小説も手がけている。

「2023年 『おやすみ短歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

枡野浩一の作品

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