魔法の庭 (ちくま文庫 か 25-3)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480423511

感想・レビュー・書評

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  • 2008年10月24日~28日。
     短編集。凄く面白い作品と、そうでも無い作品の差が大きかったように感じた。

  • 短編集。「魔法の庭」というタイトルのイメージだけでファンタジー系かなと思って読み始めたらそうではなかった。やたらとパルチザンが出てくるし、戦争中というかファシズム政権下の農村が舞台になっているものが多く、日常の中のちょっとした違和感からくる不穏さや恐怖心などを描いたものが多かった印象。そんな中でもそれなりに子供たちはのびのびしているのが救いだけれど、楽しく遊んでいてもふと現実に引き戻される瞬間の寂しさや、「うまくやれよ」のような、子供のうちからすっかりクズみたいな子も戦争中は出てきちゃうんだよなあとしょんぼりもする。

    「動物たちの森」はやっぱり戦争中の話ながら、民話的な展開でホッとした。金銭めあてで泥棒に入ったのにお菓子やケーキがいっぱいでそっちに夢中になっちゃう「菓子泥棒」は、ケーキの上で転げまわりたいとか甘い物好きとしてはわかるわかる!と思う反面、実はケーキなんて庶民の手にははいらないくらい貧しく厳しい時代背景を考えるとやっぱりちょっとしょんぼりしてしまうのでした。

    ※収録作品
    蟹だらけの船/魔法の庭/不実の村/小道の恐怖/動物たちの森/だれも知らなかった/大きな魚、小さな魚/うまくやれよ/猫と警官/菓子泥棒/楽しみはつづかない

  • ロダーリやブッツァーティなどを読んで、イタリア文学が気になりだしたので、イタリア文学界の巨匠カルヴィーノの初期短編集を。この中では「菓子泥棒」が好きかな。ほかの作品も読んでみようと思う。2013/113

  • カルヴィーノといえば実験的な作風が思い浮かんでしまいがちだが、本作は白い雲、青い海、可愛い子どもたちがよく映える佳作が揃っている。清々しい一冊。

  • 読後感は良いです。けれどどこか物悲しいというか何というか。
    それに結びつく直接的表現はなかったはずだし、むしろその逆なのに。
    現実と幻想の狭間で浮かび上がった情景には、
    今まで味わったことのない瑞々しさを感じました。
    次は長編を読んでみたいです。

  • 「ジョヴァンニーノはセレニッラと遊ぶのが大好きだった。ある日二人は噴水にプールに並木道がある、大きなお屋敷の庭に迷い込んだ。何もかも素敵に見えたが、そこには魔法のような、昔犯した悪事のような恐怖がたちこめていた」(「魔法の庭」)。アルプスの自然を背景にどこか奇妙な、青年警官、若い犯罪者、無能の猟師など、大人社会のいわゆる“異物”をユーモラスに描いた11編を収める。

  • 珍しく普段読まないジャンルの本を。
    おもしろーい、と単純に思えない、深ーい感じの短編集。
    なんだか深読みしてしまいます。

著者プロフィール

イタロ・カルヴィーノ(Italo Calvino)
1923 — 85年。イタリアの作家。
第二次世界大戦末期のレジスタンス体験を経て、
『くもの巣の小道』でパヴェーゼに認められる。
『まっぷたつの子爵』『木のぼり男爵』『不在の騎士』『レ・コスミコミケ』
『見えない都市』『冬の夜ひとりの旅人が』などの小説の他、文学・社会
評論『水に流して』『カルヴィーノの文学講義』などがある。

「2021年 『スモッグの雲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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