「読み」の整理学 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.53
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本棚登録 : 1042
レビュー : 113
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480423801

作品紹介・あらすじ

取扱説明書や役所へ提出する書類を読んで、何がなんだか分からない、という経験はないだろうか?自分の知らないこと、未経験の内容の文章は読むのは難しい、それに比べ、知っていることが書かれている文章は簡単に読める。実は読み方には二種類あるのだ。論文など未知を読むベーター読みと既知を読むアルファー読み。頭脳を刺激し、読書世界を広げるベーター読みを身につける方法とは?リーディングの新しい地平をひらく書。

感想・レビュー・書評

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  • こ、これは…すごい
    『読む事』をこんなに明瞭に分析できるなんて…

    自分自身を振り返ると、幼いころにお経や宗教的警句を訳も分からず諳んじた経験が、今の自分の読みに関わりがあるかもしれない。しかし最近はもっぱらアルファ読みです、反省!!!

  •  高校現代文で哲学的文学的な文章に悪戦苦闘し、大学生になって様々な哲学的古典にもより興味がでてきた。その中で、どんな難解な文章でも理解することができるということが本当に頭がいいということの一つの意味であるのかもしれないと思うようになり、そのような知性に憧れをもつようになった。

    そのためか、既知を読むα読みと未知を読むβ読みの2つの読みがあり、後者はより高度な知的営為だという本書の主張はストンと腹に落ちた。当初、書評や帯からこの本はβ読みをいかにすれば未知のことが書かれた文章を理解できるのかというコツが書かれているものだと期待して読み始めたのだが、実際にはそんなことではなかった。β読みには小手先のテクニックなどというのはなく、ただ試行錯誤しながら何度も読み返すしかないのだ。しかし、β読みは非常に高度な知的活動であるので一読して理解できることなどほとんどないというのを読み、少し気持ちが楽になった。また、結局は人は自らの体験や既知の事柄に引き付けて未知を理解しようとするので、読み方は読者によって異なるし、筆者の意図とちがっていても当然で、筆者の意図を含むどれも絶対的に正しい解釈とは言えないのだという主張も肩の力を抜いてくれた。必要以上に焦ったりプレッシャーを感じたりすることなく、未知のものを試行錯誤しながら読み進めていくという読書体験を、じっくり腰を据えて積んでいきたい。

  • 未知を読む、それには辛抱強く何度も何度も読む必要がある。わかりやすい文章を書けーとばかり言われる日々に、少なからず「これほどまで読み手に努力を求めないような文章を書かねばならんのか?」と思っていたので、なんか安心したやら納得したやらです。

  • ”アルファー読みとベータ読み”

  • 思考、忘却に続く整理学シリーズの3冊目。個人的に3冊の中でこれが最も好きである。

    今までのシリーズと違い、外山滋比古の怒りが充満した一冊である。読みが退化していることへの怒り、それを助長した教育や出版業界への怒り、そしてシンプルに外山滋比古に抗議文を書いてきた中学生への怒り。
    最初は中学生を論破すればいいだけだったはずの筆者が、それでは大人気ない、別の方法で諭そう。いや、中学生だけが悪いわけではないから、その背後に潜む親玉を仕留めなくてはならない。しかし、難しい組み立てを、表現を用いれば、一番この本の内容を伝えたい層に伝わらない。ああ、イライラする。

    と、不満や怒りをどこか楽しみながら書いたような印象を受けた。

    既知をもとに満足するアルファ読み。
    未知の世界を紐解いていくベーター読み。

    未知を読むには二重の壁がある。
    だから読めないし、広がらないし、退化する。

    外山滋比古を怒らせ、この一冊を生み出すきっかけを作った中学生に、天晴れ!と伝えたい。

  • 吃驚したッ‼️

    『AI vs 教科書の読めない子どもたち』読了直後だったので…
    本棚に並んだ本書を、何気なく手に取って読み始めて、"answer bookかッ❓

  • アルファ読み、ベーター読みは新鮮な概念だった。今後購入する書籍は意識して、「ベーター読みできる書籍か?」を自問する。""

  • 「読書の方法」といっても、手っ取り早く必要な情報を入手するためのハウツー本ではありません。内容の理解しづらい、わかりにくい本をじっくり時間をかけて読むことこそが、実り豊かな読書だという著書の考えが展開されています。

    著者は、既知の内容についての読書を「アルファー読み」、未知の内容についての読書を「ベーター読み」と呼びます。そのうえで、教育のなかで「ベーター読み」の訓練をおこなうことの重要性や、翻訳文に見られる悪文が日本人の「ベーター読み」の訓練に果たしてきた役割について触れています。

    また、戦後になってわかりやすさを求める読者の声が大きくなり、素読や読書百遍といった伝統的な読書法が非合理的なものとして排斥されたことについて、そうした読書が、時間をかけて未知の内容を既知のものへと移し変えていく「ベーター読み」の役割を果たしていたと評価しています。

    さらに、時間をかけて「ベーター読み」がおこなわれていくなかで、新たな意味が発見・創造され、やがてその本が「古典化」されるという考えが提出されています。

  • 105円購入2012-02-12

  •  読書とは新しい知の発見の営みである。そのためには情緒的な読み方だけでなく、テクストを分析的、哲学的に読まねばならない。
     現代では後者のような読み方の訓練がなされていない。出版社も「如何にして買ってもらうか」が至上命題なので、軟弱な読者のための、ますます口当たりの柔らかい文章ばかりを前面にだすようになっていると著者は嘆く。
     韋編三絶(いへんさんぜつ=本の綴糸が三度も切れるほど、一冊の本を繰り返し読むこと)を目指す読み手も出版社も、今ではどれほどあろうか。
     四十年ほど前までは、ちょっとした書籍は立派な作りで箱入りだった。今そのような本を書店で見付けるのは難しい。
     こういうところにも知の衰退が可視化されている、というのは言い過ぎだろうか。

  • 読むことを考え抜いた本。既知を読むアルファー読みと未知を読むベーター読みとにわけてのところが面白い。これほどまでに読みを意識したことはなかった。これからは意識しておきたいことの一つになった。

  • 知っているものを「読む」ことと、知らないものを「読む」とは何であるか。
    この「読み」の種類についてと、未知を「読む」ことの意義、どう未知を読む難しさに向き合っていくかなどをを丁寧に辿っていく。
    人それぞれが持つコンテクストによって「読み」が左右されること、何度も読むことで荒がふるい落とされ何度も読むにたる本が古典化していくこと、辺りが面白かった。
    何度も読みたい本が手元にどれだけあるかは、本を通してみるこれからの人生が、どれだけ豊かになるかの指標にもなりうる。

  • 既知を読むアルファード読み、未知を読むベーター読み。
    ヴォリンゲルの抽象と感情移入

  • アルファー読みとベータ読みの二通りの読み方があり、素読などのようにベータ読みを通して、未知のものを読み解く力が必要。。。ということでいいのだろうか?

  • 主張が時代に逆行してて面白い。そして納得がいく。
    やっぱりすごいおじいちゃん。読書っていいなってなる本


  • この本には「読む」という知的作業に関して、論理的に分かりやすい言葉で書かれています。

    人は知らないことは理解できないもの。
    知識があるから物事を理解できるし、楽しむことができる。

    更に、現代の日本は読み物に対して「分かりやすさ」だけを追求している。
    分かりやすい文章に慣れ親しんだ故に、少しでも難解な表現の文章と対峙すると直ぐに白旗をあげてしまう。
    そもそも文章を一度読んだだけで理解できると思うのは思い上がりであると著者は書いています。

    繰り返し、繰り返し、文章を読み返し意味を掴み取ろうとする知的作業が軽視されていて、著者はこの事に警鐘を鳴らしています。

    最近の若者、更には社会人の読解力の低下が問題とされている現代、「読む」に関して考えを改めるきっかけになる本だと思います。

  • 外山滋比古先生の本の中ではそれほど面白い!とは思わなかったが改めて自分の考え方を洗い直させてくれる内容だった。言語については言語心理学、発達心理学の分野で学んだことが含まれておりより思考を深めることができた。

  • 2017/3/20
    外山滋比古さんの本シリーズの一冊。読書についての彼の意見や考え方が書いてある。人が本で文字を読むときの読み方として、すでに知っていることを読むアルファー読みと自分が全然知らない未知のことについて読むベーター読みという2つの方法があり、現代ではアルファー読みが主流になりすぎていてベーター読みがあまり大切にされてないのではないかという問題提起もされている。
    どのように本を読むのかということについてこれまであまり深く考えてこなかったが、自分の知識を増やし理解を深めるための読書というのは何なのかについて少しばかりヒントをもらったような感じだ。本を読む方法の過程で素読という話が出てくる箇所がある。全く何も知らないものについて背景の知識等も一切なしにただ読む。最初は全く意味がわからない。何回か読んでいくうちに何となくではあるが少しずつ意味がつかめたり書いてある内容が理解できてくる。これがベーター読みであり、昔の日本では漢学などが使われたりしていたが最近ではそうした教育は行われなくなってしまった本当に力をつける本の読み方とは何なのかについてのヒントをくれる内容である。一度読んだだけで全てを理解するのは難しいが、何度か読んでいくうちにつかめてくるものがあるようだから、この本もまた必要な時にその箇所を読み返すだけでもやってみようと思う。

  • 本を読めば色々なことを思うし、考える。それについて、自分は正しく読めているのだろうかという不安は少なからずあった。著者はそれぞれの読み方、捉え方があっていいと言っていた。なんだか背中を押された気分だった。気持ちが楽になった。
    読み終わったとき、もっと本を読んでみようと前向きな気分で思えた。

    しかしながら、文章から溢れ出す著者のアカデミックかつ不遜な態度に、何度本を閉じようと思ったことだろう。最後まで読んで良かったと思うが、今だに著者への苦手意識は消えない。
    1981年と30年以上前に書かれた本なので、世相の違いもあるからと自分に言い聞かせながら読み進めた。しかし、最後まで思考実験でもしてるような頭でっかちな印象が拭えなかった。

  • 「いまの日本で、万人の認める必読書、古典中の古典というものがはたしてあるのだろうか。…(中略)…社会全般で公認する古典が明確でないなら、個人の責任でめいめいの古典を決定するほかない。それをくりかえしくりかえし読むことによって、ベーター読みを可能にする。これが現代読者に残された途なのである。」このあとに続く文章も著者の確信めいた信念が感じられました。
    偉大な先達の背中を追いつつ、知的未到の地を目指さなくてはとの思いを新たにしました。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2019年 『やわらかく、考える。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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