文章読本さん江 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.71
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本棚登録 : 327
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424037

感想・レビュー・書評

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  • 笑い飛ばせる部分と、謎解きに当たる部分と、それぞれ巧みだなあというのが率直な感想。

    嬉々として、文章の真髄を下々に授けようと力む「サムライ」たちが、ついついウンチクを垂れてしまう理由が、歴史を背景にして語られてしまう。その料理のされっぷりが気の毒なところと、背景の分析が勉強になるところと、この二点が本書の白眉。

  • writing

  • 解説:高橋源一郎・山崎浩一・石原千秋・中条省平、小林秀雄賞

  • 某氏にいただく。2002年刊、文庫化は2007年。こんなおもしろい本があるとは知らなかった。自分が清水幾太郎ー本多勝一路線にあることがよくわかった(もっと言えば、「わかりやすく書けないならば、豆腐の角に頭をぶつけて死んだ方がまし」という分析哲学の末裔でもある)。
    貴族高踏名文派と民主シンプル派との階級闘争という対立図式を明確にした第一部と第二部が圧巻。ここまでを読めば文章の勉強用にもなる。ただ、その背景説明を明治にまで戻ってやっている第三部と第四部はまあ時間があれば読めばよい感じ。
    この手の本だから指摘しておくが、82頁の「精神状態を類推すると」の「類推」の使い方がおかしい気がする。「推測」でよいのではないか。







    る)。

  • なるほどごもっとも。確かにそうだ。いろんな文章読本を読んでいて漠然と感じていたことをズバリ言い当てている。痛快。階級闘争に持ち込んだところは素晴らしい。
    でもそれは最初だけ。終始揶揄。からかいの連続。スパイス程度に出てくれば、権威へ矢を射るようで痛快だが、絶え間なく聞かされると悲しくなってくる。とにかく目に見えるもの、耳に入るもの全てを揶揄する。読み続けるのが次第に苦痛になってきた。ユーモアも嫌味に変わってくる。
    それでも最後まで読み通したのは何がいいたいのか知りたかったからだ。これだけ罵詈雑言を並べるだけでは終わるまいと期待したからだ。御高説ごもっともの連続なので本当に期待した。
    結論は月並み。というかケースバイケースですよね、と主張のない、その場を丸く納めるための結論。これだけ文章読本を罵倒しておいて、最後の数ページだけ自分も御高説を垂れる。しかも逃げ場を作っておく。だってケースバイケースですもの。
    文章読本の歴史を文章会の階級闘争の歴史で終わらせておけばよかったのに、自ら読本してしまった。

  • 【引用】
    ・衣装が身体の包み紙なら、文章は思想の包み紙である。着飾る対象が「思想」だから上等そうな気がするだけで、要は一張羅でドレスアップした自分(の思想)を人に見せて褒められたいってことでしょう?

    ・「文は服である」のアナロジーでいえば、「名文」ならぬ「ウケる文章(衣装)」を目指してみんながコスプレに励む、そんな時代になったのかもしれない。

  • 「文章読本」を皮肉っている本。
    ドヤ顔で「文章たるもの」を語っている本を、こうして面白く分類して冷静に突っ込みを入れられてしまうと、その威厳がかえって黒歴史的な恥ずかしさに変わるだろう。「良い文章とは」という歴史も知ることができた。

    まともな「文章読本」の人たちも自分の経験的エッセイやお気に入り文集などにしないで書けばいいのに。
    わたし谷崎潤一郎の文章読本好きですが・・・

  • 数ある文章読本を的確な分析と鋭い視点で分析。もう文章読本は読まなくていいと思った。

  •  面白かったねぇ。
     今度から「面白い文芸評論なあい?」と聞かれたら『文章読本さん江』にしよう。そうしよう。

     「文章読本」から連なる文章指南のジャンルを考察した上、日本の作文教育、明治時代からの国語教育の変遷まで含めて網羅検証した一大評論。評論、本当はここまでやらにゃあいかんのです。ここまで綿密に、シビアに、面白きこともなきジャンルを面白く。記号論なんか絡まなくてもここまで面白く出来る! やーいやーい! と私怨のようなものも混じりつつ。

     読めば面白いし、仕掛けに障るので特に書くこともないが、最終的に提示される結論は、実は江戸時代から続く日本人は誰しも持っていた感覚ではなかったかしらんと思った。
     あんがいと古風な結論に落ち着いた。

  • 文体・表記に歴史あり。
    もし「かッた体」とか「棒引きかなづかい」が採用されてたら…コワ。
    旧かな支持派の主張④は、むーん。そうかも。

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著者プロフィール

【著者】斎藤美奈子 (さいとう・みなこ) │ 文芸評論家。1994年に文芸評論『妊娠小説』でデビュー。2002年『文章読本さん江』で、第1回小林秀雄賞受賞。軽妙な筆致で綴られるパンチの効いた書評や文芸評論は、幅広いファンをもつ。他の著書に、『文壇アイドル論』『紅一点論』『本の本』『日本の同時代小説』『文庫解説ワンダーランド』『名作うしろ読み』などがある。

「2020年 『中古典のすすめ(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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