「戦争」に強くなる本: 入門・アジア太平洋戦争 (ちくま文庫 は 36-1)
- 筑摩書房 (2007年12月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480424068
作品紹介・あらすじ
テロとの戦いや、北朝鮮の核武装への動きとミサイル実験、中国の軍拡などによって、軍事知識は必要不可欠なものになりつつあるが、軍事に関する議論は玉石混交の状態にある。では、まず何から読めばよいのだろうか。これまでアジア太平洋戦争について公刊された書物を、「開戦原因」「敗戦原因」「戦争の展開」「兵器について」「戦争責任とは何か」など多面的に整理・紹介し、戦争の真実に迫る。
感想・レビュー・書評
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●軍人はおおむね職業軍人を指す。兵隊とは自分の意思とは関係なく、国家の命令によって軍隊に属する事になった人。
●第一次世界大戦中、日本からヨーロッパに向けての輸出が急増。軍艦を国産化できるようになったばかりなのに、フランスに駆逐艦を12隻も輸出した。財政は累積赤字を解消したばかりが黒字に転換した。この時、戦争の収支が黒字になったのは日本だけと言われるようになった。→非白人国家が戦勝国となり、発言力を増すことを警戒した。
●岡倉天心、茶の本にて。白人たちは、平和に風流を楽しんでいた日本人のことを野蛮とみなし、その日本人が満州の戦場で大量殺戮を始めたら、ようやく文明国とみなしたのである。近代兵器を使いこなして戦争を遂行できる国だけが文明国であり、どんなに成熟した文化を持っていようが、軍事的に弱小であれば、植民地になったり他国の支配に甘んじなければならなかった。
●シベリア出兵と関東大震災で軍縮がトレンドに。
●20世紀初頭、軍国主義で無かった国など無かった。
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この本を読むとすぐ自分が如何に「戦争」に弱いかを実感する。
というのも「戦争」という歴史的に繰り返される人間の歴史の知識を簡単に手に入れられと思って読み始めたのですが、本のページをめくる度に「この本を読めば更に詳しい」とか、「この解説にはこの本がオススメだ」「この本が別の視点を与えてくれる」等、数々の本が紹介される。TV番組で池上彰氏の教養としての戦争を観ながら、「なるほど.そうだったのか」と感心していた自分が懐かしくなる。
この本は「戦争」というものをとおして、人間の歴史を探求していこうとする人にはうってつけの戦争のガイドブックなるので是非読んでもらいたい。
私は”社会の動き”に興味があるので、その視点で読み進めるて行ったが、第三章「軍国主義とはなんだろう」、第四章「軍部独裁」、第五章「戦争は避けられただろうか」で紹介された本をもとにこの敗戦後70年の日本戦争の歴史を振り返り、「戦争と社会」の関係性に強くなろうと考えている。
余談だが、私がずっと不思議に思っていた「なぜ、日本には空軍がないのか?」という疑問も解消されたし、'零戦'が海軍製造で、'隼'が陸軍製造のものであって陸海軍がそれぞれ別々に戦闘機を開発製造していたという事実には驚きもした。
でも、こうやって「戦争」を深く見つめているとそれに対比される「平和」が鮮明に浮き上がってくる実感がある。手にとった動機とは違うところに落ち着きそうだけど、いろいろな意味で価値ある一冊だった。 -
余計な脚色や思想を排除し、客観的な史実を知ることがいかに大変なことか。。。
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非常に分かり易く日本の戦争を紹介してくれていて、入門書としてとてもいい本です。
まだ自分自身で何故そう感じるようになったのか分からないが、日本の戦争に関して、知識見識を増やしていきたいと急に思うようになった。
そのために最初に読む本として選んで見ました。ある人の推薦です…
とても面白く、分かり易い本でした。ただあくまでも、この本は日本の戦争の触りの部分でしか有りません。そこは注意ですね。
推薦書籍も探して読んでみたいと思います。 -
軍縮とはリストラ。
すぐに難しいことを言い出すのが左翼で意味もなく騒ぐのが右翼。
昭和天皇ですら、一部軍人たちの狂気じみた言動には恐怖を感じていたのだ。
世間知らずの受験秀才に過ぎないような連中が官僚化した軍組織の中で権力を握り、戦争指導の任にあたったことに悲劇の原因がある。 -
ニガテのジャンルも、著者の自分ツッコミが秀逸であっという間に読破。