それからの海舟 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.71
  • (10)
  • (39)
  • (25)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 282
感想 : 31
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424433

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 薩長嫌いもここまで来たら大したものだ。歯に衣着せぬ物言い、それに海舟を勝っつあん呼ばわりする歴史家の先生。これにも恐れ入りました。
    海舟さんの「それから」は意地でも表舞台に出てやるものか!って感じがした。江戸っ子の粋とやせ我慢のなせる業なのだろうか。まさか、そんな単純な事ではないだろうが、
    読み通して「勝海舟」の人となりを感じ取った気がした。ただ、一方、この先生の著書だけで海舟さんを評価して良いのだろうかとも感じた。歴史の裏側を垣間見た気がする。

    面白かった

  • 江戸城無血開城となった、勝海舟と西郷隆盛の会談後の勝海舟のその後。

     以前司馬遼太郎さんの本で勝海舟について、学校の歴史で知った以上のことを知り、すごい人だなと感銘を受けた。書店で偶然この本を見かけて、迷わず購入。面白かった。そして、より勝海舟が好きになった。
     現在の政治の体たらくを思うにつけ、勝海舟のような人がいてくれたらと思う。

  • 「半藤一利」が「勝海舟」について語った歴史エッセイ『それからの海舟』を読みました。

    「半藤一利」作品は、1月に読んだ『漱石先生大いに笑う』以来ですね。

    -----story-------------
    此の作品ほんたうに面白いですよ。(解説「阿川弘之」)

    幕末の動乱期の中、幕臣の中心として江戸城無血開城という大仕事を成し遂げた後の人生を「勝海舟」はどう生きたのか。
    新旧相撃つ中で旧幕臣たちの生計をたてる道を探り、「福沢諭吉」らの批判を受けながらも明治政府の内部に入り、旧幕府勢力の代弁者としての発言力を確保して「徳川慶喜」と「明治天皇」の会見を実現。
    また一方では逆賊とされた盟友「西郷隆盛」の名誉回復に尽力した「海舟」の後半生に光を当てた名評伝。
    -----------------------

    歴史探偵「半藤一利」が、「勝海舟」の江戸城無血開城に向けた「西郷隆盛」との会談後の"それから"をテーマにした作品… 明治という波瀾万丈の時代を背景に「勝海舟」という傑出した人物の魅力を描いた作品です。

     ■プロローグ 「本所の勝麟」ぶらぶら記
     ■第一章 苦心惨憺の“その日”まで
     ■第二章 「虎穴に入らずんば」の横浜行
     ■第三章 空しくなった最後の大芝居
     ■第四章 静岡‐東京行ったり来たり
     ■第五章 ふたたび西郷どんとともに
     ■第六章 政府高官はもう真ッ平
     ■第七章 「薩摩軍が勝つよ」
     ■第八章 逆賊の汚名返上のため
     ■第九章 野に吼える「氷川の隠居」
     ■第十章 「文学は大嫌いだよ」
     ■第十一章 「我が行蔵」と「痩我慢」
     ■第十二章 誰が知る「あひるの水かき」
     ■エピローグ 洗足池の墓詣で
     ■あとがき
     ■解説 頑固な下町っ子風 阿川弘之

    「勝海舟」って、人物については、歴史の勉強の中で、あまり興味を惹かなかったので、詳しく知らなかったのですが… 本作品を読んで、魅力的な人物だったことを知ることができました、、、

    きめ細かな水面下での根回し、地味な工作のうえで「西郷隆盛」との会談を行い、江戸城無血開城を成し遂げ「徳川慶喜」の命を救い、明治維新後も、静岡の一大名となった「徳川家」の旧臣を食べさせるために尽力… 一貫して「徳川家」のため、そしてかつての殿様である「徳川慶喜」や、逆賊となってしまった「西郷隆盛」の名誉回復に尽くす姿に感銘を受けるとともに、世の中のことをよく知り、先見性のある判断をしていたことに驚きましたね。

    特に、欧米諸国の列強に立ち向かうには、中国(当時の清)や朝鮮とは争そうのではなく、協調すべきと、当時から考えていたことには感心しました、、、

    残念がら、結果的には日清戦争が勃発し、日本は戦勝国となったものの、三国干渉により中国領土の一部はロシア、フランス、イギリス、ドイツに奪われることになっちゃうんですよね… そこまでも予見したように思います。

    あと印象に残ったのは「伊藤博文」のことを批判した言葉、、、

    「政治家の秘訣は他に何もない。
     ただた正心誠意の4文字。
     伊藤さんはわずか4千万の人心を収攬することもできないのはもちろん、
     いつも列国のために恥辱を受けて独立国の体面をさえ全うすることが出来ないとはいかにも歯がゆいではないか。
     つまり伊藤さんはこの秘訣を知らないんだよ。」

    現在の政治家にも聞かせてあげたいな。

    幕末~明治中期までの歴史観が、自分の中で変化した一冊でした。

  • 歴史探偵と言いながら筆者が内容に出しゃばりすぎ。よくわからない依怙贔屓を老人の談話みたいに普通に出してくるのでかえって勝に嫌な印象が出た。淡々と書いて欲しい。(別の筆者のものを読めということなんだろうけど)慶喜の方が面白かった。

  • 勝海舟という人物について、あまり知識を持っていなかったが、ようやっとその偉大さがわかった。江戸城無血開城は大手柄。しかし、それでも戊辰戦争を防げなかったところにこの国の問題があるということがわかる。

  • 幕府から見た維新。旧幕臣からみた明治。

  • 「本所の勝麟」ぶらぶら記
    苦心惨憺の“その日”まで
    「虎穴に入らずんば」の横浜行
    空しくなった最後の大芝居
    静岡‐東京行ったり来たり
    ふたたび西郷どんとともに
    政府高官はもう真ッ平
    「薩摩軍が勝つよ」
    逆賊の汚名返上のため
    野に吼える「氷川の隠居」
    「文学は大嫌いだよ」
    「我が行蔵」と「痩我慢」
    誰が知る「あひるの水かき」
    洗足池の墓詣で

    著者:半藤一利(1930-、東京都、作家)

  • 半藤さんの勝に対する愛情。

  • それから、つまり明治維新後の勝海舟の過ごし方に焦点をあてた、半藤ならではの書籍。幅広い調査に基づいて著されたことが分かる。
    よく言われているように、ブラブラしていたらしいが、維新後は政治に深く関わらず、客観的な立場を貫いたのは、なかなかに大変だったんだろうと思う。そのようにして、いわゆる余生を暮らす、というのは難しい事業だったろう。

  • <i>天下動乱のとき、人々が難を恐れ策に窮して誰もその護に当たろうとしないとき、勝は百難を恐れずに身を挺したのである。もちろん旧幕府の首相兼外相兼陸相として、西軍側と交渉しなければならない立場におかれたゆえといえば、それまでではあるが、決して逃げようとはしなかった。しかもその首尾一貫してとった方策が西欧列強の代理戦争としての内戦を避けることで、それを押し通したことは見事であった。(p.322)</i>
    好みが分かれて掴みにくい人物であるけどやはり凄い人だ。維新以後の勝海舟のことが分かる良書。

全31件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

半藤一利の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×