- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480424709
感想・レビュー・書評
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本祭りにて購入。プラハ・ソビエト学校同窓の小森陽一さんと、お馴染み田丸公美子さんとの対談が面白い。万里さん死後に書かれた黒岩幸子さんの「素顔の万里さん」は万里さんの著作が時系列で繋がったのと距離感温度感が絶妙で良かった。
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ここでの米原さんは、本を読むのとは違って、ざっくばらんな言葉で語りかけてくれる。免疫学者の多田富雄氏との対談では、翻訳という作業が、脳内でどのように行われているかを、お二人が言葉で探っていたのが面白かった。日本語で言葉を発するときも、翻訳で言葉を発する時も、意味を考えながらの作業だという。
「女は存在 男は現象」という名言もあった。
彼女の翻訳における「嘘」の正体も、腑に落ちた。「事実を多少面白くするために」彼女はちょっとしたエッセンスを加えているのだ。著書においては、考え抜いて作られているに違いない。
毎回、媒体も違うので、違う人と話しても同じ話題だったり、著書と重複する箇所も多々あるが、そんなことはどうでもよかった。対談は相手のいる場での話題だ。相手が違えば、話し方も違っている。会話しているときに生まれる思考や、発想も、発見もある。そして米原さんのユーモア、機転が、遺憾無く発揮される場でもある。
何より、今は亡き米原さんのそばで聞いているような気配がする時がある。
対談の本は、ステイ・ホームで閉じこもっているときに読むにはよいかもしれない。 -
色々と動き回っていた最中に書店に立寄り、目に留めて求めた。そういう形で出くわして非常に善かったと思う。
本書は米原万里が登場した、様々な相手との対談ということで、各種の雑誌や新聞に掲載されたモノを集めており、2008年に刊行されている。刷りを重ねた2021年の第8刷が書店に在った訳だ。
米原万理(1950-2006)はロシア語通訳者として活躍し、作家に転じており、テレビコメンテータとしての活躍も記憶に残る。色々と独特な人生を歩んでおり、様々な形で伝えられる御話しは面白い。そして“言葉”、或いは「言葉を介して異なる文化を結び付ける対話をプロデュース」というような事柄に携わり続けた経過の故に、非常に考えさせられる内容を伝え続けていたと思う。
多分、「言葉を介して異なる文化を結び付ける対話をプロデュース」というような事柄に関して、この国では余り顧慮されていない、或いは経験や思索が貧しく、顧慮する術も無い、更に顧慮すべきモノとして認識されていないのではないかと思う。そういう事柄は「言葉通じない!」で全てシャットアウトで、時々「おい!“通訳”!!何とかしろ!!!」で済むこととされ、“通訳”に必要な準備というような事柄が一顧だにされない。そういうことを時に思わないでもないので、この米原万理の発言等は、少し痛快だと思いながら触れていた記憶が在る。今般、改めてその名調子のようなモノに再会が叶ったことを少し喜んでいる。
極々個人的な事柄だが、何時だったか1990年代後半の或る時、米原万理を稚内に招いて講演会が催されたことが在り、会場に足を運んで拝聴した想い出が在る。そういうことの故に、本書に収録された米原万理の発言を読みながら、風貌や声音が思い出され、本書の中にのめり込んだというような感も在った。
本書には「言葉を育てる」という題が冠せられている。これは、偶々国外で“ソ連(ロシア)式”な、須らく「〇〇について述べよ」というやり方の教育に触れた後、“日本式”な「〇か×か」に触れて或る種の衝撃を受け、「繰り広げられている話しの“意味”を自分なりに捉えて纏め、それを別な人に自分の言葉で説く」というような営為の価値を噛締めていたというような事柄の故に出て来た表現だと思った。本書の広い範囲に、そういうような思いが滲んでいる。
本書の中では、この「言葉を育てる」という表現で括られるような内容が多いとは思うが、様々な分野で活躍している多士済々という対談相手が登場する。そうした中で「こういうことに疑問」とか、「何か悪いようになって行かないか?」というような話題が幾分見受けられる。それらを観て、「収録された対談が2000年代の初め頃のモノで、本は2008年」ということを忘れてしまいそうになった。「今でも“考えるべきこと”なのでは?」とか、「最近こそ、文中で言及されているような様子が?」というのが多々在ったのだ。
年末というような様子の中、偶々ながら、少し以前からの様々な問題意識を呼び覚ますことが叶うような一冊に出くわして善かった。加えて、やや以前のモノながら、今読んでも興味深く痛快でもある一冊は好い。広く御薦めしたい一冊だ。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764843 -
複数言語を操る人たちの言葉の豊かさと文章の構築力、会話とは思えぬ情報量に驚く対話集。
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文学
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20180928読了
2008年発行。対談相手は小森陽一、林真理子、児玉清、西木正明、神津十月、養老孟司、多田富雄、辻元清美、星野博美。田丸久美子、糸井重里。●P181 日本人は、みんな同じにすることが平等だと思い込んでますね。違うのに平等、対等っていうのが、本当の平等なのに。勉強嫌いな子も高校、大学へ行かせるみたいな。大切なのは、大卒も中卒も対等だってことのほうなのに。●P307 ソ連の作文教育 -
言葉は 生き物 である
相手がいてこその言葉のあれこれ
いゃあ 面白かった
田丸公美子さん
糸井重里さん
星野博美さん
との 対談が秀逸
それになによりも
巻末の黒岩幸子さんの
解説にかえての
「弔辞」が
すばらしい -
全編 田丸公美子さんの対談の方が、タイトルに沿った 楽しい本になったと思う
言葉の意味を伝える翻訳のプロでも、テーマに沿って 言葉を引き出すのは難しいのかなーと思った。対談相手によって、バラツキがある
出版社としては、有名人との対談を 入れた方が 売れるという判断だったのかなー
久々に、この書き方をしたら、ちょっと混乱してしまいました(^^;
ありが...
久々に、この書き方をしたら、ちょっと混乱してしまいました(^^;
ありがとうございます!!
そして、111108さんのお気持ちも分かるような気がしまして、本だけに特化した内容で語ってくれる111108さんに、却って、安心感を覚えたのも確かです。
ですから、答えたい事だけ答えて下されば、私はそれで構いませんので(^∇^)
自意識過剰の妄言におつきあいいただき、本当にありがと...
自意識過剰の妄言におつきあいいただき、本当にありがとうございます(^^)嬉しいです♪