言葉を育てる: 米原万里対談集 (ちくま文庫 よ 21-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424709

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  • いろいろなお話しを紙面傍聴できる対談集。紙面化された対談集で読むに堪えうるものに出会うことってあまり多くはないのだけれど、対談している人たちがそれなりのしっかりとした内容、聞き手を引き込むようなことを話していれば、読めるものなのだな、と。
    でも、さすがの米原様でも、対談相手によってうわっ滑りのことしか話せていないときと、ノリノリでお話ししていたはず、と想像できるものとがあるのは「一読瞭然」。

  • 米原万里の対談集。お相手は小森陽一、林真理子、児玉清、西木正明、神津十月、養老孟司、多田富雄、辻元清美、星野博美、田丸公美子、糸井重里。

    特に言語に興味のある自分にとっては田丸公美子との対談が面白かった。そして言葉の達人といえども、言葉だけじゃなく幅広く勉強している、つまり「教養人」であることは自分にとってよい刺激になった。自分も頑張らなければ。

  • 濃い米原さんが、さらに濃い面々と対談した対談集。
    糸井さんとの対談は特に面白かった。
    私も子供の頃は海外で暮らしていたから、カルチャーショックは少しわかる。夏休みが終わるとクラスの面々がリセットされるんだよね。

  • 知識を積み重ねるだけでなく、それをいかに使いこなすかをきちんと学ばれた、幸せな人だなと思う。文章のように練る暇なく、即興となる対談でこの充実感。考えても詮ないことだが、生きていらしたら、今の日本をどう語ってくれたろうかと思わずにいられない。

  • 購入して読み。

    社会主義・共産党の話が多かったなあ。
    ・私の妹は、小学校に入学して席を決めるとき「先生、うちは共産党だから左側にしてください」って言ったんですって(笑)(p39)

    ・ロシアでは才能は神様からもらったもので個人のものではないという考え方がある。才能を祝福する文化があり、劣等感があまりない(p88あたり)

    ・父親が無条件に自分を愛してくれている、と感じながら幼年期を過ごせたのは幸せでした。世界中が敵になっても父親だけは自分に味方してくれるという絶対的な確信があるからこそ、勇気を持って世の中に踏み出していけるし、冒険もできますものね(p127)

    ・だから、何かに関して、すごく習熟が遅い子とかいるじゃないですか。それは別に言葉に限らず、そういう子って、逆に完璧に身に付く可能性があるんですよね。(p294)

    同じ内容が重複して出てきたり。
    自分にとって面白いのは語学、文化に関するところ。
    林真理子、田丸久美子、糸井重里の話が面白かった。
    あとは黒岩幸子の「素顔の万里さん」も。米原万里の人柄がよく分かって好きになった。

  • 米原万里さんの対談集。読んでると各対談者の本やその時々で触れられている米原さんの本も全部読みたくなり、大変。成果がなかった外交の後の記者会見で、日本側の大臣が「裸の付き合いをした」と言おうとするエピソードは、何度も語られるが、通訳が、たんなる逐語訳ではなく、interpreterだという意味がよくわかる。コミュニケーションにとって背景や政治的な状況まで含めた文脈こそが命で、そこに通訳として透明人間であろうとする姿勢と、人としてコミュニケーションを媒介したいという気持ち(自分の意思)とのジレンマがある。
    また国語の勉強について、文章を能動的に読むことや、作文をする場合に、手本の読解と分析を経て、構造を決めてから書くというやり方はとても良いと思った。昔自分が高校のインターナショナルスクールでやらされていた時は、日本式の勉強にどっぷりハマった後だったので、構造から作文するというのは、よくわからず、七面倒くさいなという気持ちしかなかった。だがおそらく同級生達は、とっくに手本の分析を経て、このやり方に馴染んでいたのだろう。先に米原さんの本を読んで、考え方を理解していればと悔やまれた。

  • 私は 米原万里 ファンである。
    彼女の綴る言葉は 真綿に針が潜んでいるようで
    実におもしろい。

    対談相手は 小森陽一、林真理子、児玉清、西木正明、神津十月、養老孟司、多田富雄、辻本清美、星野博美、田丸公美子、糸井重里。
    それぞれの 個性をよく引き出している。
    『オンナは存在、オトコは現象』という多田富雄に突っ込むのが
    いいねぇ。
    それにしても 田丸公美子との雑談は 冴え渡る。

    とにかく、父親が好きで 尊敬している。
    チェコスロバキアのロシア学校で
    小学3年生から中学2年生まで 学んだことが
    米原万里の人格を形成したと言ってもいい。

    通訳をするには あくまでも 母国語に深く通じてなければならない。
    ソ連が 民族というものを じつに 深く理解し、
    実現に向かっていたのがスゴイ。
    中国がやっていることは 少数民族をなくしていくことだ。

    できないことも個性だという割り切り方が
    スゴイ。そして、日本の教育に対する切り込み方が、
    バラバラな知識を教えてどうする。
    学者は なぜそんなに難しく書くのか?
    などと、ズバリ言い切っちゃうのが いいねぇ。

  • 2008年9月30日、2刷、並、帯
    2014年11月17日、白子BF

  • ロシア語通訳の米原万里さんの対談集。言葉と翻訳に関する珠玉のメッセージが次から次へと。
    惰性や業務で翻訳管理している取説やカタログ担当者に読ませたい。

  • あとがきに米原万里の後輩が文章を寄せている。なぜそんなに早く逝ってしまったのですかと。そうなのだ。読めば読むほど、米原万里という人を知れば知るほど、生きていてほしかったと思うばかり。
    そしてその知識や語彙の豊富さには驚かされるばかり。潔く、たっぷりとした人柄にも。言葉を扱うものの一人として、また母親としてどう言葉を身につけていくのか、改めて勉強になった。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。作家。在プラハ・ソビエト学校で学ぶ。東京外国語大学卒、東京大学大学院露語露文学専攻修士課程修了。ロシア語会議通訳、ロシア語通訳協会会長として活躍。『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)ほか著書多数。2006年5月、逝去。

「2016年 『米原万里ベストエッセイII』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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