室生犀星集: 童子 (ちくま文庫 ふ 36-10 文豪怪談傑作選)

著者 :
制作 : 東 雅夫 
  • 筑摩書房
3.82
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本棚登録 : 150
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424877

感想・レビュー・書評

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  • 怪談を書いてるイメージがあんまり無かった。
    物悲しい物語が多め。最初の亡くなった子どもが会いに来るお話は、切なくなる。

  • 夏になったね。今年の夏は幻想怪奇系の積読を消化するよ。
    一冊目は10年近く積んでたこれを読みました。

    積んでた10年の間にわたしは子どもを産んで母になってしまったので、前半の「みずうみ」まではきつかった。積まずにすぐ読んでればぜんぜん感想違ったやろうけど、積んじゃったからね。

    後半はどれも面白かったよ。「幻影の都市」なんか読むと、当時の都会はやっぱり境界ぽくてええなあと思う。「あじゃり」は「青頭巾」のリメイクなのかな。モチーフとかでなく室生犀星版青頭巾て感じ。視点が増えてて分かりやすいし、はかなくてかなしい部分が強調されててよかった。

  • 2010-8-21

  • 「童話」「童子」「後の日の童子」「みずうみ」「蛾」「天狗」「ゆめの話」「不思議な国の話」「不思議な魚」「あじゃり」「三階の家」「香爐を盗む」「幻影の都市」「しゃりこうべ」を収録。

    読んでいると、人間の不安定であること、その心の移ろいやすいことが強く意識される。ふとしたことに左右されて思い悩んだり、それまでとは違った見方で物事を受け止めたりする、そういう人間臭さが鬱陶しくも親しみ深い。「うわあ……」と「あるある、仕方ない」の混じったいとしさ。文章自体にもそういう趣があったのか読みにくさを覚えることもあったけど、それも含めて味だったのかも。
    心が現実を侵して幻想を生む様も楽しめた。雨戸を締め切った中での父は、そこでようやく童子を思い出にできるんだろうか。もしそうなら、主を失う幻想の行方が気にかかる。

  • 怪談というよりは幻想文学。
    幽玄な世界を楽しんだ。
    やっぱいいな。

  • 怖い、恐ろしい、おぞましい……とは全く違う。「妖しい」。それが日本の怪談。

  • 子供を亡くした悲しさが伝わってくる。

    子供は死んだ。だが亡くなった子供が夫婦の元に帰ってきた。

    違います。
    絶望のあまり、あなた方が亡くなった子供を死から呼んだのです。
    どんなに生々しく見えても、あなたがた御夫婦が見ているのは、あなたがたの子供ではないです。

  • 「妖しき文豪怪談」
    是枝監督の「後の日」がとても良かったので、
    室生犀星に俄然興味が。
    引用される文章の美しさにもくらくら。

  • じっとりと冷たくて、ぐなぐなした怪談話、息苦しくなるような悲しみで満たされた幽霊譚。どの話も、薄暗い中に長く影をひいて、映像がぼんやりと浮かび上がってくる。大正時代に書かれたなんて信じられないような鮮やかさ。本読みには誰にでも、一度はページをめくってみて!と勧めたい。


  • ・童話
    ・童子
    ・後の日の童子
    ・みずうみ
    ・蛾
    ・天狗
    ・ゆめの話
    ・不思議な国の話
    ・不思議な魚
    ・あじゃり
    ・三階の家
    ・香爐を盗む
    ・幻影の都市
    ・しゃりこうべ

    の14話が集録されている。
    初めから最後まで幽暗な無気味さと透徹された哀しみが沸き起こっているような気分になる。
    個人的に、後の日の童子とみずうみと三階の家が好き。

    (2009.08.14)

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著者プロフィール

詩:詩人・小説家。本名、照道。金沢生まれ。北原白秋・萩原朔太郎らと交わり、抒情詩人として知られた。のち小説に転じ、野性的な人間追及と感覚的描写で一家を成す。「愛の詩集」「幼年時代」「あにいもうと」「杏つ子」など。


「2013年 『児童合唱とピアノのための 生きもののうた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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