神も仏もありませぬ

  • 筑摩書房 (2008年11月1日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784480424938

感想・レビュー・書評

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  • 「そして、私は不機嫌なまま六十五歳になった」という一文で終わっているこのエッセイ。72歳で亡くなられて15年ほどたつが、65歳の時に書かれたエッセイだ。今の僕と同い年。佐野さんはやたら老人になったことを強調されて書いているが、65歳って今の世の中ではとても中途半端な年齢のような気がする。自分では佐野さんのように「ああ、もうじゅうぶんだ」という気持ちもあるが、「まだお若いのに」と周囲から言われると、なにか焦ってしまう。まだなにかやらなくてはいけないのだろうかと。たしかに諸先輩方で現役バリバリに働いて頑張っている人がたくさんいるもんなぁ。僕には無理です(笑)

  •  
    ── 佐野 洋子《神も仏もありませぬ 20081110 ちくま文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4480424938
     
    ♪ ありもせぬ いくさ など請負うて 日本差し。(川柳)
     
    …… 近江とて瀬田とて来ればありもあらず。── 《梁塵秘抄 1179‥‥ 》
     
    …… ありもあらぬものを板本にしたりと見へて、大分に落たる処もあり。
    ── 山科 道安《槐記 Kaiki 1726‥‥ 享保11.1205》
     
    …… 東風吹かば 想ひおこせよ たそかれに ありやあらで 酒とバラの日々
    adlib/20040928 四句八句 ~ 与太郎戯詠集 ~
     
    (20240817)

  • ふむ

  • 面白かった。笑って元気が出た。アライさん夫婦が尊い。自然は美しい。

  • ちょっと今、しんどい思いをしているので、長編フィクションとか読む気分じゃなくて長年の積読本からふと手にとった本書、するする読めた。
    「いつ死んでもいい、でも今日でなくていい」こういう境地にいつか辿り着くことができるのだろうか。

  • なぜか分からないけど暖かくて泣きそうになる

    納谷、納谷とか特に

    同じような経験をしてきたわけでもないのに、佐野さんの死生観や故郷に対する気持ちには、ああ分かるなあと思ってしまう。不思議

    自分の足りなさを認め恥ずかしげもなく晒してしまう正直さが、悟りを開いた仙人的ななにかにも見えるし、ただの子供にも見える

    文章に現れる人柄まで好きになる

  • 最初のページからどっきりする。
    「あの失礼ですけどおいくつでいらっしゃいますか」
    「はい、六十三ですよ」
    答えた途端にまた
    「あの失礼ですけどおいくつ?」
    「六十三です」
    「あーあ―六十三、そうですか、あの失礼ですけどおいくつ?」

    八十八歳の母親との会話。
    我が家ももうすぐそうなるだろう。
    「いつ札幌に帰って来るの?」
    「もう札幌に住んでるよ」
    「もうずっと札幌?それはよかったね」
    何度も繰り返した会話。

    うんざりするかと思いきや、意外と優しくなれた自分にびっくりした。
    ボケるかもしれない不安でキリキリするよりも、もうよけいな不安を感じないでニコニコと暮らせるのなら、それはそれでいいのではないかと思った。
    日常生活に若干の不安はあるものの、ニコニコとちんまり座っている母を見て、負われた子が負う番だな、と。

    身近な人を亡くし、その喪失を嘆きつつ、それでも時には大笑いなどしながら日々が過ぎていく無常。
    年をとるというのは、こういうことか。

    タイトルは「神も仏もありませぬ」だけれど、あったってもちろんいい。
    神や仏があったって、結局人は死ぬのだ。
    でも、ご機嫌に日々を送れるのなら、神も仏も、あってもなくてもどっちでもいいな、と無宗教の私は思う。

    日々をご機嫌にというのは、いい思いばかりをしたいということではなく、あるがままを受け止めて、深く悩み苦しまないでいられたらという程度。
    そんなふうに今の自分は考えていると、心の中で著者と語らいながら読み終えた。

  • 著者の田舎暮らし あーだこーだの日常が、なんでもないようで、その実しっかり生きてて、頼もしい。エッセイは読みやすくて、今の状況には丁度いい。

  • 「100万回いきた猫の」の作者のエッセイ集。

    北京で生まれ、戦後に日本に戻ってきたバックグラウンド、そして群馬の山奥で暮らす様子を語った一冊。

    基本は笑えるという意味でとっても面白い。

    でも、時たまズシーーーンとくる言葉に出会うことができます。

    家畜についての洞察、エジソンやピカソの情熱について、沈黙に耐えられない人についての描写。

    浮世離れしたような生活だけど、スコーンと本質を貫くような歯切れの良い言い回しがとても心地よいです。

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家。ベストセラー『100万回生きたねこ』のほか『おじさんのかさ』、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)など多数の絵本をのこした。
主なエッセイ集に、『私はそうは思わない』、『ふつうがえらい』、『シズコさん』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『死ぬ気まんまん』などがある。
2010年11月逝去。

「2021年 『佐野洋子とっておき作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐野洋子の作品

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