芥川龍之介 (ちくま日本文学 2)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425027

感想・レビュー・書評

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  • 気になっていた作品だけ抜粋して読みました。
    全体的にさらっと読める作品が多かった分、自由に解釈できそうなので解説本を読みたくなります。以下簡単に感想を。

    『トロッコ』
    8才の少年だった頃の回想。土砂運搬用のトロッコに興味を持ち、晴れて乗れたもののその帰路に愕然とする。この立ち竦むというか絶句するような瞬間、昔あったなーとくすぐったい懐かしさを感じた。

    『鼻』
    上唇の上から顎の下まで下がった鼻を持つ内供(ないぐ)の苦悩。人は多少のコンプレックスがあったとしても、受け入れて堂々とする方が心身ともに良い。

    『地獄変』
    器量よし評判よしの愛娘を持つ絵師良秀に舞い込んだ大殿様からの依頼。恐ろしい光景なのに一文一文を食い入るように読んでしまう魅力がある。父娘は不幸だったのか、互いに本望だったのか。

    『藪の中』
    あるひとつの事件を様々な視点からの証言で解き明かす。各々の思惑が絡み合い、短い作品ながらぐいぐいと読ませるミステリアスな展開。真相は結局藪の中。

    『杜子春』
    金持ちになっては散財して一文無しに、を繰り返した杜子春は人の世に嫌気がさして仙人のもとへの弟子入りを決心する。芥川作品の中でも陽な内容だと思う。

    『或阿呆の一生』
    自殺する1ヶ月前に書き上げ、友人に送った短編小説。心のうちを吐露するような文章。随所に垣間見える生きにくさ。以下の会話文に妙な色気を感じた。
    「死にたがっていらっしゃるのですってね。」
    「ええ。ーーいえ、死にたがっているよりも生きることに飽きているのです。」

  • 芥川龍之介の多くの小説が収納されているが、有名な名の小説はやはり心に残る。トロッコ、鼻、芋粥、地獄変、杜子春、奉教人の死、魔術、河童の話しが個人的に良かった。中でも杜子春が一番である。

  • ちょっとした手紙を書くのにもPCで下書きをするくらい、カット&ペーストなしには文章が書けない。構成できない。恐らく、道具が紙とペンしかなかったであろう時代の文章を読みたくて、全集を1冊ずつ制覇中。文章に何とも言えない湿り気がある。作家が文机に向かってガリガリ書いたであろう体温や匂いが伝わってくる。収録作で一番は「枯野抄」。文章の流麗さに参りました。

  • 感想をメモ程度に。

    「トロッコ」  
    なんだろうこの徒労感。

    「蜜柑」
    少女の優しさと無垢さ、蜜柑の温かな暖色が鮮やかで、その瞬間が絵画のように美しく脳裏に浮かぶ。
    好き。

    「お時儀」
    駆け引きめいた独り相撲めいた、若気の至りめいたなにか。
    灰色は目立つのかな。

    「鼻」
    自意識と自尊心。
    それ自体よりも、それに劣等感を抱いている様が滑稽なんだ。
    気にしすぎは傍から見ていても不快なもの。

    「芋粥」
    乾いていることへの満足、満たされることへの恐怖。
    遠足は準備が一番楽しい。
    あるあるーって言いたくなる。

    「地獄変」
    良秀よりも大殿様の方がおぞましく感じた。
    なんて信用ならない語り手だと思いながら読んだけれど。

    「藪の中」  
    登場人物の語った物語はそれぞれ彼らにとっての「真実」である。
    それが「真実」であるから、お縄になった後自分の命がないものと思っても堂々としていられるし、清水で懺悔してしまうし、成仏できずに苦しんでしまうし。
    「真実はいつもひとつ」なんて嘘っぱちかもしれない。

    「杜子春」  
    こうして杜子春は、「人間らしい正直な生活」をする決意をしましたとさ。
    happy end  

    「奉教人の死」
    本当に清らかな人は何も言わずに死んでいく。
    凡人は勝手にバタバタするしかない。

    「開化の殺人」
    どうして「開化」なんだろう?
    決定的な行動をとることで、かえってその理由に気付き、後戻りできなくなってしまった。

    「魔術」  
    こうして私は、自分の中の「欲」を自覚しましたとさ。
    happy end  

    「ひょっとこ」
    平吉らしさはどこにあったのだろう。
    生きるのに面は必要だがそれで息苦しくなってしまうのは辛いなあ。

    「玄鶴山房」
    他人の不幸は蜜の味。
    結局甲野さんに限りなく近い気持ちで読んでいることに気が付いてしまった。

    「枯野抄」
    高校の教科書ぶりに読んだけど、やっぱいいなあ。
    師匠の死に際してもみな自分のことしか考えていない、死と遭遇して生が浮き彫りになる。

    「河童」
    河童のコミカルな描写が単純に面白い。
    深刻なことは突き詰めていくと滑稽であるというのは誰が言ったんだっけか。


    「或阿呆の一生」
    三人称と過去形。 

  • 上手く言葉にできないけれど心に渦巻く感情を、まさにぴったりな表現で言葉に織りなしてしまう凄さがもう……

  • どれもこれも、本当に面白い。取り分け地獄変、魔術、蜜柑がお気に入り。
    ただ、いずれも人の業を突きつけられている様で、読後ふと我に返ったとき、暗い穴の中を覗き込んだ様な心持ちがする。

    あと、鼻を顎に読み変えると、完全に「俺のことかーッ!?」状態になる。
    茹でても縮みませんので、悪しからず。

  • 「鼻」というのはやっぱりペニスのことだろうと思う。禅智内供が「湯屋」に通う僧侶たちの「鼻」を観察しながら、思わず自分の「鼻」を触って「年甲斐もなく顔を赤らめ」るところとか、茹でた「鼻」を若い坊主に足で踏まれて「気もちのいい」と感じちゃうところとか、同性愛の匂いがぷんぷんする。『河童』にも男色を嗜む河童が登場して「男色は超人的行為である」とのたまうところがあるし、どうも芥川はソノケがある文学だと思う。ドノンケの谷崎なんかと比べると、なおさらそう感じる。

  • 『手袋』収録。素晴らしく美しい詩。

  • 改めて読んでみると読みやすくて面白い。やっぱり読まされるよりも自発的に読んだ方がすらすら読めるんだな。「藪の中」「奉教人の死」「地獄変」「ひょっとこ」なんかが良。

  • サウンド文学館・パルナス「トロッコ 蜜柑」 朗読:米倉斉加年

著者プロフィール

小説家(1892-1927)。東京帝国大学文科大学英文学科卒業。創作に励むかたわら、大阪毎日新聞社入社。「鼻」「蜘蛛の糸」など数多くの短編小説の傑作を残した。1927年、服毒自殺。

「2019年 『羅生門・鼻・蜘蛛の糸 芥川龍之介短編集 Rashomon, The Nose, The Spider Thread and Other Stories』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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