ちくま日本文学002 芥川龍之介 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425027

作品紹介・あらすじ

短編小説の名手のとっておきの傑作集。

感想・レビュー・書評

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  • こういう文豪の短編集の中だと「ちくま」優秀です。選びがいい。ただ代表作である羅生門と蜘蛛の糸が収録されてません。私は教科書で読んだし家にあるのでなくていいんですが、この2作品を読みたい人は他の出版社のものや全集を薦めます。(逆に言えば羅生門と蜘蛛の糸は既読の人は買い!の一冊。私もそのパターン)

    芥川龍之介はスピード感があってテンポが速いので若い人向きだと言われています。高校生〜大学生にかけて読みましょう。
    他社のしゃれたカバーの文豪の本がもてはやされてますが、作品の選びでは「ちくま」が一番です。

    地獄変の芸術美を求めるがゆえの残酷や人間性を失う感じが印象的でした。古典の原作も読んでますが、やはり芥川さん天才です。(藪の中と地獄変のみ原作読みました)

  • 気になっていた作品だけ抜粋して読みました。
    全体的にさらっと読める作品が多かった分、自由に解釈できそうなので解説本を読みたくなります。以下簡単に感想を。

    『トロッコ』
    8才の少年だった頃の回想。土砂運搬用のトロッコに興味を持ち、晴れて乗れたもののその帰路に愕然とする。この立ち竦むというか絶句するような瞬間、昔あったなーとくすぐったい懐かしさを感じた。

    『鼻』
    上唇の上から顎の下まで下がった鼻を持つ内供(ないぐ)の苦悩。人は多少のコンプレックスがあったとしても、受け入れて堂々とする方が心身ともに良い。

    『地獄変』
    器量よし評判よしの愛娘を持つ絵師良秀に舞い込んだ大殿様からの依頼。恐ろしい光景なのに一文一文を食い入るように読んでしまう魅力がある。父娘は不幸だったのか、互いに本望だったのか。

    『藪の中』
    あるひとつの事件を様々な視点からの証言で解き明かす。各々の思惑が絡み合い、短い作品ながらぐいぐいと読ませるミステリアスな展開。真相は結局藪の中。

    『杜子春』
    金持ちになっては散財して一文無しに、を繰り返した杜子春は人の世に嫌気がさして仙人のもとへの弟子入りを決心する。芥川作品の中でも陽な内容だと思う。

    『或阿呆の一生』
    自殺する1ヶ月前に書き上げ、友人に送った短編小説。心のうちを吐露するような文章。随所に垣間見える生きにくさ。以下の会話文に妙な色気を感じた。
    「死にたがっていらっしゃるのですってね。」
    「ええ。ーーいえ、死にたがっているよりも生きることに飽きているのです。」

  • 芥川龍之介の話は読む度に印象が変わるのがおもしろい。
    著者自身の考え、教訓、解釈を押し付けずに出来事だけを語ってくるので、初めて読んだときには「え?これ何が言いたいの?」というものが多かった。
    芋粥でいえば、せっかくだから腹一杯食べればいいのにとも思うし、情けないとも思うし、突然に過剰な形で望みが叶ってしまうのは嬉しくないときもあるなとも思うし、夢は夢であるうちが幸せなのかとも思うし、五位を笑う側なのか同情する側なのか、利仁な悪意があったのかなかったのか等、どうとでも解釈ができて、そのときの自分の考えを無意識に投影してしまうところがおもしろい。

  • 芥川龍之介、杜子春とか羅生門とか芋粥とかを子供の頃に読んだくらいで、まとまった量をのんびり読んだのは初めて。とても良かった。大人になってから読み返す意味がある。

  • 情景が目に浮かぶ
    地獄変は衝撃だった。

  • その独特の比喩、
    言葉はどこからあふれてくるのだろうか。
    美しい情景が目に浮かぶ。

    短編ながらにして、人間の深いところへ疑問を投げかけるような話が多く感じた。あんまり昔の本は読んでこなかったけど、好きだった。

  • 難漢字には全てルビがふってあり、古語にはそのページの脇に注釈があり、読みやすいように工夫されている。日本の偉大な文豪、芥川龍之介。しかし、教科書でしか知らない作品も多い。なんともったいないことか!この短編に収められた作品の優れたストーリーテリング。
    グロテスクなものも、心温まるものも、読者の胸に届くよう思いを込めているのが伺える。
    インスタグラムで例えれば、どれにも“映え”があるエモーショナルな短編である。
    自ら命を断つまでの短い作家活動の間に、これだけの作品を残せたことが後の作家に多大な影響を与えていく。ブクログおすすめの一冊。

  • ちくま日本文学シリーズにはまる、脚注がすぐ横にあるのが好きよ。

  • 収録作の中では、「蜜柑」がダントツ。これ程美しい文章は、外の例が中々思い付かない。ラストシーンはまさに絵画の一幅のよう。何度読んでも、情景が鮮明に目に浮かぶ。美しいの一言。
    他には、「お辞儀」も空気感が好き。
    芥川龍之介はどちらかと言うと、短編で明るい話の方が好きだなぁ。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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