ちくま日本文学012 中島敦 (ちくま文庫)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425126

感想・レビュー・書評

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  • 『南洋と私』を読みかけたらすぐ『巡査の居る風景』が出てきたので、慌ててこちらから未読のものを拾い読み。植民地下の街と青年巡査の心理状態を見事に描く話をわずか20歳で書いたとは‥。今の世の生きづらさにも通じる『かめれおん日記』も沁みる。中島敦大好きだ。池澤夏樹さんの解説も良い。

  • Kindleで掲載された多くの部分が重なっているが、「木乃伊」を読みたくて本書を図書館で借りた。

    ペルシャ軍の少将がエジプト人捕虜の言葉がなぜか分かるようになって、不思議がる。全く接点のないエジプトの言葉がわかるのはなぜか?

    マトリョーシカ?合わせ鏡?みたいな話。

    本当にこんな事態になったら同じように気が狂うかもしれない。

  • 中島敦氏の”名人伝”が逸品。

  • 教科書に載ってる「山月記」は有名だけど、そういえば他の作品はあんまり読んでないかも、とトヨザキ社長&岡崎氏の『百年の誤読』で気がつき、とりあえず文庫で手頃な一冊を購入してみました。
    「名人伝」「山月記」「李陵」「弟子」「盈虚」「牛人」など、中国の古典に題をとった、最も世に知られている作品群のほかに、「狐憑」「木乃伊」「文字禍」と、より広く古代東洋に題をとった作品、「幸福」「夫婦」「雛」「マリヤン」「巡査の居る風景」など、日本の支配下にあったパラオ島や朝鮮を舞台にしたもの、世にうまく馴染めない青年としての中島自身の煩悶が色濃く投影された悟浄ものや「かめれおん日記」、さらに詩歌もくわえ、中島敦の作品世界の全体像をつかむのに手頃な一冊だと思います。
    東西の古典に通暁していたことを実感させる、極めて洗練された文章の美しさは論じ尽くされた感があるけど、この作品集で初めて気付かされたのは、彼自身の生きた時代をはるかに超えていくような視点は、古代だけに向けられていたのではなかったのだということです。
    パラオ島に赴任していた時の体験に題をとった「雛」や「マリヤン」は、審美的エキゾチシズムでも、あくまで日本や日本人を批判するための道具立てとしてもなく、日本の植民地行政の末端官僚としての自身と、その支配下にありながら別の尺度を生きている島人たちとの交流のなかに生じる微妙な摩擦を描き出しています。
    より暴力的なかたちで植民地支配が噴出する朝鮮を舞台とした「巡査の居る風景」では、朝鮮人の青年につきまとう漠とした恐れと、日本人の紳士から丁寧な扱いを受けて喜んでしまう心理を描き、なんと、関東大震災における朝鮮人虐殺さえ示唆している。いわゆるプロレタリア作家ではなかった中島敦がこれほど植民地主義に敏感な視点を獲得していたのは、自身が日本社会の中で溶け込めないという意識をもっていたせいだったのでしょうか・・・
    身体が弱かっただけでなく、これほど敏感で繊細な心をもっていた中島が当時の日本で生きていくのは大変だったのだろうなと、「かめれおん日記」や「悟浄」の連作を読むとつくづく思います。せめてあと数年生き延びて終戦後まで創作活動を続けていたらどんな作品を残しただろう。最後に収録された動物たちを詠んだ短歌からユーモラスな一面もうかがえるところもいいです。

  • 時代柄出てくる言葉は難しいけど、文体はそうでもなく、むしろ分かりやすい。人に宛てて書いている感じがする。著者は学校の先生だったからかな。
    お気に入りは「マリヤン」。南の島の快活で聡明な女性がステキで、一緒にいたら元気をもらえそう。
    「和歌でない歌」を読んで、この人の読書っぷりが凄まじいなと思った。本棚を見てみたい。
    解説の池澤さん、めちゃくちゃ中島敦好きだな、と思わせる解説でした。ここ読んで私も中島敦より好きになった。

  • 全く古さを感じさせない作品集。
    読みながら、自分の中の何かにも問いかける如き…
    池沢さんの後書きも趣き深し。

  • 中島敦、全部で19の短編小説集。
    まず表紙が良いですね♪
    ちくま日本文学シリーズはそれぞれ、表紙も作品のセレクトも良くて、持ち運びしやすいのもあってファンです。
    どの作品も甲乙付け難く素晴らしい。
    書いている作者自身、なるべく自分というものを作品の中の登場人物に投影しないでおこうと思いつつ、でも中島敦がダダ漏れなところが魅力。
    それぞれの作品中の主人公の悲しさ、思慮深さ、優しさ、真面目さ、寂しさ、どれを取っても中島敦、その人に感じられて。
    でもなかなかシャレというかブラックユーモアが感じられる作品もあってそこも好き。
    あとがきで池澤夏樹さんが、作品のひとつ、文字禍  なんかはボルヘスが書いたと言われても納得してしまうかも、と書いていた。
    確かにー!この感じなんよな.ボルヘスっぽい!
    和歌でない歌なんかは遊び心もあるし、河馬は中島敦ならではの動物観察眼がめちゃくちゃ楽しい。
    いやぁ良い本だこれは。

  • 知人に「悟浄出世」を勧められて読み始めた本。
    悟浄の何に対しても何故と問う姿勢が私と似ていた。考えることも大切だが、考えすぎることも身体に毒というか、なるようになるという思考で何事も全力で生きることも大切なんだということを教えてもらった。ので、どちらかというと「悟浄歎異」が刺さった。
    「弟子」みたいな真っ直ぐな生き方、「李陵」のように迷いながら適応していく生き方、どちらも正解であってそれぞれの生き様。悟浄のように考えながらも悟空のように全力で生きる、これからはそういうふうに生きたい。それが難しいから生きるって大変。

  • 高校のときに読んだ山月記が刺さって中島敦はだいたい読みました。

  • 「山月記」は主人公の嘆きが、大人になった今なら、より一層わかるような気がする。
    自分の中の人間の心が、すっかり消えてしまった方が、虎の自分の幸せになるだろうなと思うところが……特に……。

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著者プロフィール

東京都生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。そして、5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月入院。12月に逝去。

「2021年 『かめれおん日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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