中島敦 (ちくま日本文学 12)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 354
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425126

感想・レビュー・書評

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  • 円城塔のあの本から、元ネタ?の「文字禍」を読んでみたく手に取りました。

    文字禍
    「山月記」等のイメージで古代中国ものだと思い込んでいた。アッシリアの図書館の話だったとは。
    アッシュールバニパル王の時代、帝国は文字の精霊たちに蝕まれていた。人々は病気がちになり、体は弱り、精神の働きさえ鈍くなる。このことに気づいた博士は王に事態の危険さを伝えるが…
    死神を騙すため医師が変装したエピソードの、「何事にも辻褄を合わせたがることの中には、何かしらおかしな所がある」という所が印象深かった。合理的思考は神秘主義とは相反するものと言えるのかもしれません。

    狐憑
    小説がなかった頃の、太古の昔の気の毒な詩人の話。

    木乃伊
    連綿と繋がる前世の中で、今ここにいるはずの自己が崩壊する。

  • 教科書に載ってる「山月記」は有名だけど、そういえば他の作品はあんまり読んでないかも、とトヨザキ社長&岡崎氏の『百年の誤読』で気がつき、とりあえず文庫で手頃な一冊を購入してみました。
    「名人伝」「山月記」「李陵」「弟子」「盈虚」「牛人」など、中国の古典に題をとった、最も世に知られている作品群のほかに、「狐憑」「木乃伊」「文字禍」と、より広く古代東洋に題をとった作品、「幸福」「夫婦」「雛」「マリヤン」「巡査の居る風景」など、日本の支配下にあったパラオ島や朝鮮を舞台にしたもの、世にうまく馴染めない青年としての中島自身の煩悶が色濃く投影された悟浄ものや「かめれおん日記」、さらに詩歌もくわえ、中島敦の作品世界の全体像をつかむのに手頃な一冊だと思います。
    東西の古典に通暁していたことを実感させる、極めて洗練された文章の美しさは論じ尽くされた感があるけど、この作品集で初めて気付かされたのは、彼自身の生きた時代をはるかに超えていくような視点は、古代だけに向けられていたのではなかったのだということです。
    パラオ島に赴任していた時の体験に題をとった「雛」や「マリヤン」は、審美的エキゾチシズムでも、あくまで日本や日本人を批判するための道具立てとしてもなく、日本の植民地行政の末端官僚としての自身と、その支配下にありながら別の尺度を生きている島人たちとの交流のなかに生じる微妙な摩擦を描き出しています。
    より暴力的なかたちで植民地支配が噴出する朝鮮を舞台とした「巡査の居る風景」では、朝鮮人の青年につきまとう漠とした恐れと、日本人の紳士から丁寧な扱いを受けて喜んでしまう心理を描き、なんと、関東大震災における朝鮮人虐殺さえ示唆している。いわゆるプロレタリア作家ではなかった中島敦がこれほど植民地主義に敏感な視点を獲得していたのは、自身が日本社会の中で溶け込めないという意識をもっていたせいだったのでしょうか・・・
    身体が弱かっただけでなく、これほど敏感で繊細な心をもっていた中島が当時の日本で生きていくのは大変だったのだろうなと、「かめれおん日記」や「悟浄」の連作を読むとつくづく思います。せめてあと数年生き延びて終戦後まで創作活動を続けていたらどんな作品を残しただろう。最後に収録された動物たちを詠んだ短歌からユーモラスな一面もうかがえるところもいいです。

  • この語彙と知識量はすごいな‥‥史記も恐らく白文で全部読んだんだろうなこの人。ちょっと傑出しすぎている。悟浄出世、悟浄歎異よかったので、わが西遊記読んでみようと思いました。パラオの手記が読みたかったんだけど載ってなかったので残念。いつか全集読もう。

  • オール中島敦。

    昔の中国を舞台にしたものから古代オリエント、パラオ、西遊記etc.とさまざまな話がある。このように色々な設定で物語を作れるというのは作者の知識の豊富さを表しているのだと思う。山月記しか知らなかったが、この本で色々な著作を読めてよかった。読み出すと止まらなくなる。

  • 中島敦の作品集。物語もいいけど、最後の歌も良い。言っても仕方ないけど、もっと長生きして、色々書いてほしかった。

  • 新潮(218ページ)・角川(256ページ)・岩波(421ページ)からも文庫版が出ているが筑摩(480ページ)以外の選択肢はない。なぜなら「文字禍」が収められているからだ。
    https://sessendo.blogspot.jp/2017/10/blog-post_16.html

  • 「文字禍」が特に好きです♡

  • この編集がいい

  • 2016年3月新着

  • 国語の教科書に載っていて授業を受けた「山月記」が忘れられなくて。

    中島さんの書かれる文体が好きなのか、もりもり貪るように読みました。読んだ後は満足感が半端なかったです。

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著者プロフィール

中島敦

一九〇九年(明治四二)、東京・四谷に生まれる。三〇年、東京大学国文学科入学。三三年に卒業し、横浜高等女学校に国語科教師として就職。職の傍ら執筆活動に取り組み、「中央公論」の公募に応じた『虎狩』(一九三四)で作家としての地位を確立。四一年七月、パラオ南洋庁国語編修書記として赴任。持病の喘息と闘いつつ『山月記』『文字禍』『光と風と夢』等の傑作を書き上げる。四二年(昭和十七)、職を辞して作家生活に入ろうとしたが、喘息が重篤となり、同年十二月に夭折。

「2019年 『南洋通信 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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