寺田寅彦 (ちくま日本文学 34)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 83
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425645

感想・レビュー・書評

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  • おもしろかったなあ。
    物理学者ってこんな風に世界を見てるんだ(まあ全員が全員ではないだろうけれど)。
    文系の自分としてはそれだけでも新鮮。

    「電車の混雑について」
    日常でなんとなく感覚的にはそう感じていることを、計算式を使って合理的に計算し、その計算が合っているかどうかをわざわざ確認しに行くといういかにも科学者然とした態度が面白い。文系人間は推論はしても計算式は立てないと思う。

    「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
    AIの発達した現在なら、ここに書いてあることをより洗練された方法で、より精密かつ具体的に行うことが可能ではないだろうか。

    「天災と国防」
    書かれたのが昭和9年だから、国防の観点は置いておくとしても、天災について書かれたことは東日本大震災を経た現在でも十分に通用する。逆にいうと、人間ってなかなか成長しないんだなあ。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA89683982

  • 団栗。肺病の妻と植物園に行った。その時、妻が喜んだのが団栗拾いだった。その妻は今はもういない。子供とその植物園へ行くと、妻に似て、子供は喜んで団栗を拾った。。。俳句の精神。古来の日本人が自然に対する特殊な見方。日本人の自然観は西洋人のそれとちがう。日本人は自然を自分のからだの一部として情緒的に捉える。西洋人は自然と人間を切り離して科学的に考える。
    風流。さび。日常激務に忙殺される現代人が週末の休みに山に登る心の自由は風流。さび。俳句の修行は自然に対する観察力の練磨を要求する。俳句をはじめるまでは気づかずにいた自然界の美しさがいったん俳句に入門するとまるで暗闇から飛び出したかのように眼前に展開される。しかしそれだけでは句は出来ない。次にはその眼前の風景の中からその焦点となり象徴となるべきものを選択し抽出することが必要。外側に向けた眼だけではダメで、自己と外界との関係を内省する必要がある。批判と認識の能力。俳句は不要なものを切り捨て切り詰めること。

  • テーマに沿って、モノローグみたいに思考がバラバラ語られて大変に面白い。日常の些事から大いなる哲学の展開。特に「自画像」面白かったー。

  • 当時のこの人の先見の明にはただただ脱帽するばかり。
    枠にはまってしまわず、しっかり様々なことを自分の目で確かめ、そしてどんなに小さなこと、身近なことでも考えることの大切を再認識させられた気がする。

  • 物理学者で文学者(?)でもあり、脳がいつでも高速回転していそうな方だったのだなーと思いました。理系とか文系とかいうくくりって何なの?と。理科的な(?)観察を文学的(?)な文章で表現されていて(自分の語彙が少なく変な文ですみません…)、難しい現象が私にもよくわかりました。自分の幼い頃の記憶を書かれているところも、情景が目に浮かんでくるようでした。

  • 物理学だけに留まらない視野の広さと、どこかとぼけた雰囲気。こんなものまで論じているのか、とびっくりする。後半の評論が特に面白かった。

  • この人も結構変わった人なのかなーというのが薄ら窺えるエッセイ。

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著者プロフィール

1878~1935年。東京生まれ、高知県で育つ。東京帝国大学物理学科卒業。理学博士。東京帝国大学教授、帝国学士院会員などを歴任。東京帝国大学地震研究所、理化学研究所の研究員としても活躍。物理学者、随筆家、俳人。著書に『蒸発皿』『万華鏡』『柿の種』『蛍光板』などがある。

「2020年 『科学と文学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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