反社会学講座 (続) (ちくま文庫 ま 33-2)

  • 筑摩書房
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480425874

感想・レビュー・書評

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  •  前作「反社会学講座」が面白かったので、こちらも興味津々で読み始めた。
     やっぱり、この人の本って面白い。世の中でもてはやされていることをそのまま鵜呑みにするのがどれほど滑稽なことかがわかる。物事の裏を考えなくてはならないんだよな……
     講義形式の回は楽しんで読んだ。コント形式のところは、それに比べるとイマイチタイプじゃない。

  • タイトルのとおり「反社会学講座」の続編。
    うーん。読みなれたのか、だいぶ言っていることがマトモに近くなっちゃったかも。
    そうだよね~という話が多い。
    といいつつも、後半の勲章と年金の話、
    こども嫌いの理想と現実、長屋武士道あたりは面白かった。
    最近、明治ものを多く読んでいたからこそ理解できた話も多い。(2010.8.7)

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/764696

  •  パオロ・マッツァリーノ著『続・反社会学講座』(ちくま文庫/819円)読了。
     2005年に刊行された『反社会学の不埒な研究報告』を、改題・加筆して文庫化したもの。

     もともと『反社会学講座』の続編とした書かれたものであったが、単行本は正編と版元が異なるため、違いを強調すべくあえて続編扱いしなかったのだそうだ。文庫化にあたってやっと正式に続編と銘打たれたわけである。
     私は正編をたいへん面白く読んだが、この続編は元の単行本を読んでいなかったので、文庫化を機にゲット。

     正編同様、インチキ・イタリア人の著者(その正体は某大学の准教授らしい。ググると名前が出てくる。まあ、詮索は野暮というものだが)による、社会学の手法や論理をイジワルな形で援用した知的エンタテインメントである。

     さまざまな事象・データをアイロニーの刃でなで斬りにして痛快。むしろ正編よりボルテージがアップしている印象だ。
     思わずニヤリとするツッコミ芸の連打。たとえば――。

    《人口減がGDPを減らし不景気を招くというのなら、逆もまた真なり、人口が増えるだけで自動的に経済は成長することになります。NHKの『プロジェクトX』は、戦後日本の経済成長は企業戦士が頑張ったおかげであったかのように錯覚させ、年配者に随喜の涙をこぼさせましたが、経済成長は単に総人口が増えていたからだったとなれば、「あの感動はなんだったんだ」と、さらに受信料不払いが増えるおそれがあります。》

     私がいちばん面白く読んだのは、「新作落語『長屋武士道』」と題された章。こんなタイトルだが、落語仕立てなのは一部で、基本はいつもの「反社会学講座」である。
     この章は、新渡戸稲造の『武士道』や山本常朝の『葉隠』、『忠臣蔵』などを俎上に載せ、武士道について一般日本人が抱いている先入観をデータや史料から突き崩していくもの。学術論文にもなり得る内容を、軽やかなエンタテインメント仕立てにする著者の力量に脱帽した。

     文庫化にあたって各章の最後に加筆されたコラム「四年目の補講」も、それ自体独立した価値をもつ充実した内容だ。

     なお、最後に収められた「コント『あなたもビジネス書が書ける』」は、「反社会学講座」をネットで始める前に書かれたものだそうで、ここだけがほかの章とは異質。
     コントというより、清水義範のパスティーシュ小説に近い印象を受けた。わりと面白かったけど、この本に入れる必要はなかった気がする。思いっきり浮いている。

  • 反社会学講座の続編である今作品は前作同様大学の講義等では扱われない内容を皮肉たっぷり込めて記載、筆者独特の言い回しが読者を楽しませる本となっている。今作もこれが日常の役に立つかどうかって言われたら「うーん」っていう内容ではあるんだけれども、「ふーん」って思わされるような感じではあった。個人的にはプレゼントと賞の違いが印象に残っている。プレゼントは「受け取って下さい。」に対し、賞は「賞やるよ。嬉しいだろ。」という違い、この対比は今まで考えたことが無かったので個人的には新しい見方を与えられた気がした。ではどうしてこのような違いが生まれたかと言うと賞は基本的にはこの国のお偉いさんとかが与えるものであって、基本的には「私はこんな賞をあなたに与えてるんですよ。優しいでしょ。」っていうアピールに過ぎないものらしく、言われてみれば確かにという感じです。

    後、今作品に関しては皮肉たっぷりの言い回しに加えて、コントや落語、小説めいたものも散りばめられていた。それはそれで読者を飽きさせない構成にはなっていたのかもしれないけれど、個人的には回りくどい印象になってしまった。

  • 前作『反社会学講座』(ちくま文庫)同様、世にはびこる無責任な俗説を笑いのめしています。

    ビジネス書や自己啓発本のいい加減さに対して茶々を入れた「コント『あなたにもビジネス書が書ける』」もおもしろく読みました。

    冷静になってみるとそれほど過激な内容というほどでもなく、ほどよい懐疑精神が発揮されているむしろ健全な本なのですが、やはり見せ方が秀逸で読ませる内容になっています。

  • ネット系社会学の2作目。基本はイチビリなので、肩肘をはらずに軽く読めるビジネス書(?)。

    流石に世の中にも、2作目まで読む人はあまりいないようで、レビューも少ない。内容的には、ややマンネリな部分(○○という語句がどれだけあるか調べた系)もあるものの、歴史ネタ、小ネタ、時事ネタ、毒に加えて、落語風、小説風という新たなスタイルで攻めてくるので、1作目よりも楽しかったかも。

    1作目はセンセーショナルな話題に固執しているとこがあったので。

    本書の冒頭は、相変わらずの社会学と統計ネタですが、その後は経済に大学院など、ちょっと変わったところを攻めてきます。経済のあたりはやや切れ味は鈍く、大学院のところはやけにノリノリなのは、専門がそういうところにあるのかもしれません。

    また、歴史について、特に武士道については、ひじょうに多くの文献を参照していて感心せざるを得ない内容。

    あいも変わらず、高校生か大学入りたてくらいの学生が、無批判でかぶれると危険な内容ですが、1作目を買うのなら、ぜひ合わせて買っておきたい1冊だ。

  • 前作よりノリノリ落語みたい、自信みなぎる視点で面白さ倍増。人と社会はしっちゃかめっちゃか、そこに社会学あり。
    とはいえ子供の件は内心衝撃!その時代の人間形成って自己肯定感なさそう。人生は諦め?むしろ生きにくいのは今?人々の精神性を知るのにアートの世界を紐解いて時代を見るのも面白いかも。でも恋愛はいつの世も恋愛?てことは源氏物語の姫君と女子トーク盛り上がっちゃう?なんて考え出すと止まらないから社会学は面白いっと。

  • 購入してから、数年経ちますが、今も時々読み返している本です。

  • 続編も、ひとひねりした視点を提示してくれる。/以下備忘録的に。投票に行っている!というアンケートの行っている率が高めに出るのは、見栄の要素が大きい。「人間の行動のかなりの部分が、見栄をはろうとする衝動に左右されているといっても過言ではありません」/「自信をもってくよくよしよう」/孔子が口を酸っぱくして親孝行しろといい続けなければならなかったことこそが、いかに昔の人たちが親をないがしろにしていたかという証拠でもあります。/生涯に渡って賞を拒絶した山本周五郎なのに、その死後「山本周五郎賞」が作られた。故人の意志に反することは確実なのに/直木賞は、青島幸男の人生万事塞翁が馬までは、ベストセラーとは無縁だった/理想とするこどもの数と現実に産むこどもの数が一致した時代は、人類の歴史上一度たりともありません/合理的というのはそれを考えたり実行したりしてる本人だけが納得している状態をいいます。相手のことなど知ったこっちゃないんです。/新作コントと新作落語は読むのを割愛。

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著者プロフィール

パオロ・マッツァリーノ(Paolo Mazzarino):日本文化史研究家。著書に『反社会学講座』『続・反社会学講座』『誰も調べなかった日本文化史』(以上、ちくま文庫)、『読むワイドショー』(ちくま新書)、『「昔はよかった」病』(新潮新書)、『サラリーマン生態100年史』(角川新書)、『思考の憑きもの』(二見書房)などがある。

「2023年 『つっこみ力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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