ライフワークの思想 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 494
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480426239

感想・レビュー・書評

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  • 外山滋比古のエッセィ集。外山先生の著書は「思考の整理学」など日常生活の出来事を鮮やかに切って見せる独創的な中味で随分多くの人に読まれてきました。この文庫本も最近出版されたばかりですが、書き下ろしではなく、元は30年余りも前に書かれた内容に削除や加筆して出版したというからその色褪せない新鮮さに驚くばかり。
    30年も前に出された本(特にエッセィ集など)は大抵の場合絶版となっているのが常です。
    本のテーマとなっているライフワークの花という章はところどころにポストイットを張り付けていくほど、重要な語句がちりばめられています。
    曰くライフワークは文字通り生涯の仕事であって晩年になって初めて結実する。切り花ではいけない根のついた花である。自由時間とは週休2日の時間のことよりも定年後のいつまでも暮れない薄暮のような時間のこと。・・・いままでは、充電したバッテリーを使い切るまで突っ走るという形で仕事をしてきた。しかし、これからの社会では、絶えずバッテリーに充電するか、他日に備えてスペアを持っていないと危険である。・・・それは単に保険の意味ではない。自分の生きがいとして、人生の豊かさにつながるところで、能力の備蓄、可能性のゆとりを持つことである等など。 
    外山先生はいつも思うのですが、比喩がとても巧みです。人生を酒作りやマラソンや囲碁に例えて話すなど随所に見られます。発見する、新しいものを考える源泉には比喩、類推というような広義の比喩作用がとても大切だということをおっしゃっています。そして、知識を入れるだけでなく、むしろ活発に忘れることも大切と強調している。忘れることで心はいつも新しいものを迎えるゆとりを持つことができるという。この考え方、都合良く解釈し、忘れっぽい私などには大いに味方しているようで嬉しいものです。
    それにしても、1923年生まれということは・・先生おいくつですか~!?(多分この事実が一番びっくりです)
    是非とも気軽に皆さんに読んでいただきたいお勧めの本です。

  • 刊行は1978年と古いが、著者の考え方は現在にも通ずる所がある。現在我々はgoogleなどの「検索」を駆使して、いわば切花のおいしい部分だけを他人の力を利用して簡単に知ったつもりになっているが、球根的な自分で考え出したアイデアではない。これは愚かなことかもしれない。根がなければ花は咲かないというのだ。

  • 「ライフワークの思想」5

    著者 外山滋比古
    出版 ちくま文庫

    p62より引用
    “この世にまったく新しいものは決してなく、
    どんなに新しいものでも、何らかの意味で、
    これまでのものとかならず何らかの関係をもっている。”

    英文学者である著者による、
    生き方や言葉に関する事柄を取り上げ、
    著者独自の視点で分析・解説した一冊。
    創造の為には忘却によって調和をとる等、
    少し驚きを覚えるような考え方が目白押しです。

    上記の引用は、
    発見についての章の中の一文。
    どんなに風変わりで奇妙な物や作品であっても、
    材料がまずなければ出来上がらないと言う事でしょうか。
    この本にある通り、
    ライフワークを花咲かせる為にも、
    今はひたすら材料をたくさん仕込んでおこうと思います。
    多くの材料を用意し時々忘れ、
    いつかこれが自分のライフワークだと、
    家族達に胸をはれる物を作り上げたい物です。
    考え方の方法のひとつとして。

    ーーーーー

  • いい本です。
    簡明な言葉で鋭く「常識」に切り込んでいますよ。
    生き急ぐようないままでの時間の使い方を見直したい方には最適でしょう。
    自分人生の評価者は誰でもない「自分」なんです。

著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2019年 『やわらかく、考える。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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