江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫 や 38-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 202
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480426567

作品紹介・あらすじ

描かれているのは、昭和の年号とともに生きてきたサラリーマンのごく普通の日常に過ぎない。しかし、エッセイとも日記とも思えるスタイルと軽妙洒脱な文章を通して、それが大変な出来事の積み重ねであることが分かってくる。卓抜な人物描写と世態風俗の鋭い観察によって、昭和一桁世代の哀歓と悲喜劇を鮮やかに描き、高度経済成長期前後の一時代をくっきりと刻む。

感想・レビュー・書評

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  • 1962年の直木賞受賞作品。戦後復興期の「サラリーマン」社会、風物資料として読んでも面白い。

  • 2018年12月24日、読み始め。
    以前から読みたかった本。多分、40年前の高校生時代から。ようやく、手にした。

    2019年1月5日、155頁まで読んだ。

  • 小説ともエッセイともつかない本。
    大正15年生まれの江分利満氏は30代半ば、東西電機に勤めるサラリーマン。
    高度成長期の東京のサラリーマンの日常を、江分利満氏の視点で綴っています。
    軽妙な文章が読みやすく、江分利満氏のちょっとダメな感じも親しみやすく、気軽な読み物かと思いきや、ご両親のこと、貧乏な暮らし、戦争の記憶…。
    江分利満氏が背負っているものはあまりに大きい。それはきっと、戦争をくぐり抜けて戦後を生きてきた人々はみんな背負ってきたものなんだと思います。
    徴兵制などと議論される昨今、この本に収録されている『昭和と日本人』だけでも、多くのひとに読んでもらいたい。

  • 記録

  • 私には、山口瞳は作家というより、エッセイストという印象が強い。
    週刊新潮に長期にわたって連載した「男性自身」のせいである。この人の代表作は「男性自身」ではないかと思う。他の作品は読んだことはないけれども。

    「江分利満氏の優雅な生活」は作者がサントリーに勤めながら描いた作品で、直木賞を受賞したことは知っていたが、読むのは初めて。

    「江分利満」というのが、エブリマンから来ているのも知らなかった。エブンリ・ミツルと読むのだと思っていた。

    内容は、高度経済成長期のサラリーマンを描いた短編集。
    貧しいながらも働けば右肩上がりの時代、モーレツ社員がいっぱいいた時代の、笑いと哀感あふれる作品集。

    今の時代、読んでもあまりピンとこない。
    多くの人にとっても、たぶんそうではないかと思う。

  • 著者:山口瞳(1926-1995、港区、作家)
    カット:柳原良平(1931-2015、東京都、イラストレーター)
    解説:秋山駿(1930-2013、東京都、文芸評論家)、小玉武(1938-、東京、編集者)

  • 笑っちゃうようなタイトルとは裏腹に、俗的で物悲しい、それは近代日本が辿った歴史そのものにも思えた。戦争の無い世界で裕福な生活を送りたい。でも裕福になれたのは戦争特需のおかげ。当然戦争が終われば超貧乏。でも江分利氏の人生はなぜか優雅。

  • 2015年2月2日読了。戦後の日本を生きる、どこにでもいそうな小市民「江分利満」の日常を淡々と描いた直木賞受賞作。「エッセイとも日記ともつかない」というこのスタイルは発表当時も大いに話題になったようだが、滑稽で飄々として少し悲しいこの味わいは今読んでもとても面白かった。これが我々の父親や母親たちが生きた日本だったのだろうか、戦後うやむやのうちに経済だけ発展して変わっていく日本の姿は、バブル後の現代日本とも似ている気がする…歴史は繰り返すのか。「何でもないようなことが 幸せだったと思う」ということか。

  • エッセイなんだか小説なんだかわからない。いっぺんに新入社員を取らなきゃいけないのはわかるけどオーディオ機器なんてそのうちみんなに普及してその跡がこわいとかいう的確な評論が社宅住まいの味わいみたいななかに切れ込んで来たり、戦後や母の死が出てきたり。ポップな小説。深刻ぶった現代のやつらはちゃんと読むべきだなと思うな。

  •  初山口瞳作品。50年前に書かれたとは思えない読みやすさです。高度経済成長期のサラリーマンに生まれたかったです。でもそうすると戦中生まれになってしまうので、よし悪し。しかし残業250時間って、東西電機は現代なら立派なブラック企業ですね。

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著者プロフィール

1926年東京生まれ。小説家、随筆家。『江分利満氏の優雅な生活』で直木賞受賞。おもな著作に31年間連載したコラムをまとめた「男性自身」シリーズ、『血族』『居酒屋兆治』など。1995年没。

「2014年 『ぐつぐつ、お鍋 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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