お寺の経済学 (ちくま文庫 な 37-2)

著者 :
  • 筑摩書房
3.52
  • (2)
  • (9)
  • (8)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 122
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480426772

作品紹介・あらすじ

日本全国にあるお寺の数は約7万6000。これはコンビニの4万店を大きく上回る。その「お寺」の世界を経済学的に分析することで見えてくる檀家制度・葬式・戒名・本山と末寺の関係などの本質とは?そして、経済学と仏教という人間の知恵を共存させるためにするべきことは、いったい何か?「法衣・仏壇ビジネス」の仕組みについて分析した「補章」も収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • へぇ~。お寺でのの「お金」について
    わかりやすく述べられています。

  • お寺についてあまり知らない人もぜひ。

  • 2010年(底本2005年)刊。
    著者は慶応義塾大学商学部教授。

     表題に「経済学」とあるが、お寺事業の社会的・利用者目線の効用分析を示すわけではない。とはいえ、仏教思想を議論するというわけではない。
     本書は、仏教活動の歴史的経過と現行制度(税務面を含む法制度)、あるいは現代での利用者の意識変革を踏まえつつ、お寺の事業体(表向き非営利が基軸だが、それに限られず、黒に近いグレーゾーンは数多)の特徴を解説し、その上で未来像を素描する書である。

     仏教の宗教的行動・活動に関する歴史的な経過に相当の頁を割いている。確かに、宗教行為は歴史的な経過を経て現代に至っていることからすれば、これを無視すべきでないことは明らかだし、叙述自体はなかなか面白いが、正直、こちらが期待した内容とは違ったかもしれない。

     一般に信教の自由⊃宗教的活動の自由とされる中、信教の自由を錦の御旗に立て、宗教活動を行う組織体を監督する権限をどこにも持たせていない。
     にもかかわらず、信者から受け取る布施や預かり資産が多額であったり、税務上の優遇措置、つまり非課税対象が広範囲で認められている。
     そのため、税務当局ですら把握できない資産につき、その管理がブラックボックス化し、ひいてはこの制度を悪用する者の跳梁跋扈を防ぎ得ていない。
     これが仏教を含む宗教団体の社会的な問題意識の最たるものではなかろうか。

     しかし、実のところ、どのようにバランスをとるべきかという理念も、具体的な対応策も見出せているわけではなく、本書もそういう意味ではそれほどの内実を感じるわけではない。


     なお、本書で最も興味深い記述は、沖縄内の仏教・寺の在り方、その特異性である。ウチナンチューの史的展開も踏まえるので、トリビアは多い。

  • 解説: 山形浩生

  • 3か月前に読んで、もう忘れてしまった。

    経済学者からみたお寺の色々。
    黙ってても人が集まってくるような、
    有名じゃない大多数の小さい寺は、
    もっと努力して、自由経済に身を投じてみよう。
    じゃなきゃじり貧だよ。
    という話だった気がする。

  • 一般人からすると、不明瞭にも思えるお寺の資金源や経済体系を、過去、仏教が歩んできた経緯をたどることで、いかに合理的なシステムであったかを知ることができた。

    経済学という俯瞰で捉える視点が新鮮であり、他の仏教解説本にはない切り口。墓質や葬式仏教と揶揄される、現在の日本仏教。これは、日本人の宗教観が抱える潜在的な問題。

    生々しい具体的な金額や暴露話はないが、日本人であるなら一読の価値はある。

  • ちょっと物足りなかった。
    視点は斬新なんですが。

    お寺や教団が公開しているお金に関するデータや利用できる数字が少ないので仕方がないのかもしれない。
    経済学と銘打ってるけど、それほどつっ込んだ分析はない。
    経済学というより檀家制度、戒名、本山と末寺の関係などその歴史や制度・文化的側面を軸にして書かれている。保護規制や規模の経済や情報の非対称性などの経済ワードは出てくるんだけどね。

    お寺の仕組みと日本仏教の歴史の知識を整理するのにいい本かと。。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

慶應義塾大学商学部教授
1960年生まれ。83年慶應義塾大学経済学部卒業、88年同大大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、商学部助手に就任。91年慶應義塾大学商学部助教授、2001年同教授。同年、博士号(商学)取得。学位請求論文『日本経済の生産性分析』(日本経済新聞社)により、義塾賞受賞。06年『障害者の経済学』(東洋経済新報社)により、日経・経済図書文化賞受賞。07年9月~09年3月まで慶應義塾大学を休職、内閣府大臣官房統計委員会担当室長。09年復職、現在に至る。
この間、慶應義塾大学産業研究所長、日本相撲協会「ガバナンス整備に関する独立委員会」委員などを歴任。
主な業績
『テキストブック入門経済学』(共著)『テキストブック経済統計』(共著)『大相撲の経済学』『お寺の経済学』『障害者の経済学』『オバサンの経済学』(以上、東洋経済新報社)、『日本経済の生産性分析』(日本経済新聞社)、『こうして組織は腐敗する』(中公新書ラクレ)、『経済学ではこう考える』(慶應義塾大学出版会)ほか多数。

「2019年 『「笑い」の解剖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中島隆信の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×