夜露死苦現代詩 (ちくま文庫)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480427021

感想・レビュー・書評

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  • あらゆる権威や名声からも一番遠い所にある現代詩に光をあて、
    あれとこっちと何が違うんだ?と鋭く問う。

    読んでいても小馬鹿にしたような調子はなく、リアリティを持った言葉を生み出した人に対する敬いや共感が滲み出ているのは、都築さんの人柄だと思います。

  • ここに収録されている詩の数々は恐らく文学ではないのかもしれません。しかし、これらの『路傍の歌』の数々は生々しいまでの息遣いを持った『生き物』であり、それらが直球で我々の胸に迫ってくるのです。

    現代の詩…。といってもなかなかピンと来ない方も多いかと思われますが、本書の中に出てくるのは決して学校の教科書には載らないということはもちろん。書いている当の本人ですら、さらには『詩』とは呼ばれないようなものすらが、『言葉の直球勝負』というものをズトンと我々の胸に投げかけてくれる一冊です。

    展開されているのは介護施設で老人が何の気なしにつぶやく
    『人生八王子』

    『媚びつつ人生ささやか食べ残し』
    等のシュールな言葉が強烈なジャブを繰り出してくるのに始まって、『点取り占い』というものの中に書いてある
    『モンキーダンスをおどれ 7点』や
    池袋で発生した母子餓死日記の壮絶な『死』への軌跡を書いた日記の抜粋。これは正直読んで衝撃を受け、しばらくは陰鬱な気持ちになりましたが、あとでこの日記が出版されているそうなので読んで見ようと思います。

    さらには罪を犯し、死刑になる人間の詠む俳句。これも自らの内面を鋭く見つめた透徹さがあると感じました。これも詩なのか?と思ったのがNHKの歌謡番組でよくあるイントロの間に司会をする人間の話芸。ここで紹介されている方は玉置宏氏という方ですが、曲のエッセンスを抽出した話芸には長年の修行の世界がにじみ出ておりました。

    びっくりしたもののひとつに『夢は夜ひらく』という歌は有名な宇多田ヒカルの母親でもある藤圭子さんのヴァージョンのほかに、なんと32もの『夢は夜ひらく』が存在することでした。中には放送禁止となった三上寛氏のヴァージョンもあるほかに様々なヴァリエーションがあることを知って、ある種の感動すら覚えてしまいました。

    これは『詩』と呼べるのかどうかは僕に判断がつかないのですが、暴走族が特攻服に入れる刺繍。彼等が知恵を絞って入れる『暴走天使』等の言葉を背負って死線を潜り抜けるというある種の『心意気』はなるほどなぁと思ってしまうところがありました。さらにエミネムのラップが紹介されたあとで、僕が最も笑ってしまったのは風俗店のコピー・ライティングの数々で、筆者およびスタッフがネットの空間を苦労して集めに集めたグルーヴ感コピーの数々!あまりに直球過ぎる内容なのでここで引用するのは差し控えますが自分には決して書けないような疾走感溢れる文体には大笑いもし、またのけぞってもしまいました。

    そして、湯飲み茶碗によく掲載されている『説教詩』僕もよくコーヒーを食後に飲んでいる湯飲み茶碗にも『健康十訓』が記されているので、その種類の多さと含蓄に富む内容はこれでお茶を飲んでもおいしいのだろうか?という一抹の疑問を感じさせつつも、面白いものでありました。決して『文学』ではないけれど「路傍の歌」とも言いたくなるようなこれらの言葉をぜひ皆さんも堪能されていただけると嬉しいのです。

  • こんなところに詩が生きていた!

  • 自分はもっと、世の中に敬意を払ったほうがいいと思った。

    計算されつくした言葉も、
    人生からしみ出してきた言葉にはかなわない。

    よく街中の張り紙や、ラーメン屋の注意書きとか、気になる。

    これはどんな人が書いたんだろうと。

    偶然から生まれるもの。

    もっと世の中に目をはって、宝探ししようと思う。

  • 詩は何を持って詩なのか。
    自らの言語感覚を鋭くしようとするほど見失うこともある。

  • 死刑囚の短歌からヒップホップ、アダルトサイトの紹介文まで

  • 人生八十年と言いたかったであろう痴呆の方の発言「人生八王子」に始まるパワフルなことばの数々。前奏における玉置宏の話芸がすごい。ナレーションは活字ではなかった。一回しゃべると消えてなくなってしまうものでよいという潔さ。都築さんが集めた巷のことばと現代詩の違いは谷川俊太郎さんとの対談で説明されます。詩人格がありやなしや。痴呆や認知症、商業目的の呼び込みせりふの中に「詩」人格があるか、という観点から仕分けされるようです。

  • ん〜よかった!「詩人」でも「作家」でもない人たちの生生し過ぎる「ことば」。可笑しくて、泣けてくる・・。個人的には「点取り占い」にやられました。(^^)

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。ポパイ、ブルータス誌の編集を経て、全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』(京都書院)を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆・編集活動を続けている。93年『TOKYO STYLE』刊行(京都書院、のちちくま文庫)。96年刊行の『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』(アスペクト、のちちくま文庫)で、第23回木村伊兵衛賞を受賞。その他『賃貸宇宙UNIVERSE forRENT』(ちくま文庫)、『現代美術場外乱闘』(洋泉社)『珍世界紀行ヨーロッパ編』『夜露死苦現代詩』『珍日本超老伝』(ちくま文庫)『ROADSIDE USA 珍世界紀行アメリカ編』(アスペクト)『東京スナック飲みある記』(ミリオン出版)など著書多数。

「2018年 『白い孤影 ヨコハマメリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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