吉原はこんな所でございました 廓の女たちの昭和史 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.82
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本棚登録 : 190
感想 : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480427625

作品紹介・あらすじ

三歳で吉原「松葉屋」の養女になった少女の半生を通して語られる、「吉原」の移り変わりの記録。徳川時代、官許の遊郭として発祥した吉原は第二次大戦中、女たちが軍に徴発され、戦後は占領軍対策にあてられ、売春防止法によって、終焉を迎えた。家の貧困を身一つにひき受けて吉原に来た娘たち、廓で働く人びとの姿、廓の華やぎや情緒を、暖かい眼差しで写しとる。

感想・レビュー・書評

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  • 面白くて一気に読んでしまった。引手茶屋の女将の上品な語り口調で書かれているので読みやすい。江戸吉原を描いた本は多いが、これは大正〜昭和の激動の時代の吉原を内側からの目線で知ることができ、また吉原を通してその時代ごとの日本のリアルな雰囲気を感じられる貴重な経験談。とくに戦中戦後、性産業がどのように変化していったかを語ったくだりはとても興味深かった。

  • 先日読んだ「「ふるあめりかに袖はぬらさじ」なんて、
    この本を読んでから読めば良かった!と思える一冊でした。
    たとえば「幇間(ほうかん)」とか「遣手(やりて)」とか、小説で出てきて
    わからずに、辞書とかネットで調べても、イマイチなんのことだか
    わからなかったんです。

    そのあたりがこの本ではどういう役割を果たして、
    どのような気性だったのか、ということまでが、
    説明と文章から読み取ることができました。

    また妓夫太郎の説明を読んで、
    「とろサーモン久保田は現代の妓夫太郎か」
    なんてことを思ったり。

    徳川時代から300年、国の制度下に置かれたこの場所は、
    確かに今の性産業とは異彩を放っています。
    売春防止法施行後の、現代的な街に吉原が変わる中、
    300年の伝統を守っていく松葉屋。

    この本が書かれたのが1986年。
    30年近く経った今、ここで描かれた粋な姐さんたちが
    どうなさっているのか、気になるところであります。

    これを読んだあと、「驟雨」とか「赤線跡を歩く」を読み返すと、面白さが増すんだろうと思います。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「300年の伝統を守っていく松葉屋。」
      東西問わず娼婦は知的な職業だったようですが、ピンキリでモノ以下の扱いもされている部分があったのだろ...
      「300年の伝統を守っていく松葉屋。」
      東西問わず娼婦は知的な職業だったようですが、ピンキリでモノ以下の扱いもされている部分があったのだろうと。。。
      「30年近く経った今」
      続編は出ない?(この本自体未読ですが)
      2014/07/29
    • ヒロセマリさん
      こちらは「ピン」の部類のお店だろうな、という矜持を文章から感じました。
      この本の最後に、差別用語の収録についての
      断りがあり、そこで作者...
      こちらは「ピン」の部類のお店だろうな、という矜持を文章から感じました。
      この本の最後に、差別用語の収録についての
      断りがあり、そこで作者の方がお亡くなりになられている、と書かれていますので
      全くの新作は残念ながら出ないのですが、
      姐さんたちの話をお伺いして書き記すのであれば
      今がラストチャンス、という気がしております。
      2014/07/29
  • 解説:阿木翁助、猿若清三郎

  • 2010-10-23

  • 著者は吉原の引手茶屋「松葉屋」の養女となり、のちに女将になった。その視点から描く吉原。
    芸者や幇間、そのほか江戸から続く文化を継承する土地の重要性を感じた。ただ、それを吉原以外に作れなかったものか、今からでも何かできないかと考えた。
    東京大空襲時やその後、戦後の吉原についても知らないことが多かった。

  • ちょびちょび、だらだらと、読み続け読了。

    大正9年に生まれ、平成17年に85歳で亡くなった福田利子さんという、吉原の料亭「松葉屋」の女将をしていた方が、ご自身の経験や周りの色々な方の昔語りを元に、江戸時代~売春防止法までの吉原の姿をまとめて綴った本。話口調で読みやすい。
    松葉屋というのは吉原システムでいうと「引手茶屋」、つまり殿方が花魁のいる貸座敷に行く前に、芸者や幇間を呼んで遊ぶ、お茶屋さんをしていた店で、この本の著者はそこのオーナーの娘として育ち、戦後に女将を継いだ方。子どもの頃から吉原ではたらく人々の暮らしを見てきた。

    ・江戸時代から続いた吉原の仕組みの解説
    ・親兄弟のために懸命にはたらく花魁たちの健気さ、遣り手婆や妓夫太郎の優しさ
    ・幇間、芸者の芸やもてなしの見事さ
    ・いらっしゃるお客様の粋な遊び方
    など、好意的に語られる。歌舞伎や落語を味わうにはこういう雰囲気の理解は欠かせない、だろう。

    そして
    ・公娼制度廃止
    ・売春防止法成立
    などを経て様変わりする吉原。
    戦後民主主義の世の中で、吉原も花魁も「売春」という大枠に括られて「悪」にされたけれど、そう簡単に善悪で断じきれる問題ではないのだなあ…。
    阿木翁助さんの解説より抜粋↓
    「徳川時代に吉原が公認された理由、それから現代になって、戦時中、軍の慰安婦としての吉原女性の徴発、敗戦後アメリカ兵のための進駐軍慰安所の設立。それらの記述のどれをとっても、のがれ得ない人類の大きな問題を感ぜずにはいられない。」
    そうこの、進駐軍慰安所のための女性募集なんかは衝撃的で、このときは国が募集したわけなのに、同じ口が今度は売春だから吉原もだめって言うのだから、時勢とか善悪とか正義とか道徳とか常識とか政府の言うこととか…というのは、移ろいゆくものだなあ。

    外から善だの悪だの言うのは簡単だけど、実際にその中で懸命に生きていた女性たちがいた。そのことを、悪にされたり、なかったことにされたくない、そういう著者のお母ちゃん的な気持ちがこの本を生んだのかなと思いました。

  • すんごい面白かった!
    一気に読んでしまった。

    戦前は引手茶屋、その後は料亭として吉原で営業していた『松葉屋』を切り盛りしていた女将さんの昔話と、歴史解説と、考察。
    子供の頃から吉原で育った女将さんならではの話だ。
    個人名も出し、とても詳しく丁寧な語り口で、読みやすい。吉原内の地図や、幇間などの写真が少し載っているのも嬉しい。
    吉原最後の日の描写がとても沁みた。


    先日読んだ吉原花魁日記とはまたちがい、店を経営する側として吉原に生活した者の視点で語られる。
    「吉原って、いいものよ。」という感じのスタンスだ。

    ここには、私が思い描いて求める吉原があった。

    気骨があり、風情があり、情緒があり、色気があり、粋があり、華がある。

    この人が生きている間に、松葉屋を訪ねてみたかった。吉原が元気だった頃を知っている人はもういないのだろうなぁ…。
    松葉屋の跡は今、マンションになっている。
    何でもかんでもマンションにすりゃあいいってもんじゃないのに。


    吉原散歩に行かなきゃなぁ。
    地図作りたい。

  • 言葉が柔らかくて読み易い。
    実際に吉原で仕事場を構えていた人が買いてるだけにリアル。
    昭和の時代まで吉原が続いていたとは知らなかった。

    吉原といえば酷い場所なのだと思っていたけど、制度等しっかりされていて、人攫いで吉原に連れてこられた…なんて事もないのかな?と思った。
    ただ昭和初期の話だろうし、それ以前も同じように契約書が存在していたのかは分からない。

    戦争で時代が移ろいでいく様や、それにより変わっていく姓に対する状況等、辛い事が多くて悲しくなる。

  • 花魁の宮仕え!

  • 森光子『吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日』『春駒日記』を読んだ後に、併せてこちらも読了。明治、大正、昭和の初めは、貧しい農家の娘たちが親に身売りされ、ほんとうに大変な境遇に置かれていたのだということがわかる。戦争中には、そういう女性たちが大勢従軍慰安婦として大陸に渡っていったことも記されている。男尊女卑の深い深い深淵を覗く気分だった。

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