僕らが死体を拾うわけ 僕と僕らの博物誌 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (2011年3月1日発売)
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784480428011

感想・レビュー・書評

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  • ものすごく面白かった。ほぼ全ページに挿絵があり、標本好きのための絵本のような感じになっている。ところどころ、思うところはあるが、まあスタンスの違いなので、批判はしない。いろいろな生物や植物の標本を採取(言い換えると、死体拾い)し、自然を観察し、人間(生徒など)も含めて観察し、スケッチをのこしている。私も同じく標本を拾い、剥製を作る者として、興味深い箇所がたくさんあった。そのなかでも、
    さすがにこれはすごい、と思ったのがp240
    あるバンダーさんが、自宅近くの林での標識調査をしようとしていたら、白骨化しかけた人間の死体を発見した話。調査中に発見、というのは聞くはなしではあるが、自分が発見したくないものの筆頭です。発見した後の手続きなども含めて、本当に発見したくない。
    そのバンダーさん曰く、
    「盛口さん、死体すきでしょ。よっぽど電話して見に来るかどうか聞こうと思ったんだけど。絵を描きたかった?」
    ある意味、人間も動物も平等、というエモーションを感じる。筆者は「人間のはダメなんです」と、断った、というEP。
    その後は標識調査の見学のスケッチなどになる。
    筆者が長年みたかったシラミバエをつかまえて、
    興奮する様子が生き生きと描かれていて、
    しかも”シラミバエちゃん”と、愛を感じるちゃん付で、
    なんとも、知りあいにこう言う人おるな、、と思いながら
    楽しく読了した。
    昆虫や、死体全般苦手な人にはおすすめしないです。
    が、博物学に興味のある人は一読をおすすめしたい。
    ティーンにもおすすめ。

  • 生き物の死体を
    拾ってきては
    骨格標本に勤しむ
    友達がいる

    本書を
    手にした時
    あまりの面白さに
    こんな本を読んでいる
    と 連絡したところ

    くだんの友達が
    「それは 私のバイブルです!」
    の返事が返ってきた

    こんな けったいな人
    いや
    こんな すてきなナチュラリストがいる
    うちは
    まだ この国は
    大丈夫じゃないか
    と 思ってしまう

    ただ
    そうではない人が
    激増している現状には
    大きな危惧を抱いている

  • 2013 5/4読了。恵文社一乗寺店で購入。
    京都でも有名な恵文社をぐるぐる見ていた中で、目に止まったのでふと買ってみた本。
    高校の生物教員をしていた著者が、書きためたスケッチをあわせて掲載しつつ、生徒たちと解剖したり拾ってきた死体から骨格標本を作ったりゴキブリについて色々考えたり・・・な日々について書いた随筆(?)
    博物学的というか、自然史(natural history)的な興味がふつふつ湧いてくるいい本。
    著者のほかの本も気が向いたら手にとって見るかも。
    あと、こんな感じで学生とワイワイしている様子を本にまとめられるくらいちゃんと記憶/記録してるっていいよなあ、とか思う。

  • 著者は大学時代に生物学(+博物学?)を学び、その後教員として従事する傍ら、身近な生き物の観察や、生物と触れ合うワークショップの体験を記載している。
    もともと1994年に発行された書籍であり、体験記自体も1980年代~1990年代前半に記載されたモノであるが、生物好きの体験記としては共感する部分や羨ましい部分が多くあり、楽しく読むことが出来た。
    また、生徒とのやり取りでは、座学から学ぶ知識だけでなく著者、生徒それぞれが観察に基づいて 新しい発見をしており、その経緯を楽しむことが出来た。
    ある個所の記載で「生物を観察した時の面白さは、比較することで違いがわかること(意訳)」という記載があり、 とても共感した。

  • 普段自分から摂取したことのなかったジャンルの本

    大体1ページの半分スケッチで、半分文章の形式。
    文章自体も読みやすい。
    スケッチと実物では同じ物でもまた感じ方が大分違うんだな、としみじみ思えた。

  • 「頭骨コレクション」に引き続き、動物の死体を拾う話。こちらもあきらかに変な人(もちろんいい意味で)。よくもまあこんな才能をみつけてきたなと、本にしてくれた人に感心する。自由の森学園の理科の先生の超マニアックな日常エッセイ。

    ほぼ全ページに、動物や植物への熱が伝わる精緻なスケッチ。昆虫の足先や小動物の歯などのスケッチを眺めていると、細かすぎてだんだんおもしろくなってくる。骨格標本をつくる過程は「頭骨コレクション」で学習済なので、さらっと読んだのだけれど、この本ではなんと高校生も骨格標本を自分たちでつくる。楽しそうに解剖をしている様子に、ほほえましいような、うらやましいような、でもにおいが気になるような。
    子供が生物に興味があるのであれば、こういう先生のいる学校にいかせてあげたいと思う。

  • 大学の生物科を卒業したあと埼玉の飯能にある中高一貫校で教職に就いた著者は、「生き物の死体を持っていくと喜ぶ変な先生」として生徒に知られていた。子どもたちが持ってきた死体を一緒に解剖し観察するうちに、いつしか周りにも骨格標本づくりが天才的に上手い子や虫捕り上手な子が集まってくる。生き物たちの不思議を通して子どもたちと触れ合った生物教師のエッセイ。


    文章以上に著者自身による博物スケッチが魅力的。虫は苦手なのでゴキブリを扱ったパート3はキツかったものの、絵ならギリ薄目で乗り切れることがわかった。メスしかいないナナフシモドキの生殖の話はSFみたいで面白い。
    クジラの耳骨を通して進化の歴史を辿るパート2も、小さな骨から壮大な物語が見えてくる研究の醍醐味が詰まっている。陸上の哺乳類では頭蓋骨と一体化している耳の骨が、海中の雑音をシャットアウトするために分離されたのがクジラの耳骨なのだとか。クジラとイルカには自前のノイズキャンセラーが付いているのだ。

  • 死体、はともかく、骨は好き♡w

    ってわけで、表紙のイラストをみただけで読みたくなってたこの本は、本友さんにいただきましてん♡

    なので、これもチビチビ読んでたんだけど、半分以上過ぎたあたりで一気読みww

    いやー、好きだわ!www

  • 時々、著者の盛口さんの写実的なイラストに、眼を背けたくなる時もありましたが、中身は、とても良いお話で
    す。
    読んで損は無いです。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784480428011

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著者プロフィール

沖縄大学人文学部教授

「2019年 『琉球列島の里山誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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