とりつくしま (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.46
  • (40)
  • (95)
  • (110)
  • (35)
  • (5)
本棚登録 : 945
レビュー : 138
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428295

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 死んだら、私のこのいろいろな思いはどうなるのだろう。
    消えてなくなってしまうの?
    それとも、思いを抱えたまま、あの世みたいなところにいくのだろうか。

    この連作短編小説の世界では、未練を残し亡くなった主人公達は、「とりつくしま」を探している、という。

    この世のもので、生きているモノ以外になら何でもとりつける、と「とりつくしま係」と名乗る生き物が言う。

    主人公達は思いを残した人のそばにいたいと願い、様々なものにとりつく。ロージンバッグ、マグカップ、ジャングルジム、扇子、ネームプレート、補聴器、日記、マッサージチェア、リップクリーム、カメラ...。

    そのどれもが愛する人に触れられ、体温を感じられるものばかりなのが、切ない。そして官能的。

    私だったら何にとりつくのかなあ、と考えた。
    ...うーん、氷のうの氷かな。

    自分だったら何にとりつきたいか、と考えることで、自分はその人をどうしたいか、何をしてあげたいか、という欲望が見えてくるような気がする。

    主人公達の、それぞれのおまけのような、最後の「生」に共感したり不憫に思ったり、恐怖を感じたり。

    それぞれが短めの短編なので飽きずに読めた。

    あと表紙の絵がヘンリー・ダーガーみたいだと思った。

  • 死んでしまった人がモノにとりつくことをとりつくしまという。この世に未練がある 、死んだことに納得がいかない … …そんな人たちの前に現れるとりつくしま係。モノから世界を眺めることはできるけど、自分の意志で動いたり 何かに働きかけたりすることは 、できない。
    一方通行の思い、切なすぎる。それでも人はとりつくしまになりたいのだろうか。とりつくしまになった人の届けたい思い、届けたい言葉は届きましたか?

    「ロージン」
    このくらいの長さがいい。母から息子へ本当のさよなら。
    「トリケラトプス」
    他に付き合う人が出来るのを見るのは辛い。それでも、触れてもらいたい、そばにいたい。
    「青いの」
    これは、1番残酷。幼稚園の子供を…。ずっとひとりで友だちを見てないといけないの?いつくるかわからないママを待ってるの?そしていつかは来なくなるよね…
    「白檀」
    1番好きな話。純愛。毎年先生に会える喜び。書道の世界って凛としていていいな。
    「名前」
    名札って、お胸の上っ…嫌らしく感じる。でも、図書館の話で面白かった。
    「ささやき」
    どんな酷い事をされても子供は親を思う。
    「日記」
    最後の日記はいつなのか。ずっと奥さんを見守り続けたのだろうな。そして1番言いたかった言葉を見つけた。
    「マッサージ」
    この作品だけアンソロジーで読んだ。その時はピンと来なかったけど、とりつくしまが何かわかった今はお父さん頑張れ!
    「くちびる」
    本当の恋も知らないまま死んでしまった女の子。思いは叶ったのだろうか。
    「レンズ」
    これは1番前向きなとりつくしま。おばあちゃん悲しい目にもあったけどこれでよかった。最後がこの作品でよかった。
    番外編「びわの樹の下の娘」
    このような事があるから、とりつくしまは植物もダメなのかな。

    もしも私ならって考えたけど、やっぱり私はとりつくしまを希望しないと思う。私には耐えられない。旦那さまを見ているだけなんて…

    • 杜のうさこさん
      けいちゃん、こんにちは~♪
      このあいだは、温かなメッセージをありがとう~。嬉しかった~♪
      おかげさまで、ようやく元気がでたよ!

      昨...
      けいちゃん、こんにちは~♪
      このあいだは、温かなメッセージをありがとう~。嬉しかった~♪
      おかげさまで、ようやく元気がでたよ!

      昨日は久しぶりにブク友さんの所へ訪問できて、とても楽しくて、
      素敵なレビューを時間を忘れて読んでしまった!
      気が付いたら日付が変わってた!まずい(笑)。

      この本、なんか気になる。
      今読んでる本にちょうど「つくも神さま」が登場してて、そんな感じかな?

      今日、うさこ地方はものすごく寒い。
      けいちゃん地方はどうかな?
      この寒暖の差で、また体調を崩さないように気を付けねば。
      少しづつ読みためた感想も書かなくちゃなんだけど、
      のんびりとやっていくわ~
      また仲良くしてね。

      レビューの最後の一行に、うふふ♡ってなったよ~(#^^#)
      2017/04/01
    • けいたんさん
      うさちゃん♪

      こちらでもこんにちは(^-^)/

      元気が出てきたようでよかった(*^^*)♪
      春は体調崩しやすいから気をつけて...
      うさちゃん♪

      こちらでもこんにちは(^-^)/

      元気が出てきたようでよかった(*^^*)♪
      春は体調崩しやすいから気をつけてね。

      「つくも神様」ってどんなのだろう。感想楽しみにしてるね。
      とりつくしまは、なんか救われない気もするなぁ。ちょっとでも相手が気付いてくれればいいのだけど。
      でもそうするとこの物語の良さが半減してしまうかな。お涙頂戴の物語ではなく自分の気持ちを届けたいって感じだからね。

      やっぱり私はとりつくしまにはならないと思う。うふふ♡だからね(*≧艸≦)

      これからもよろしくお願いします♪
      2017/04/03
  • こういうことがあったらいいな、と思いながら
    読んだ。
    良い話だけじゃないのも良かったけど
    自分が日記を書くから、
    日記になった夫の話で一番泣いてしまった。
    うちの夫は間違いなくブラジャーになるだろうな…
    →本人に確認したら、女湯の鏡か電気になるらしい。
    妻の元に帰って来る気ゼロ…

  • 昨年夏、読書仲間と交換した本を少し時間のたった今、手に取った。


    この世に未練を残し、亡くなったばかりの人の前に「とりつくしま係」が現れる。

    生き返ることはできないけれども、モノにとりついて、この世をもう一度体験できるのだという。


    軟式野球部のピッチャーの中学生の息子のロージンバッグに「とりつく」母親。

    二年前に結婚したばかり。トリケラトプスのマグカップに「とりつく」妻。

    公園の青いジャングルジムに「とりつく」幼稚園生。

    尊敬していた書道の師匠の扇子に「とりつく」女性。

    図書館司書の女性の名札に「とりつく」ホームレスの男性。

    けんかばかりしていた母の補聴器に「とりつく」女性。

    交際中から文通を続けていた妻の日記に「とりつく」夫。

    働き盛りの50代。妻、大学生の息子、高校生の娘を残して亡くなった男性は、リビングのマッサージ機に「とりつく」。

    バトミントン部の女子中学生は、憧れの先輩の彼女のリップクリームに「とりつく」。

    孫に買ってあげたはずのカメラのレンズに「とりついた」女性は、思わぬ引取り手の元に迷い込む。

    母を残して亡くなる娘は、自分の髪の毛一本、裏庭に埋めるように懇願。びわの木にからみつく宿り草に「とりついた」。


    死者のこの世への未練や無念の思いは様々。

    生前かなわなかった思いを胸に戻った現実は、実に切ない。

    優しい筆致で読み易い文体だが、読むのに時間がかかる作品集。

    それは、人生の価値と、人の命の重さなのだろう。

    悔いのない人生などありえない。
    でも、自分なりに大切に生きていこうと、静かに深く思うことのできた美しい短編連作集。

  • 今、相手に触れられる距離にいること
    話したり
    触ったり
    目を合わせたり
    できるということ。

    とりつくしまの
    潔さ
    ほんわかさ
    救いようのなさ
    愛情の深さ
    切なさ…

    全てからそれを気づかせてくれた。

  • ありえない話とわかっていても「もしも自分だったら」と考えずにはいられない。仮定の話をしてはじめてみえてくるものもある。

  • あったかいような、嬉しいような、悲しいような、決して辛くはないんだけど、ずっと切ないような、複雑な感情に終始した。

  • 死がたくさん出てくるけど、不思議とあっけらかんとした雰囲気

  • 小さい頃に読んで、それから数年経った頃に表紙のイメージだけを頼りに必死に探し出した本

    泣かせようとしないところが好きだ
    私は毎度泣くけど

  • もっと一緒に居たかった───、ずっとそばで見守っていたい───、それぞれの想いを抱えながら、死者が大切な人のある物に取り憑く。だけれど自分の死後の現実を見て傷付く者、僕は私は此処にいるのに…届かない、伝えられない声が切なくもどかしい。これを読むと、あれもこれも簡単には捨てられないな、と思ったり...また物が増える一方かな(苦笑) 本当に大切な想いは形としてではなく、見えないものとして、一番大事で繊細な部分に残り続けるものなのだと思いました。

全138件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年、広島生まれ。歌人、小説家。絵本や童話、イラストレーションも手がける。歌壇、角川短歌賞選考委員。東京新聞歌壇選者。「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞、『いとも森の家』で第31回坪田譲治文学賞を受賞。歌集に『十階』、小説に『水銀灯が消えるまで』『とりつくしま』『さようなら窓』、エッセイ集に『短歌の不思議』、穂村弘との共著『回転ドアは、順番に』『しびれる短歌』がある。

「2019年 『春原さんのリコーダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

とりつくしま (ちくま文庫)のその他の作品

東直子の作品

とりつくしま (ちくま文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする