「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
4.14
  • (75)
  • (74)
  • (34)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 627
レビュー : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480428882

作品紹介・あらすじ

ITベンチャー経営者。それが著者の学生時代の肩書きだった。新興ITベンチャーが次々に株式公開をし、青年社長が数十億円の富を手に入れていた時代。しかし、著者の疑問はどんどん大きくなっていく。「自分は本当は何をしたかったんだろう」。そして、たどりついた結論は「日本の役に立ちたい!」だった。NPOを立ち上げ「病児保育サービス」を始動。挫折を経験しながらも、事業を全国に拡大していった汗と涙と笑いの軌跡。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ソーシャルビジネスというのに疎いため、知見を広げるために読んでみました。
    内容は後述しますが、文章自体が面白くてグイグイ著者の魅力に引き寄せられていき、気付いたら読みおわっていました。とても充実した時間でした。

    人として素晴らしい活動をすることを素晴らしいで終わらせないで、NPOの常識にメスを入れ、そこに「儲ける仕組みを作る=もっと社会に貢献できる」という新しい常識を埋め込むことに成功した好例でしょう。

    NPOでの事業展開のエピソードを等身大の姿で語られているので、これから社会起業・ソーシャルベンチャーへ進んでいきたい人を勇気づける一冊になりそうです。
    いい部分をなぞるようにして進めていけばかなり参考になりそうですね。

    巻末で紹介されている社会起業家たちも調べるといろいろと面白いものが見れそうです。

  • *推薦者 (工教) H.M
    *推薦文 病気になった子どもを預けるシステムが我が国にないことを知り,病児保育のNPO設立を通して社会を変えようと奮闘する著者。悩み,挫折しながらも,「社会起業家」としての自分の仕事に次第に手応えを感じて行く著者の等身大の姿がユーモアたっぷりに描かれています。「なりたい自分」が見つからない—そんな人はぜひ。
    *所蔵情報 http://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00326046&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • 病児保育問題に取り組み、ボランティアではなく、しっかり経営として成り立つ方法を考え仕事にしています。
    駒崎さん(著者)の後輩である川添さんも、ワンコイン健診(ケアプロ株式会社)で、医療制度に立ち向かってます。

  • 会社のメンバーが貸してくれた本。
    「病児保育」というテーマからNPO法人を立ち上げ、事業として世の中の問題を解決していこうとする話がとてもワクワクして面白かったし、学びの多い本だった。

    【なるほど!そうだよな!と思ったフレーズ】
    僕たちはそれぞれの職場で真面目に働くことだけをいいこととして、社会をより良くしていこうということについては、国や自治体や「誰か」偉い人の仕事だと思ってる。

  • ・意義のあることをしたい人は結構多い気がする
    ・能力のある人、優秀な人もそういったビジョンに惹かれて集まってくる気もする
    ・自分はどの問題にアプローチしたいのか?
    ・あとは、行政だったり、ストレスを感じるところはどのように対応してくのか?(一定の忖度がやはり必要なのかな

  • ソーシャル・アントレプレナーという存在が日本ではまだ一般的ではなかった時代に、病児保育の問題の解決を目指してこの分野に飛び込んだプロセスを描いた本。

    筆者はもともと保育の専門家でもなく子育ての当事者でもなかったが、社会の役に立ちたいという思いで、七転八倒しながらも組織とサービスを立ち上げていく。

    筆者自身の気持ちや考え方といった内面の変化と並行しながら描かれているので、親近感が持てる。

    読んでいて元気になれる、力をもらえる本だった。

  • 令和2年最初の一冊になったのかな?

    彼女のスマホ


  • 単なるビジネス本とは一線を画する内容で読みやすく文章もうまい。若いのに自分を客観的に見ているようだ。フィクションっぽいノンフィクションか。多少の脚色はあったほうがこういう話は面白くなる。

  • 「社会を変える」を仕事にする
    駒崎弘樹

    結論から言うと、自分の持っている問題意識に近いことを書いていた。地域的な人と人の繋がりが失われているなかで、病児保育を任せられるところがどんどんなくなっている。かつては、親が面倒を見られないときは、近所のおばちゃんに預けていた。子供や老人などの社会的な弱者を、みんなでフォローしていた。しかしながら、都市化が進み、個人個人が地縁こというものに無関心になるごとに、子供を預けられるところはなくなり、それが大きな問題となっている。この本は、上記のような問題意識を持った駒崎さんがフローレンスを立ち上げるまで、立ち上げてからのお話や、日本にはない社会起業家とはいかなるものなのかというある種のロールモデルを提示するものだ。文章も、非常にカジュアルで読みやすく、なんとなくあか抜けていなくて良い。
    駒崎さんが最初に、自分は人生で何をするかを考えるときの、内省?が面白い。印象的なものに、「むしろ俗物でいい。俗物が社会をよくしたいと考えることはおかしなことか?ばかな。おまえが聖人である必要はまったくない。俗物の行動の結果でも、それが世の中のためになれば、それでいいじゃないか」という心の声がある。まさにその通りだと思う。昔から思っているが、電車で高齢者が立っている場合に、①「心からのやさしさで譲る」②「隣のかわいい女の子に良い印象を与えたいから譲る」③「異性を意識して善を行うのは仮言命法的であり、イマニュエル・カントに言う定言命法のレベルに私は達していない、故に、真の善ではなく、譲らない」であれば、確かに①が一番良いが、②と③だったら明らかに②の方が高齢者にとってもプラスであり、高齢者という他者を幸せにできたことは社会にとって微力ながらプラスの行動ができているということである。「むしろ俗物でよい」「俗物の行動の結果でも、それが世の中の為になればそれでよい」のである。一人の女の子に振り向いてほしくて、世界最大級のSNSプラットフォームを作った人間もいる。俗物でよい。最悪なのは行動しないことだ。駒崎さんは俗物であることを自認しながら、開き直って社会をよくしたいと叫ぶ。カッコよい。
    もう一つ、印象的だったのは、社会起業家というあり方へのこだわりである。道徳的な事業、公共的な事業を行うにあたり、重要なことはそれが崇高な理念をもっていること以上に、持続可能であるということである。仮に、ボランティア的なものであっても、しっかりマネタイズして持続可能なものでなければならないという考えが、実は日本には薄いのではないかと思う。日本では、儲けてなんぼのこてこてキャピタリズムか、もうからなくてよいから社会をよくしたい貧乏ボランティアの2択しかないように思えていた。(すくなくとも自分の周りでは)そんななかで、アメリカのNPOにはCEOがおり、マーケティングディレクターもいるという社会起業家集団の在り方を、しっかり日本に提示して、自分自身、実行している点はとてもすごいと思うし、それに至るまでの様々な障壁を乗り越えた話もこの本の醍醐味だ。
    その中で、病児保育事業をマネタイズする際に、駒崎さんが行きついたのが、保険共済モデルだった。病児保育は、通常のベビーシッターと異なり、社員の教育コストを下げつと医療事故という最悪の結果で返ってくる。その為、一回につきいくらもらうというモデルでは、どうしてもコストの上乗せ分がかかってしまい、高価にならざるを得ないし、インフルエンザの流行など需要の季節変動が大きいのも、事業者にとっては死活問題であった。そういった問題の中で、駒崎さんが採用したのが、定額制で困った時のみ使えるサブスク型の保険共済モデルである。保険は、万一の事態が起こった時の為に、お金をかけ続ける。そして、本当に困った事態になったときには、自分がかけた何倍ものコストを負担してくれる。普段は必要ではないが、困った時には確実に必要とされる仕組みである。そういったモデルを導入することで、事業者も季節変動による収益のバラつきを平準化できるし、その分価格も抑えられる。保険会社の人間なので、保険というビジネスモデルについて視野が狭くなっていたが、抽象化すると事業者は季節変動リスクを平準化し、サービス利用者は必要な時に賭けたコストの何倍も返ってくるWINWINの優れた仕組みである。最近話題のサブスクモデルというものも、実は太古の昔から採用していたというのである。であれば、サブスクモデルで肝要とされるカスタマーとの長期的な関係性の構築の手法は、保険にも逆輸入できるということでもある。NPOの話から脱線したが、様々な気づきを与えてくれる本であった。

全71件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1979年生まれ。認定NPO法人フローレンス代表理事。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2005年日本初の「共済型・訪問型」病児保育を開始。10年から待機児童問題解決のため「おうち保育園」開始。後に小規模認可保育所として政策化。14年、障害児保育事業をスタート。著書に『「社会を変える」を仕事にする』『働き方革命』などがある。

「2018年 『子どもの人権をまもるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

駒崎弘樹の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
伊賀 泰代
有効な右矢印 無効な右矢印

「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方 (ちくま文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×