僕のこころを病名で呼ばないで―思春期外来から見えるもの (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 46
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429100

作品紹介・あらすじ

子どもや青年のこころの病気や障害への注目や関心は、彼らの症状や病名を見つける方に目を向けさせ、肝心の彼らのさまざまな思いや悩み、考えなど、こころの内面を見失わせてしまう。そして、彼らを孤立に追い込み、孤独に追いやってしまう。子どものあり方を、多様な個性や特徴として受けとめ、誇りをもって生きていくことを応援できないか、治療の現場で考える。

感想・レビュー・書評

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  • 493.93

  •  この手の本の作りは大抵決まっている。筆者の臨床経験のなかから印象に残る「患者」たちを取り上げ、それらを帰納的に考えることで、問題の在り処を示そうとする。本書もそういった「お約束」に大きく外れない。しかし、他の本とはちょっと違う。青木さんはそこで示した話を、さらに抽象化して物事を論じようと試みるのである。
     本書はタイトルからもわかるとおり、心療内科や精神科といったフィールドの話がメインとなっている。ところが、気づくと本書の記述は「環境問題」や「歴史意識」、「民主主義」などに話が及んでいるのだ。
     こういった論の展開を大げさなものだと一蹴することもできよう。しかし、このような展開をする本はなかなか見ない。そこから考えれば、「オンリーワン」な一冊と言える。ならば、自ずと本書に価値があるということができるはずだ。


    【目次】
    第1章 居眠りの効用
    第2章 子どもたちは変わったのか
    第3章 思春期という危機
    第4章 この子は病気?
    第5章 親という幻想
    第6章 居場所探し
    第7章 ネット上の居場所
    第8章 ミルトン・エリクソンへの旅
    第9章 病名で呼ばないで
    第10章 支えること
    おわりに
    文庫版のあとがき
    参考文献
    解説 診断することの無念を抱えて(山登敬之)

  • 青年への眼差しが本当に温かい。思春期,青年期のクライエントに会っていくうえで,本当に大切なことがたくさん書いている。繰り返し読みたい本。

  • 青木先生のあたたかい視点の持ち方に励まされ、同時に、大人としてどうかかわるべきかについては背筋がすっと伸びる思いがしました。

    自分が支援で心がけていることは間違っていなかったのだなぁと、ほっと胸を撫で下ろすことができました。

    そのクライエントのよりよい未来のために自分ができることは何かをとことん考え抜くこと。

    技法や知識に惑わされることなく、「基本」を大切にこれからも実践を重ねていこうと思いました。

  • 何でもかんでも病名を付けるということに対する漠然とした不安感を持っていたが、本書を読んでその不安は確信に変わった。

    病気であるということが、本人にとってプラスに働くことはもちろんある。しかし、病名をつけることが、ある種の免罪符となったり、教育に携わる者の責任回避に使われてしまうのは避けなければならない。いま求められているのは、健康でも病気でもない人(グレーゾーンにいる人)を医療・教育・社会・福祉といった分野で包括的に支援していく必要がある、という著者の主張には大変納得できる。

    僕たちは忘れてしまいがちだ。
    100%健康な人も、100%病気の人もこの世界にはいない。健康と病気の間は断絶があるのではなく、滑らかにつながっているのだという当たり前のことを。

    だからこそ、僕たちは耳を傾け、問い直さなければならない。「僕のこころを病名で呼ばないで」と叫んでいる子どもたちがいないかどうか、「病人」にしてしまうことが本当にその人のためになるのかどうかを。

  • 個性が人格障害と呼ばれると大きな変化が起きる。
    人生に悩みと苦しみは必然である。

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著者プロフィール

川崎医科大学精神科学教室教授

「2018年 『精神科臨床を学ぶ 症例集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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