本の本 (ちくま文庫 さ 13-5)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (830ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480429230

作品紹介・あらすじ

デビュー以来14年間、各紙誌で書きまくった膨大な書評の集大成。扱った本は約700冊、扱った著者は約650人。ジャンルは小説、エッセイ、文芸評論、日本語論、読書案内、社会評論、歴史、文化、趣味と多岐にわたり、90年代半ばからゼロ年代までの日本の読書界が一望のもとに見渡せる。内容別の目次と書名・著者名索引も充実。どこからでも読める特別編集。文庫化に当たり自著解説を書下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 厚さ5センチのB6版。約700冊もの本の書評集。
    ハードな部活を控えた男子高校生のお弁当箱くらいはある。
    ついでに言うと、しおりが2本付属している。あと何本かあっても良いくらいだ。
    読んだ、読んだ、読みました。
    だって斎藤美奈子さんだもの。「妊娠小説」以来の大ファンなのです、ワタクシ。

    この本を読んだ後は「何でも読みます」だの「幅広く読みます」だのともう決して言えない。
    小説が約半分ほどで目次だけでやや食傷気味だが、まぁそこは好き好きで。
    「小説と随筆の本」・・日本の現代小説を中心にした書評。
    「文芸評論と日本語の本」・・ここの人文科学系の本の書評がとにかく面白い。
    「本のある生活」・・ちょっとした息抜きコーナーかな。
             書物や読書をめぐるエッセイや読書ガイド。
             子ども時代に読んだ本もたくさん登場。
             マルクスの「賃労働と資本」「共産党宣言」「資本論」も載っている。
    「社会評論と歴史の本」・・現代社会を考える社会科学系の本。
             ジェンダー論がやや多め。私はここが一番楽しめた。
    「文化と趣味の本」・・文化論、文化史、生き物関係などなど。
             シートンの「動物記」もある。ここもかなり面白い。

    そして、それぞれの章に更に詳しい目次がある。
    特定の本を探したい場合は、巻末の書名索引と著者名索引を使用できるようになっているという親切なつくりだ。

    「大部の著ゆえ、一気読みは健康を害するおそれがございます。
      くれぐれも読みすぎにはご注意ください」
    そんな「ご使用上の注意点」も記載してあったが、読み始めればノンストップだ。
    ただしどれもいきなりトップギアに入るから、むしろそこが注意点。
    読みやすく軽快で、軽い自虐と毒、切れ味の鋭さ。この文章はクセになる。
    読みながら何度声をあげて笑ったことやら。
    例えば「海辺のカフカ」。
    「春樹文学それ自体へのパロディ」「ファンを意識したサークルの内輪向けの小説」と、容赦がない。
    ファンの方はお怒りかもしれないが、私のように「そうだそうだ!言うたれ言うたれ!」と溜飲を下げるタイプも存在することを、たまには思い出してねと言いたい。たまにはね。

    「打ちのめされるようなすごい本」での米原万里さんとのエピソードも微笑ましい。
    直接的な面識はないものの、新著が出るたびに送りあっていたらしい。
    互いが互いの読者だったということだ。
    米原さんに褒められるのを恥ずかしがって「米原さんは正面切った誠実な書評。私のはやや斜に構えたインチキ書評」であり、「書評とはひっきょうサービス業」といたく謙遜もしている。
    米原さんのみでなく、全体に辛口評が多くとも、褒めるところは惜しみなく褒めているのがこの本の読後感の良さだろう。

    書評とひと口では括れないほど、縦横無尽に類似テーマを扱った本を次々に登場させる。
    そのどの章も、読み物として楽しめてしまう。すごい手腕の方もいるものだ。
    650人もの著者を採りあげているため、印象に残った点を挙げていくととんでもない長さになる。
    ど素人のレビューはこの辺まで。
    まずは、ボリュームに圧倒されずにお読みになることをおすすめ。
    お好きな作家さんから初めて、あとは行きつ戻りつしながら長期間楽しめる。
    図書館の返却期限が迫っているが、たぶん購入することになりそうだ。

    • 夜型さん
      おはようございます。
      斎藤美奈子さんのちくまの連載もチェックされてますか?
      http://www.webchikuma.jp/categor...
      おはようございます。
      斎藤美奈子さんのちくまの連載もチェックされてますか?
      http://www.webchikuma.jp/category/saitouminako
      東京五輪と富山モデルの回はおおっ・・・!となりました。
      2020/02/02
  • 斎藤美奈子さんの本はいつもおもしろい。この超ボリュームの文庫本を見たときもビックリしました。どこからでも好きなように読めるお得で飽きない書評集。

  • 書評集。辞書より厚いんじゃないかというほどの文庫本。ちまちまと読み進み、2年近くかかって読了。
    ものを知らない私に様々なジャンルの本を案内してくれ大変参考になる。読みたい本が増えすぎて、時間がいくらあっても足りません。

  • 14年間の書評の集大成。フェミニズムなど。

  • 圧倒される書評集。なかなか面白い。

  • 1994~2007年の書評832頁。。。
    文庫も祖父江慎の装幀かなぁ~

    筑摩書房のPR
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480429230/

  • 半年ほどかけて、毎日お風呂で少しずつ読みました。
    出版されてすぐに買ったのに放置していた、ずっしりと重たい単行本を持ってお風呂で読むのは、結構大変でした。
    (湿気については、フリーサイズの布製のブックカバーがずいぶん吸収してくれて助かりました)

    ”教養ってのは死んだ知識の量ではなく、自分との「地つづき感」をどのくらい感じられるか、にかかっている。”

    教養を身につけるために本を読んでいるわけではないけれど、点だった知識が読書によって線になり、自分と繋がった時の「うほっ」とするような快感。
    読書の醍醐味。

    ”書評は「予習」より「復習」のために読んだほうが面白い。”

    全くもってその通り!

  • 書評集だが、まず圧倒されるのはその分量。1000円超えの分厚い文庫本など珍しくなくなったが、書評だけでここまで分厚くなった文庫本は流石に見たことがない。
    紹介されているのは小説、人文書、科学書等々、この分量になったのも納得のバリエーション。
    週刊誌連載がメインになっているせいかどれも解りやすく読み物としては面白い。何処から読んでも、何処で止めても良い辞書的な魅力があるのもいい……が、ブックガイドとして魅力的か? というとやや疑問符がつく。というのも、これを読んで、読みたい本は増えなかったから。
    読み物としては充分に面白く、値段分の価値はあるが、ブックガイド的なものを求めていると肩すかしを食らうかも?

  • 書評集。
    小説の批評よりも、人文科学系の書籍で、取り上げられている本のラインアップの方が面白い。
    ただ、ご専門の文芸よりもフェにズム、ジェンダー本に偏っているが。

  • 買いたい:2012/10/7

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著者プロフィール

1956年新潟市生まれ。文芸評論家。1994年『妊娠小説』(筑摩書房)でデビュー。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で小林秀雄賞。他の著書に『紅一点論』『趣味は読書。』『モダンガール論』『本の本』『学校が教えないほんとうの政治の話』『日本の同時代小説』『中古典のすすめ』等多数。

「2020年 『忖度しません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

斎藤美奈子の作品

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